Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

がんばれ上原:2008 Revisited

マリナーズとアスレチックスが来日しましたね。わたくし、どちらのチームについてもそんなにくわしいわけではありませんが、やはりわくわくします。オフの一時期、上原がA'sにトレードになるかも、という話があったときにあわててチケットを買ったので(笑)、As-巨人のオープン戦と、開幕2戦めを見に行く予定。楽しみです。

そんななか、レンジャーズでがんばると思い定めた上原が不調にあえいでいます。今春、オープン戦で、無失点に抑えたのは1度だけ。今日は1回を投げて3安打4失点。スコアと報知の記事を貼っておきます。

いったい何が原因なのか。おそらくは複合的なもので、どれかひとつというものでもないでしょうし、ファンとしてはただ想像するしかないのですが……。

・乾燥?

本人は「みんな条件は同じ。言い訳になる」と言っているようですが、ただでさえ滑りやすいボールが初めてのアリゾナキャンプでさらに扱いにくくなっているもよう。フォークのすっぽ抜けが多いようです。

・体調不良?

アレルギーのような症状が出ているそうな。(twitter)。

・スライダーの投げ込みでヒジが下がった?

18日のブログなどでそのことに触れていました。

・古傷に体が反応、無意識に踏み込みが甘くなってしまう?

これも本人がブログでちょくちょく触れています。自分でセーブするような意識的なものではなく、本当に無意識の反応のようです。

実は渡米前年の2008年前半にも、上原は深刻な不調に陥っています。4月に開幕から4連敗。ケガではなく不調のため二軍落ちし、6月末にようやく一軍復帰。そのときも古傷の怖さで踏み込めない、ということと、キャンプで変化球を投げ込んだためにヒジが下がった(ただし、2008年はスライダーではなくシュート)ということを主な原因としてあげていました。この年の7月、TBS〈J-Sports〉の企画で、桑田真澄さんと対談したときの映像を見返してみました。一部抜粋します。

桑田:投球を見てたんだけど、シュート回転が多くない?

上原:キャンプでシュートを覚えようと思って投げ込んだのが結構失敗でした。その投球でヒジが下がったかなと。今はちょっとシュートを投げないようにしてます。もう一度ヒジを高く上げて角度をつけないと真っ直ぐもいかないので。

桑田:ぼくも経験あるんだけど、シュートをもっと曲げようと思うと、どうしても体の開きが早くなって、それがストレートに悪影響を及ぼしていく。悪いクセはすぐつくんだよね。いいクセはなかなかつかないのに。

今だいじなのは技術面。技術面がクリアになれば、メンタル面、精神面は、すっときれいになると思うよ。

なんでも光と影があるように――今ちょうどその影の部分だよね――それを体験することでまた一回りも二回りも野球人として大きくなるから、背中を向けないでドーンと構えて、真正面から行くべきだと思うんだ。

上原:真正面から行って今つぶされてるんですよね。

桑田:押されてるか。

上原:キツイっすね正直。

桑田:でもそこで背中向けて逃げるようじゃだめなんだ。そこをふんばる。で、ふんばるエネルギーは努力しかないからね。

4年たっても古びない桑田さんの言葉。心が静まります(宗教家?)。

で、この年、どうにか不調を脱したのは、当時の投手コーチだった尾花氏、香田氏の支えと、北京五輪のおかげでした。五輪ではけっきょく2試合しか投げなかったのだけど、極限の緊張感のなかでアドレナリン全開で投げたことと、2試合しか投げられなかった、メダルに届かなかったというくやしさが、いいほうに作用したようです。

もちろん、今回は五輪に出るわけでもないし、復調まで3か月かけられるわけでもないけれど、こうして過去に不調を乗り越えた経験は今回も生かされるはず。なんとかいい方向に――と願っています。

ちなみに今春、レンジャーズのブルペンは、みな横並びで調子が悪い(^_^;;

チーム成績も5勝13敗……いくらOP戦でもさすがにそりゃ負けすぎでは……。

ブルペンの空きはあと3つと言われていて、安定した投球を披露している建山がわずかにリード。あと2週間ほどで、首脳陣を安心させるような答えを出せるか――。

でも、そうやって結果を求めすぎるのも、ほんとはよくないのかもしれません。

実は、2008年の不調には、上にあげたもの以外にもう一つ大きな要因がありました。

それは「4月にFA宣言したこと」。

FAを取得してすぐに行使を宣言し、ただしシーズン中はプレーに専念する、と発表したために、「何が何でもいい成績をあげなければ」と力み、焦って、泥沼に陥ってしまったのです。(著書『闘志力』にも記されてます。)

ひるがえって、昨年、レンジャーズに移籍してから思うような投球ができていない上原。オフにブルージェイズへの移籍も断って、何が何でもレンジャーズで結果を残さなければ、という強い思いが、かえって力みにつながり、悪循環にはまっているのではないでしょうか。

もちろん、開幕メジャーの座を確保するためにはどうしても成績を残さなければいけない。しかし、その現実を見すえつつも、あせったり力んだりするのではなく、ただただ自分の最高地点を目指して投球してほしいのです。

ああ、まさに言うは易く……なのですが。

とまあいろいろ書きましたが、ファンにできるのはひたすら応援することだけなんです。それにケガじゃありませんからね。不調は心配だしつらいけど、投げられているんだからぜんぜん大丈夫。今年も元気よく応援します。 

がんばれ上原!