Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

Dismissed: ……ついに。しかしまだ光は見えず。

前回ブログを書いたのが5月27日。それ以来一度も勝たないまま(いや、勝ったら何か書こうと思ってたんですよ、ほんとに)、ついに昨日、デイブ・トレンブリー監督の解任が発表された。

レンブリー監督は2007年のシーズン途中、前任のペルロッソ監督の解任を受けて、投手コーチから監督代行に昇格。シーズン終了後正式にオリオールズ監督に就任した。

自身にはプロでの選手経験がなく、高校などでの指導を長年続けたのち、プロのスカウトに就任。その後長らくマイナーでの実績を積み上げてメジャーの監督の座をつかんだ。ある意味でほんとうにアメリカンドリームを実現した人だったともいえる。

しかし現実は厳しく、在任期間中のオリオールズの通算成績は187勝283敗、勝率.398。打率ならすばらしいけれど、勝率が4割にも満たないとなると解任されても仕方がないのかなと思う。

今季のオリオールズは、ブルペンのうしろを任された選手が軒並みDL入り(including Koji)、ライモルド、ジョーンズ、ウィーターズといった若手の中心選手が伸び悩み、ロバーツ、ピエなど野手の中心選手も故障と、たしかにだれが監督をやっても苦しい状況には変わりない。主力打者も精彩を欠いているし、エラーや走塁ミスはあいかわらず多いし、いったいどこから手をつければいいのやらという状態ではある。

わたしには技術的な解説はできないので、そちらには触れようもないのだが、ひとつずっと気にかかっていたことがある。

FAでとったクローザーのゴンザレスも、セットアッパーのジム・ジョンソンもそうだったが、ひどい不調で何度も何度もリリーフ失敗を繰り返したあげく、しばらくたって「じつはだいぶ前からヒジが痛かった」という例が多々あるのだ。そして監督は初耳だった、と。

もしかしたら、外には出せない事情があってそう説明しているだけなのかもしれない。でも、それならなおのことムリして投げさせるのは故障の悪化を招くだけだろう。

レンブリー監督という人は、少々痛くてもムリしてプレーを続ける選手を大いに評価する監督で、もちろん、プロの選手はだれでも大なり小なり痛みを抱えているものだから、ちょっとしたことですぐに休まれたら試合にはならないのだろうが、「してもいいムリ」と「してはいけないムリ」のとても微妙で繊細なラインを見きわめようとするシステムが、オリオールズには欠けていた(いる)気がしてならない。

選手というのはポジションを失いたくないから、自分の故障は隠すものだという。でも、トレーナーにはわかるはず。町の接骨院の先生だって「ここ張ってますね。痛いでしょう」ぐらいのことは言ってくれる。そういう情報を風通しよくやりとりできるシステムはないのか。コミュニケーションがはかれているのか。そんなことも球団経営には大切なのではないかなあと思ったりする。

当面は、元三塁コーチのフアン・サミュエルが監督代行として指揮をとる。(そして、今日のボストンとの初戦は11対0で負けた。なんたる船出。クリス・ティルマンは、3Aではすばらしいピッチングをするのに、メジャーで投げるとどうもあかんなあ。野間口タイプというか……。)

その間も、監督さがしは継続して行われるが、最終的に新しい人になるか、代行がそのまま昇格するかもまだ未知数だとのこと。(そのままというのは、できればやめてほしい。サミュエル氏の就任会見をきいたけど、あまり期待できそうな何かを感じさせるものではなかった……。)

ちなみに〈ボルチモア・サン〉の推測する12人の監督候補がこちら。

わたしも知らない人が多いので、名前だけ挙げておこう。

ゲーリー・アレンソン 3Aノーフォーク監督。元レッドソックス捕手。

ラリー・ボウワ

ジェフ・ダッツ 現オリオールズベンチコーチ

リック・デンプシー

フィル・ガーナー 2005年、アストロズをWシリーズに導く。

デイヴィ・ジョンソン 巨人にもいたあのデーブ・ジョンソン北京五輪監督を務めたのは記憶に新しい。オリオールズを率いて地区優勝に導いた経験もあるが、オーナーのピーター・アンジェロとそりが合わないのがネックだと言われている。

ボブ・メルヴィン 元マリナーズダイヤモンドバックス監督

フアン・サミュエル 現代行

ライン・サンドバーグ

バック・ショーウォーター 元ヤンキース、レンジャース、ダイヤモンドバックス監督

ボビー・バレンタイン 去年、ナショナルズの監督が替わったときにも名前が出た(笑)。写真はロッテ時代のもの。サン紙のコメントがおもしろい。「長所:選手を乗せるのが非常にうまい策士。野球界で最も面白い(most interesting)人物の1人。短所:当初歓迎されるが、大げさで騒々しい(bombastic)キャラクターに、周囲が振りまわされる。アメリカでは2002年以後指揮を執っていない」

エリック・ウエッジ インディアンスを7年間率いて561勝573敗。2007年には地区優勝でア・リーグ最優秀監督にも。

さあて、誰がいいんでしょうか。なんか、日本の首相選びとダブるなあ……。問題山積で誰がやっても大変そう。

でも、もつれた糸をていねいにときほぐせる人、ごたごた突っ込んだ道具箱を根気よくコトコト揺すり続けて、たくさんのモノを収まるところに収めていく人はいつだって必要とされている。きれいにほぐして巻き直したら、あるいはしっかり整理して何がどこにあるかわかったら、「クリック!」と、かみ合うべきものがかみ合うんじゃないか。だって、才能のある人たちは何人もいるんだもの。

去年100敗したナショナルズだって、今年は5割前後の戦いを続けている。上を見る気持ちはなくさないでほしいし、なくしたくないなと思うのだった。

【追記】

そうそう、どこにもカル・リプケンの名前が出てこないのがなんともミステリアスというか。名前を挙げておいて落っことすようなことのできない人だということもあるのだろうけれど。

"Hall of Famers rarely make good skippers." (殿堂入りの選手が名監督になることはまれ)という一文も見かけた。

やっぱりアメリカでも「名選手必ずしも名監督ならず」という認識はあるんだな。