Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

上原、メジャー3度めのオフへ

オリオールズGM選び、まだ続いております(日本時間11/7AM1時現在)――現地の昨夜に元レッドソックスGMのダン・デュケットと2度目の面談を行い、その席で契約まで行くのではないかといわれていたけど、まだ待機中。誰が何を待っているのか、あるいはためらっているのか……。オフが終わるまでには決めてくださいよ(ハハハ……)。【その後、現地の6日午前、アンジェロスとデュケットがふたたび会談中だとのこと。正式発表はまだですが、合意に達したようです。】

さて、いっぽうレンジャーズのほうはというと、マイク・マダックス投手コーチがカブスレッドソックスの監督候補にあがっております。シーズン終了後へんとう腺炎をわずらってしばらく声がでなかったらしく、そのために面接などの予定がずれこんでいるらしいけど、今週あたりからそろそろ始まるのではないかな。ESPNの記事を読むと、だいぶ前向きに考えているようなので、条件さえ合えばどちらかに行ってしまうんだろうな……。ワシントン監督はどうも投手起用に明るい監督ではないので、マダックスコーチが去ったら、よい後釜を見つけてくることがとても大切になりそうです。

風邪といえば、上原も3か月ぶりにボルチモアに帰ったあと、しばらく寝込んでいたもよう。ワールドシリーズ終盤には、たまにベンチで映る姿を見ても、ずいぶん面やつれしてましたからね。でもきのうのブログにはさわやかなボルチモアの青空が。

2009年、ヒジをケガして半年を棒に振り、トレンブリー監督の信頼を得られぬまま突入したオフ、上原はやはり近所の公園を走ることからオフのトレーニングを始めました。(当時のエントリ)

新しい気持ちで出直したいとき、上原は必ずひとけのない近所の公園や田舎道から第一歩を踏みだします。だからこのボルチモアの青空を見たとき、初めて見る場所なのによく知っているような、なつかしさと心強さを感じました。渡米して初めて1年間故障なく過ごし、ERA2.35(シーズン通算)というすばらしい成績を残しながら、たぶんこれまでの野球人生のなかでも最大の悔しさを味わった今季。

上原自身もあちこちで語っているように、なんといってもポストシーズン登板の初戦、10月1日のレイズ戦でのジェニングズへの四球が痛かった。アウトローへきれいにきまった初球を見たときには好調を確信しただけに、簡単に追いこんだあと四球を出したのがなんともふしぎだったし、本人も「どうして四球を出したか、自分でも分からない」(報知10月31日)というその動揺から立ち直れぬまま、ガラガラと崩れていったような気がします。

どうしてあの四球を出してしまったのか。

そう考えたとき、わたしがうっすら思いだしていたのは、以前に本で読んだ水泳の話。ゴールを見て「あそこが終点だ」と思った瞬間に脳の血流が下がり、パフォーマンスが低下してしまう。だからゴールの5メートル先を目指して泳ぐのだという話でした。(たぶん『<勝負脳>の鍛え方』 (講談社現代新書 林 成之) だと思うけど確信なし。)

上原はシーズン終了前に、「とにかくシーズンを無事に終えること。その先のことは考えていない」とたびたび口にしていたので、ひょっとしたらそこで本人の意識とは別に体が勝手に反応してしまったんじゃないか――。

そう漠然と考えていたら、上原本人もしっかり答えを出していました。

11月3日にスポニチに掲載されたインタビュー:

 「シーズンにしか目標をつくってなかった。ケガせずに1年を乗り切ることしか。プレーオフのことは全く考えてなかった。満足したわけじゃないけど、シーズンで満足した自分が、もしかしたらいたのかもしれない」

「162試合で終わりじゃない。その先の目標を来年つくればいいだけであって、体も反応すると思う。体が162試合で終わりと勝手に決め付けていたから。それを163試合目以降にもっていけなかった自分がいけなかった。ここで終わったら、ほんまの負け犬やから。終われない」

さすがですね。あたりまえだけど、やっぱり超一流のアスリートなんだと思いました。

上原はどんなときでも真っ向勝負の人なので、喜びも大きければ失意も激しい。そして、けっして取りつくろわない。今回も、WSでロスターをはずされたとき、懸命にチームを応援してはいたけれど、笑顔はついに見られなかったし、混沌とした思いを隠そうともしなかった。

でもそんな中でも時間をかけて、ちゃんと自分なりの答えを導き出している。しかも人から教わって知識として仕入れたのではなく、体を張って、自分の全存在をかけて導き出した答えだから、とても大きな価値があると思うのです。

自動オプションによりテキサスの一員として迎える来季。(年俸4MIL。)MLB Trade Rumor では、「ホームランの出やすい球場にはやや不適合なため、トレードの駒になる可能性も」なんて書かれていますが、ワールドシリーズを見てもわかるとおり、テキサスのブルペンは、制球がアバウトな人が多いので、上原の力は必ず必要になります。あとは例年のごとく、とにかくコンディションをしっかりととのえること。今オフは過去3年間に比べて1か月短いわけなので、やりすぎず、休みすぎずという微妙なバランスを探しながら、いいオフを過ごしてもらいたいと思います。