ダルビッシュの裏で:チェン、ガスリーなどなど
予想されたこととはいえ、昨日の朝の報道はほぼダルビッシュに一点集中。
その裏でチェンのデビュー戦なんかもあったんだけどな。
……というわけで、裏番組(?)からいくつか気になったことがらをピックアップしておきます。
◎チェン・ウェイン、オープン戦上々のデビュー
紅白戦では球数がかさんで、1イニング投げきれずに交代したオリオールズのチェン。「日本のマウンドは平らなのでこちらのマウンドに慣れるのに時間がかかった」とコメントしていました。どうやらそのあといろいろ工夫したらしく、昨日のツインズ戦は、監督に言わせると「このあいだより制球がよかった」。
結果、2イニングを投げて被安打1、無失点の好投。特に2回はヒットのランナーを出したあと空振り、空振り、見逃しと3者連続三振を奪ってます。西岡とは初回に対戦してレフトフライ。
「今回はテンポがよかった。でも相手がぼくのことを知らないから三振が取れたんでしょう」とひかえめなチェン。キャッチャーのマット・ウィーターズとのコミュニケーションはうまくいっているそうで「今は組みたてなど気にせず、マットに向かって投げるだけ」と言っています。
期待してもいいかしら? たのむよ、チェン。(ソースひとつあげておきます:こちら)
なお、ヒジの張りでスロー調整の和田も昨日ブルペン入りし、リック・アデア投手コーチによれば"outstanding"(すばらしい!)できだったとのこと。腕が振れてなんぼですから、違和感を押して投げずに、一度ペースを落としたのは正解だったと思います。
◎ガスリー、ロッキーズデビュー。
1月にロッキーズにトレードされた元オリオールズのエース、ジェレミー・ガスリー。昨日(現地7日)、SFジャイアンツ戦でデビューし、3回5安打2失点でした。初回と3回にポロポロと1点ずつとられる、ある意味「らしい」ピッチング。
でも、味方打線が相手先発のリンスカムに襲いかかって2回7安打5点という猛攻だったので、ちょっとガスリーはかすんでしまいました……っていうか、だいじょうぶか、リンスカム?
しかもそんな試合展開なのになぜか最終的にはSFが勝っているという……まあ、スプリングキャンプですから。
あと、この試合、49歳のジェイミー・モイヤーがロッキーズの2番手として投げ、2イニングを被安打1、無失点、無四球、奪三振1というすばらしい投球をしてます。すごすぎる。11月18日生まれかあ。わたしと1日違いだわ。(年はちがいますよ。どっちが上とは言いませんが。)
◎オリオールズ若手捕手、シートベルトで命拾い
オリオールズのマイナーリーガー(1A)、マイケル・オールマン(21)が、6日(現地時間)の練習後、交通事故に遭い軽傷を負ったとという記事を見ました。軽微な事故かと思いきや、運転中に前方不注意の車に横からつっこまれて自分の車が横転、逆さまになった状態から自力で脱出したとのこと。なんでもクリスマスに友人が交通事故で亡くなり、シートベルトをしていなかったのが原因のひとつだったため、ベルトを忘れないよう心がけていたのだそうな。CTでは異常がなかったようですが、肩に少し痛みがあるのでMRIもとるようです。でも命が無事でよかった。【その後MRIで肩のダメージが判明。リハビリか手術かということになってしまったよう。不運だけど、やっぱり命あっての物種ですから。この件で初めて知った選手だけど、しっかり治してほしいです。】
ところで招待選手ではないオールマンがメジャーのキャンプに合流していたのは、今オフにマイナー契約で獲得した捕手ロニー・ポーリーノがビザの問題か何かで一向に姿を見せないから。今キャンプには新加入の投手が山のようにいるので、捕手もおおぜい必要なのになぜかいろいろ御難続きなオリオールズなのでありました。
◎ディラン・バンディ、BOS戦で堂々のデビュー。
6日のBOSとのオープン戦で、昨年のドラフト全体4位、19歳のディラン・バンディが実戦デビュー。ペドロイアにストレートの四球を与えたものの、エルズベリー、A・ゴンザレス、エスポジトという中核を95-97マイルの速球で打ち取る堂々のデビューを果たしました。
動画が見たいけど見つからない~。
おそらくオープン戦は、あと1試合ぐらい上で投げてからマイナーに配属になり、今年は1A~2Aあたりですごすと思われますが、19歳とはとても思えない体格や、成熟した話しぶりなどを見ていると、メジャーデビューもそう遠くないなと思わされます。じつに楽しみです。(こちらはインタビュー映像。ボルチモア・サンなので無料で見られるページ数が限られています。もし見られなかったらごめんなさい。)
◎最後に昨日のダルビッシュの試合後コメントから。
2回にベナブルに大きなあたりを打たれたことについて、ダルがこうコメントしています。
「乾燥も風もある。普通より伸びているが、そんなに捉えられたという感じはしなかった」(ソース:ニッカン)
("The dry air in Arizona and the wind blowing out carried the ball pretty far,To me, it didn't seem that it was hit very squarely.")
( )内は通訳さんによる英語。きちんと訳されてます。
さて、これに対して打ったベナブルがどうコメントしたか。
"Maybe his perception of reality isn't as right on as ... I don't know," Venable said. "No comment."
(「現実の認識がちょっとどうなんだ……まあ、ノーコメントで」)
うん、おだやかじゃないね(笑)
CBSのスコット・ミラーは「打たれた打者に対してこういうそっけない(dismissive)コメントを続けると、なかなかおもしろい抗争に発展するかもしれない」と書いてます。(記事こちら)
まあ、そうは言っても日米メディアともにほぼ絶賛の嵐でした。
ちなみに上原のオープン戦初登板は日本時間10日の予定。昨日、珍しく報道ステーションで工藤さんによる上原インタビューが流れました。工藤のことを「きみちゃーん」と呼ぶ上原(笑)。カットボール、スライダー、相変わらず練習中のようですが、なかなか表情も明るくてよかったです。――と、最後はKoji's Classroom らしい話題で締めてみましたw。
【追記】今日まもなく行われるレンジャーズのオープン戦ではネフタリ・フェリスが先発の予定。クローザーからの転向がうまくいくか。こちらのほうがむしろレンジャーズの今季を左右するかもしれません。さらに建やんと、新クローザーのネイサンも登板予定。一方、オリオールズではガスリーとトレードでやってきたナイスガイ、ハメルが登板予定。どちらも注目です。(でもたぶん寝ます。)
【追記2】フェリスは初回ヒット2本のあとアダム・ダンに3ラン。2イニングめは三者凡退で2回3失点。変化球が課題のよう。建やんは1回2三振と好投してます。16球中11球がストライク。ブルペンの最後の1枠を争っているみたいなんだけど、がんばってほしい。試合は6-3でホワイトソックス勝利。
O'sは2-1でブレーブスに勝利。オープン戦なのにタイトな戦い。ハメルは制球イマイチながら2回無失点だったもよう。
【追記3】あら、ダルビッシュが弁明のツイートしてる。 「球は捉えられてないと思ったけど思ったより飛んだ。パワーありますね。」という意味です。 」
「ロスト・イン・トランスレーション」というよりは、若干の言葉足らずだったか?“何気なくコメントしたつもりだったのに、そこに反応するんかい”という驚きがあったかもしれません。メジャーリーガーが何を大切に思うか。文化をまたぐ選手たちにとっては、それもまた日々の学びだし、それを端から見るわたしたちにとっても、いろんな差違を知ることのできる機会です。