Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

hit for the cycle: O's史上4人めのサイクルヒット

エンゼルスを迎えての週末3連戦。厳しいスタートになるかと思いきや、なんと16-6の爆勝! メジャーデビュー3試合めのクリス・ティルマンが初勝利をあげ、フェリクス・ピエがサイクルヒットを達成した。

ピエのつづりは Pie。てっきり「パイ」だと思ったら「ピエ」と読むんだそうだ。

でも、だれだってパイを思いうかべるから、2008年にカブスから移籍してきたときには、「オリオールズに Pie が一切れ加わった」みたいな見出しがあふれていたようだ。

ピエは外野手。俊足で、代走に使われることはあるが、今年、マーケイキス、ライモルド、ジョーンズの外野3人組が好調なのでめったに先発の機会がない。今日は、DHのルーク・スコットが風邪で欠場し、疲れ気味のライモルドがDHに回ったため、ピエが久しぶりにレフトで先発。そんな中での快挙だった。

サイクルの順番は、ツーベース、HR,、シングル(内野安打)、そして最後が一番難しいスリーベース。達成したときには観客もベンチも総立ちで拍手を送った。(その様子はこちらのページのPie hits for the cycleのビデオをごらんください。)

ところがここでちょっとした事件が。

ピエが、喜んで観客に手を振ったのが、エンゼルス監督マイク・ソーシアの逆鱗にふれ、ピッチャー交代のためマウンドに足を運んだソーシアがピエをにらみつけたのだそうな。ピエは試合後しゅんとして、明日、ソーシア監督に謝りに行くとコメントした模様。ちょっとかわいそう。ビデオで見るとわかるけれど、ほんとうにちょっとにっこりしてイエーイ!と手を振っただけなのだから。

どうやらピエという選手は、すこし不思議ちゃんらしくて、今日も、自分がサイクルを達成したことをぜんぜん気づいていなかったようだ。なんで観客がそんなに拍手するのか、まったくわかっていなかったので、三塁コーチが「だっておまえ、最初にツーベース打っただろ。今スリーベース打って、ほかにシングルヒットとHR打っただろ。だからサイクルなんだよ」と説明したら、「本当に?」とようやく気づいて「イェーイ」とやったらしい。

また、試合後には、バッティングコーチが記念のボールをピエにわたすと

「ありがとう。サインしてください」

「いや、俺がサインしてもしょうがないだろ。これはおまえの記念のボールだよ」という押し問答があったとか(笑)。おもしろい。

ピエは24歳。出られない日々が続いても、腐らずに毎日かかさずバッティング練習を続けていて(まあ、当たり前っちゃ当たり前ですが)、だからコーチ陣もみな賛辞を惜しまず、観客にむけて手を振るくらいいいじゃないか、という論調のようだ。(それでも、報復が来たりするといけないから、謝りにはいくらしい。ふむ。)

ちなみに「サイクルヒット」は、動詞で hit for the cycle と表現する。メジャーでは今季7回め(ちょっと多め)、通算で290回めのサイクル。ノーヒッターが通算282回だそうだから、難しさの度合いは似ているのかもしれない。

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【追記8/16】

ピエのスパイクが、今年サイクルを達成したほかのプレーヤーの物とともに野球殿堂博物館に展示されるらしい。ピエ自身はまだクーパースタウンを訪れたことがない、とのこと。

きのうは同じドミニカ出身のソリアーノやハンリー・ラミレスからもお祝いの電話をもらったというピエ。今日のインタビューで、バッティングコーチに、記念のボールにサインするようお願いしたのは、毎日バッティング練習につきあってもらって、春先結果の出ない自分をしっかり打てるようにしてくれた感謝の気持ちからだった、とコメントしていたようだ。

「不思議ちゃん」なんて言ってごめんなさい。とても思慮深い、やさしい若者なのね。今のオリオールズではどのくらいチャンスをもらえるかわからないので、来季はどうなんだろうと思うけれど、なんだか好きになった。やはりわたしは、ストーリーから入るタイプらしい。

それにしても、予想されたこととは言え、コウジ情報ないなあ……。だれか、サラソタに様子を見に行ってくれないかな。