Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

Resilience: 立ちあがる力

13日(木:現地)の第5戦(GameDay)。

上原は2-6の7回に登板。最初の打者ジャクソンを直球で空振り三振にとって、今度こそ、と思ったところで次のレイバーンにまた一発。アウトコースの打ちごろの高さに来てしまったかなあ。もう少し低めか、高めならインハイか。

これでポストシーズン防御率は13.50【訂正:33.75。ひー。】何より、ポストシーズンの登板3回でいずれも被弾するというメジャー記録を作ってしまいました。

まったくもう、極端なんだから。

「優勝のために求められて移籍した」という意識が上原に重くのしかかっているように見えます。これまでケガや不調に悩まされる上原を何度も見てきたけれど、それらはすべて自分の中にあるものとの戦い。でも今は、自分の不調や打席に立っている相手だけじゃなく、よくわからない仮想の相手とも必死に戦ってもがいているように見えます。

ずっとそう思っていたら、きのう(10/15付)のスポーツ報知で、現地取材を続けている柳田記者も同じことを書いていました。"「勝つために必要とされてきた」と自分にプレッシャーをかけすぎるため、打たれたときのショックが半端ない」と。

同じ記事の中で、オリオールズからいっしょに移籍してきたゴンゾーことマイク・ゴンザレスの「痛みを分けあって楽にしてあげたい。でも他人ではできない。自分を信じて自分ではいあがるのが投手のつらさなんだ」という言葉も紹介されていました。

まさしく。それはコメント欄でおじさん先輩から教えていただいたUSA TODAYの記事にも通じます。今日先発のホランドについて、ロン・ワシントンが述べた言葉:

But once he cross those lines, it's all on him. And that's been his problem. It's not his stuff. It's just trying to control anxiety.

「あのラインをまたいだら、頼れるものは自分だけ。あいつの問題はそれだけなんだよ。いい球を持ってるんだから。あとは不安をどうコントロールするかだ」

さらに、分野はちがいますが、オーストラリアの伝説の陸上コーチパーシー・セラティが弟子に贈ったことばも思い出しました。

「そこ(トラック)に神はいないし、わたしもいない。きみたちの両親もいない。すべてを自分ひとりで成し遂げなくてはならないのだ」

フィールドに立てば最後に頼れるのは自分だけ。

だから、倒されても倒されてもまた立ち上がれる者しか、フィールドに立ち続けることはできません。

ツイッターやブログから推察すると、上原はまた立ち上がって走りはじめた様子。よかった。心の中はどうあれ、今は全力で前を向いてチームメートといっしょに試合に入りこんでほしい。出場機会のあるなしに関わらず、全員が同じ方向を向いていなければポストシーズンの激戦を勝ちぬくのは難しいですから。精神主義ではなく、物理的にそうだろうと思います。

おもしろいことに、上原とアダムズがレンジャーズ入りしたとき入れ替わりでDFAされてカージナルスに拾われたアーサー・ローズが、ポストシーズンで投げてるんですよね。地区、リーグチャンピオンシップの両シリーズで5登板。計1.2イニングなので、毎度打者1人との対戦だとは思うけれど。

ほんとに野球って、いや、人生って何がどうころぶかわからない。

だからこそ、上原には、今こそ「裸一貫」ぐらいの気持ちで自分を信じて前を向いてほしい。何の意味があるかわからずに走った、とブログに書いていたけど、そうやって走り続けていれば、必ずまたいいことがあるから。

さて、レンジャーズは今日、大切な第6戦。先ほどのUSA TODAYの記事を読んで気づかされたのですが、ここまでALCS5試合で、レンジャーズにはクオリティ・スタートが1つもないんですね。その前の地区シリーズでも1試合のみ。リリーフ陣の負担も増しているし、ここはなんとしてもホランドにがんばってもらいたいところ。普通に投げれば打たれないんだから、がんばれ! 

手負いの虎のresilienceにも目を見はらされる今シリーズではありますが、なんとしても今日、レンジャーズに決めてほしいです。

【追記】いや~、強かった。ホランドはソロ2本で先制されたけど、前回登板よりは確実に落ちついてました。そして「被援護点王」の面目躍如の味方打線1イニング9点。(球団のポストシーズン記録だそうな。)

くわしい試合の記録は例によってhitotsuboshiさんのArlington Lone Starと、MLBlogブログさん(勝手にリンクを貼らせていただきます)で。

シャンパンファイト、上原も建山も楽しそうだった。建山さんはお子さんを連れてきてましたね。口ひげをそりおとした上原も、心中はどうあれ、いっしょになってはしゃいだのはよかったです。「メンバーに入りたい」とはっきり口にしたのも上原らしさが戻ってきた証拠。ハムを痛めていたマーク・ロウがALCS中の練習にも参加していますのでかなり微妙な線だとは思うけど、WSまでの3日間、ぎらぎら全開で練習に参加してほしいな。で、やるだけのことをやったら、あとはゆだねるしかないんで、くよくよせず、前だけ向いていきましょう!

【その後のアップデートはコメント欄にて。】