オリオールズ、チェン・ウェインと合意
現地1月9日、元中日ドラゴンズ、チェン・ウェインとオリオールズの契約合意が発表されました。3年総額1100万から1200万だそうです。争奪戦という話を聞いていましたが、よくゲットしました。すごい。
オリオールズがFAの投手に3年契約をオファーするというのは、なかなか新鮮。前GMのマクフェイルは2年以上は出さないと言われていました。デュケットは3年が上限と口にしていて、和田には2年+3年めはオプション。チェンは26歳と若いのでオリオールズとしては最高の評価をしたのでしょう。
それでも黒田の1年分でチェンを3年やとえるとは(黒田の昨季年俸は$11,765,724とされています>Baseball Reference.com)。やっぱりオリオールズの生きる道は海外FAだ。
ちなみに、ここ最近、日本からFAでメジャー移籍した選手の最初の契約をざっくりと。(ポスティング移籍は含まず。マイナー契約の選手も含んでません。網羅もしていません。)
2007年オフ 黒田博樹(ドジャース) 3年総額 3530万
~リーマンショック(2008年9月)~
2008年オフ 川上憲伸(ブレーブス) 3年総額 1566万
2008年オフ 上原浩治(オリオールズ) 2年総額 1000万
2009年オフ 五十嵐亮太(メッツ) 3年総額300万
2011年オフ チェン・ウェイン(オリオールズ) 3年総額 1100-1200万
黒田と川上を見ると、同じ年数でもリーマンショックのあと、契約金がおよそ半分になっているのがわかります。川上と上原は同じ年の移籍ですが、当初は、総じて川上のほうが高く評価されていたように思います。(上原は川上より契約年数が少ないのを悔しがっていましたが、逆に川上にとっては3年契約があだになって、3年めはトレード相手が見つからずマイナー生活になってしまったという面もあります。いい契約は諸刃の剣。)
でもって、その上原、川上の水準から見ても今オフの日本人選手の評価は全般に低いです。これはリーマンショックのころのような、明らかな経済的要因だけではなく、やはり、日本プロ野球の投手は中6日になれているから先発として適応するには、コンディショニングが最大の壁、ということが広く認識されてきたことにあるのではないでしょうか。(それにしても岩隈は安すぎる~。ぜひ活躍して、来年はいい契約を勝ちとってほしいです。)
黒田はそれを実力で乗り越え、さらに「日本人投手の3年目、4年目の壁」も乗り越えてみせたからこそ、今、FA市場で引く手あまたになっているんですね。(それでも、結局ドジャースには財政的に残留できなかったし、それは昨年7月時点で明らかだったのだから、あそこで移籍を受け入れてドジャーズにプロスペクトのひとりふたりもたらしてあげてもよかったのに、という思いはまだあります。同時に、上原を見ていて、日本人にとってシーズン途中の移籍というのがどれだけ大きな精神的負担になるかがよくわかったので、黒田が残留を選んだ気持ちもよくわかるんですけど。)
さて、そんなこんなで、チェンは身体検査をパスすればオリオールズの一員になります。これで先発陣は
ガスリー(右)
チェン(左)
アリエッタ(右)
ハンター(右)
ブリトン(左)
和田(左)
ひとり余る! あれ、おかしいな。先発2枚ぐらい足りなかったはずなのに。これに加えてマトゥス、バーゲセン、およびドジャースから獲得したイヴランドらもおります。この勢いだとマトゥスは3Aスタートか。バーゲセンとイヴランドはすでにオプションが切れているので、3Aにアサインするにはウェーバーにかけなくてはならず、他球団にクレームされてしまいそう。トレードもあるか?
……な~んて心配しなくても、いつの間にか「あんなにいたはずなのにみんなどこいった?」状態になるかもしれないんですけど(汗)
和田がブルペンか、などと書いている気の早い地元マスコミもありますが、すでに打者のビデオをとりよせてショウォルター監督を感心させている和田のことですから(ソース:ニッカン、MASN)しっかりと実力を発揮してくれることと思っています。
チェンと和田、ふたりでどのようにオリオールズ投手陣を支えてくれるか、非常に楽しみです。