Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

Matusz dominates: レイズを完封し、「マジック1」

オリオールズ4-レイズ0 ○

ナイスゲーム。

トロントでは空中戦に持ち込まれ、まさかの(と、あえて言おう)スイープを喫して乗りこんだフロリダ。しかも昨日の死球合戦(?)の影響で、今日はなんとショウォルター監督が出場停止。代わりにベンチコーチ、ジェフ・ダッツが指揮を執ったが、気持ちのいい勝利でした。これでオリオールズは「マジック1」――なんのマジックかというと「100敗阻止」マジックですね(笑)。いや、でも、8月までは不可避に思えたんだから。たいへんなことですよ。

きょうはなんと言っても先発のブライアン・マティスが7回を3安打8三振、無失点と好投したのが大きかった。カーブが冴え、本人のコメントによればそれ以外のすべての球種でもストライクを取れたので、思い通りのピッチングができたとのこと。今季の出だしはいいピッチングをしても勝てない試合が続き、やがて調子そのものも悪くなって防御率がどんどん悪化してしまったが、8月以降は見事に立てなおし、今日の試合前の段階で、過去6試合の防御率が 1.91という好調さ。

技術的なこともいろいろあるのだろうが、わたしは何よりも、マティスくんのあの若者らしからぬ落ちついたマウンドさばきと、自分を見失わない聡明さが好き。今日も先制した直後の5回に、不運な内野安打と四球といういやなランナーを出してピンチを迎えたけれど、バタバタあわてず抑えきったところに、今年1年の成長を感じた。まだあともう1試合あるが、オフにしっかりワークアウトして、来季はバーギーことバーゲセンとともにオリオールズ先発投手陣をひっぱっていってほしい。

これであとひとり、ベテランのエース格がいるといいんですけどね~。

それを期待されたミルウッドは、すばらしい人格と徹底したプロ意識で尊敬を集めているけれども、残念ながら成績が伴わず残留はなさそう。いっそ黒田を取らないかな。帰国が有力とも言われているけど、まだメジャー残留の目もあるとどこかで見たし、上原も黒田さんのこと大好きだしね。

上原は4点差の9回に登板。セーブはつかなかったが、アイバー、ゾブリスト、ジェイソの3人を "struck out the side"――三者三振――に切って取った。気持ちいい~!

アイバーにはストレートを見せ球にフォークで打ち取り、ゾブリストにもフォーク攻め。ただし、大きくストンと落ちるフォークではないので、TVで見ていても「あれ、今のフォーク……だよねえ?」と、ちょっと迷うときも。そしてジェイソには一転、ストレート勝負。あのA-Rodの3ラン以来、捕手ともよくミーティングを重ねて、ほんとうにバラエティーに富んだいい投球をしている。

それに、東急店舗――じゃないよ、どんな変換?――投球テンポもなおいっそう速くなっているような。"なんちゃってスコア”をつけながら見ていると、つぎの投球を見逃すくらいの投球間隔。それでも投げ急いでいるわけではなく、コースぎりぎりにきっちり投げ込んでくるんだもの。ほれぼれしました。

これでちょうど三振が今季通算50個、四球は(しばらく出してないけど)通算5個。すごい。

ところできょうは、レイズが勝てば(あるいはレッドソックスが負ければ)レイズのプレーオフ進出が決まる一戦。しかしオリオールズが勝ち、ボストンも勝っておあずけ。ヤンキーストロントに負けたし。

ところがそんな大事な一戦ながらスタンドはガラガラで、発表入場者数1万2千人ちょっと、試合終了時には数千人しかいないんじゃないかという寂しさだった。

月曜日はフットボールがあるからそのせいなのかもしれないが、観客が少ないのは今日だけのことではなく、今オフにレイズが給与水準を抑えると発表したのも入場料収入の少なさが大きな要因なのだとか。

さすがに選手たちもがっかりしたようで、あす先発のデイヴィド・プライスは“ Had a chance to clinch a post season spot tonight with about 10,000 fans in the stands....embarrassing"(ポストシーズン進出が決まるかもしれない試合だったがスタンドにはファン1万人……はずかしい)と、ツイート。ロンゴリアも「2006年にここに来たとき、ファンは強いチームを求めていた。それでぼくらも頑張って三年連続いい戦いをし、再びプレーオフ進出がかかる試合を迎えた。それなのにファンが1万5千だとか2万だとかいうのではかなしい。ファンを責めているわけじゃないよ。ただ、もっと大勢の人たちに来てほしいだけなんだ」とコメントしている。

われらがショウォルター監督も、アンディ・マクフェイル球団社長とともにボックス席から観戦して、つぎのようにコメントした。

「観客が少ないのが何のせいなのかは知らない。ただ、とてもいいチームが再びプレーオフに進出しようとしているんだ。一野球ファンとして、彼らがもっと大勢のファンのサポートを得られるよう願うよ。それだけのチームだからね。だが今日見に来ていた1万2千人のファンは熱烈に応援していた。わたしは(スタンドで)ずいぶん野次られたからね。なるべく姿を見られないようにボックス席の奥のほうに避難していたよ」

うん、スイートなコメント(笑)

試合前には、「もちろん負けたくないが、レッドソックスが負けても決まるので、もし目の前でレイズが喜びあうシーンがあるとすれば、うちの選手たちにはそれを目に焼きつけてほしい。うちもそれを目ざしているのだから」と述べている。

あすはバーギーの先発。数字だけ見たら防御率4.90だけど、ここ10試合では2.31と安定感抜群だ。プライスとの投手戦に粘り勝ってほしい。がんばれ。

(追記:今、ESPNの掲示板を見てきたら、レイズファンは「長年応援しているのに選手からこんなことを言われるなんて。どうせあたしはembarrassingだよ!」と嘆きの嵐だった。ファンが集まりにくい理由のひとつにはトロピカーナ・フィールドのロケーションの悪さがあるらしい。あとは、観光地フロリダゆえに、不況で地元の経済状況が悪く、住民はTVでは応援していてもチケットを買うお金がないのだ、とも。選手の側からすれば悪気のない率直なコメントだったと思うけれど、1つ間違うと最も熱烈に応援しているファンを怒らせてしまうことにもつながりかねない。ことばはむずかしいですね。特にツイッターは短いからなおさら要注意だと思う。)