Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

Fun, fun, fun!:「ネメシス」ボストンに先勝

オリオールズ5-レッドソックス2 ○

きょうからはホームでボストンと3連戦。

去年は、なんとレッドソックスに対して年間2勝しかできなかった。

その前の年は3勝。まさに天敵というかネメシスというか(リンク先は去年の過去記事です)。

ことしは、きょうの試合前の時点で6勝6敗。ホームでは4勝2敗である。どちらかというと、オリオールズが強いというよりはボストンの不調を物語る数字なのかもしれないが、まあ故障者が多いといえば、ことし前半のオリオールズもすごかったですからね。

一時期、クローザーが全員DL入りしていたこともあったっけ。

そんななかでこの数字をあげているということは、案外……。

とまあ、語尾はぼかしつつ、あまりぬか喜びはしないようにしてきょうの試合をむかえた。

するとレッドソックス戦で通算防御率2点台を記録しているブライアン・マトゥスが、あまり調子がよくないながらも粘りのピッチングで6回2失点。攻撃では相手のショート、スクータロのタイムリーエラーなどもからめつつ、3点を先取。6回まで3対2とリードを保つ。

そして7回。マトゥスが先頭のドリューを歩かせたところで、JJことジム・ジョンソンに交代。次打者がヒット、そのつきがバントで一死二、三塁という絶体絶命のピンチ。前半戦までのオリオールズなら、間違いなく逆転され、そのままガタガタ転落していくような場面だ。しかしDLから復帰したばかりのJJは踏みとどまり、スクータロをぼてぼてのサードゴロ(サード、ジョシュ・ベルのナイスプレー!)、ナヴァを三振に打ち取った。

この「どっちに転ぶか」という地点で、ことごとく負けるほうに転がっていたのが前半のオリオールズ。なんとか踏みとどまって粘れるのが今のオリオールズ。試合をフォローしていて感じるのだが、その差は「ああ、もうダメだ」と思うか「まだがんばれる!」と思うかの違いでしかない。とてもかすかで、とても大きな差なのである。

8回は、ジョンソンが先頭を歩かせたところで、すぱっとゴンザレスに交代。ここまでは予想どおり。ところがゴンちゃんがひとつ三振をとったところで、またまたすぱっと上原に交代。これにはびっくりした。9回から行くものとばかり思っていたので。

この交代について監督は試合後、打順その他を考慮したうえでのことと説明し、「型どおりのつなぎ方ではないかもしれないが、一番勝てるチャンスが大きいと思った」とコメントしていた。

その期待に応えて、上原は一死から5番ベルトレを投ゴロでツーアウト。6番ロウエルをセンターフライでチェンジ。この回8球。

するとその裏にスコットとピエの連続HRが飛びだして5対2に。とくにピエは粘って8球めをたたき込んだ価値ある一発だ。なんともすばらしい試合運び。

そして9回は、ドリュー:レフトフライ、カリシュ:フォークで三振、ホール:サードゴロと上原が三人でさくさく片づけて試合終了。朝方、隣家の工事で起こされて寝不足だったという上原だが、堂々たる投球で5セーブめをあげた。

これでホームでのボストン戦には勝ち越しが決定。これまた1998年以来とか。

何をしても十数年ぶりという、今日このごろであります(笑)

ところできょうの試合中、監督が、スクータロのエラーで一塁からホームインしたルーク・スコットと、ベンチでかなり長々話しこむ場面があったらしい。試合後のインタビューでは詳細を明かさず、「考えが一緒かどうか確認しただけ」とかわした監督だが、そういうちょっとした確認だとか、見すごしがちなプレーへの言及は、たしかによく行われるようになった。投手についても、ただ「よく投げた」「試合を作った」だけじゃなく「きょうはカーブが悪くて、速球とスライダーでしのいでいたが、大事な場面で左打者を打ち取れたのが大きかった」といった具合に、きわめて分析的かつ具体的に評する。こういうことから選手が受けとるメッセージはたくさんあるだろうと思わされる。

そうかと思えば、バック親分、オフだったきのうはルーキーリーグに足を伸ばして、今年の一位指名選手、18歳の遊撃手マニー・マシャドの試合を見に行ったらしい。チームのスタッフと顔を合わせ、しかしマシャドは「ユニフォームを着ればチームの一員だから」と特別扱いせずに遠くから見守り、9回までしっかり見とどけて現場の監督をいたく感激させた。ことほどさように、バック親分の行動ひとつひとつが光をはなっている。

そんなわけで、とにかくチームの明るいこと明るいこと。試合後の選手の談話では、マーケイキスもスコットもそろって "It's fun!" と口にする。上原も「楽しい」と言う。まあ、これで地区優勝でもねらっていたら楽しいなんて言ってられないよ、という考え方ももちろんあるが、長らくうちひしがれて淡々と野球を「こなして」いた彼らが、こんなにも生き生きと明るい顔で野球している姿を見ることのうれしさといったら!

2戦めのきょうはレスターとアリエッタの先発。まあ、どっちが有利かといえば、そりゃあ……なのですが、ともかく明るく元気にかつ粘り強く戦うのが今のオリオールズ。そうすれば何かが起こる、かも? 

Go, Birds!