Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

延長17回:DH→投手×2

5/6 オリオールズ9ーBOS6 ○

移動をひかえていようが、どれだけ時間がかかろうが、人がいなくなろうが、とことんまで決着をつけるMLBだからこそ生まれるワイルドな試合というのが年に何回かあります。今日のゲームはそのなかでも超弩級の奇想天外な試合でした。

いや、奇想天外というより、「こんなことがあったらおもしろいな」という妄想をそのまま実体化したような試合というべきか。マンガやドラマの脚本として書いたら「作りすぎでリアリティに欠ける」って言われそうな展開というか。

デーゲームだったので、今日は朝起きてから結果だけチェックするつもりでした。でも起きたら6-6同点でまだ続行中。おや、と思ってパソコンを立ち上げ、中継をチェック。まさかそれからまるまる1試合分見ることになろうとは。

オリオールズは、BOS先発のバックホルツからハーディーの2HRとアンディーノの3ランで4回までに5点を奪ってリード。ところがこちらの先発トミー・ハンターも満塁HRを打たれるなどして同点に。両チームとも早々とブルペン勝負に突入。

8回に1点ずつを加え、6-6。

(このとき、ツーベースを打ったオルティスに代走ダーネル・マクドナルドが出たことがのちの展開の伏線になります。)

9回裏には一死からアヴィレスがヒットで出塁するものの、三振ゲッツーでチェンジ。一昨日(13回)に続く延長戦に突入。

たまにランナーは出るものの、どちらもブルペンがよく投げて淡々と回を重ねていきます。14回までに両軍合わせて30三振、7併殺(^_^;;

そしてオリオールズは15回までにブルペンを使い切り、ついに16回裏、DHで試合に出ていたクリス・デイヴィスをマウンドに送ります。

最近打撃好調のデイヴィスでしたが、今日は落とし穴にはまったかのように5三振(!) しかも6打席目は併殺、7打席めもセカンドゴロ。

監督にブルペンで準備しろといわれたとき「やったあ。今日は打つのがダメだから、投げるのもいいな」と思ったのだそう。その気楽な心構えがよかったのかもしれません。

四球連発するんじゃないかと思っていたら、初球、けっこういい球でストライク。意外とコントロールがよく、しかもファストボールも最速90マイル。先頭のサルタラマッキアを三振に! ベンチも大盛り上がり。

しかし2死後、サード(@鬼門)ベトミットのエラーでランナーが出ると、アヴィレスが左中間を割るツーベース。ランナーがサードを回り、万事休すと思いきや、アダムズ→JJハーディー→ウィーターズと完ぺきな中継プレーでホームタッチアウト! 実況のゲーリー・ソーンの"We are not done yet!"(まだ終わりじゃない!)という絶叫で興奮がいやが上にも盛りあがりますw 

このときBOSのブルペンでも、オルティスの代走に出たあとDHに入っていたマクドナルドがウォームアップしていました。ツーベースが出たとき「やった! これで投げなくてすむ」と思ったのだそう。この微妙な気持ちの揺れが結果に作用したか。

17回表に登板したマクドナルドは1死からヒットと四球でランナー一、二塁。続くアダム・ジョーンズがグリーンモンスター上段への3ラン! 完全にストライクをとりにきた半速球ではありましたが、逃さずにスタンドに打ち込んだのはすごかった。

そして17回裏、マウンドにはひきつづきデイヴィスがあがります。(続投なんだ!とびっくり。でも、翌日先発のマトゥスを使いたくなくてデイヴィスに託したんだから、そのまま終わらせるしかないわけです。)

しかしスウィーニーがヒット、ペドロイアが四球でノーアウト一、二塁。打席にはA・ゴンザレス。大ピンチ。

けれど、実は野手と対戦しなくてはならないバッターもいやなものなんですよね。

デイヴィスはなんと本人談「スプリッター」でA・ゴンを三振に。(ちなみにゴンザレスも今日は8の0。)

最後の打者は、「相手投手」マクドナルド。ゲッツーで試合終了。(マクドナルドもある意味踏んだり蹴ったり……。)6時間7分のたいへんな試合でした。(動画 ゲーリー・ソーンの絶叫をお聞きください(笑))

驚いたのは意外とデイヴィスの投手としての能力が高かったことですねー。23球中ストライクが15球。シンカーだかチェンジアップだかわからない球でストライクをとり、本人いわく「スプリット」で三振も奪い。学生時代に投げていたようですが、ショウォルター監督がテキサス時代のデイヴィスを知っていたことがこの起用につながったもよう。

ファンにとっても選手たち自身にとっても忘れられない試合になりました。

もろもろ記録などを。

・8打数ノーヒットで勝利投手になったのは1905年のルーブ・ワデル以来107年ぶり。その試合の負け投手はサイ・ヤング

・両チームとも野手がマウンドに立ったのは1925年10月4日以来87年ぶり。デトロイトタイ・カッブとセント・ルイスのジョージ・シスラーという顔合わせ(イチローが安打記録を抜いたあの選手ですね。)

・両軍合わせて投手18人使ったのはフェンウェイ史上最多。

オリオールズのボストンでの3連勝スイープは1994年6月10~12日以来。

オリオールズは19勝9敗。今日の時点では両リーグ最高勝率。(たいして意味はないです(笑))

これでロードを5勝1敗で乗りきり、明日からはホームでTEX、TAM、NYYとまたまたきつい連戦に入ります。

ノーラン・ライモルドがBOS戦の前にDL入りしていてそもそもベンチは手薄。そこへきて今日はブルペンを使いきったため、明日、第3捕手のエスポジトを降格してリリーバー、ステュ・ポメランツを昇格させる模様。勢いがあるとはいえ、けっして楽じゃないどころかとってもたいへんです。

レンジャーズ戦ではとにかく先発の隙を逃さないでほしい。今季オリオールズは先発にある程度球数を投げさせて降板につなげ、ブルペン勝負で勝ちに行くパターンが多いのですが、TEXブルペンが優秀なのでそれではたぶん間に合わない。先発のちょっとしたほころびを見のがさず一気に攻略することが必要です。(言うは易し。)

偶然にもきのう、デイヴィスとジョーンズという今日ヒーローになるふたりのインタビューがMASNの記事になっていました。

「いいメンバーが集まっている。いっしょにやっていて楽しい」(デイヴィス)というお互いへの信頼感と、「監督は全力でプレーすれば喜んでくれる。たとえ失敗しても必死にやっていれば認めてくれる。そういう監督のもとでやれているのが大きい」(ジョーンズ)という結束感。

まあ、2005年には19勝9敗というスタートを切りながら結局負け越したなんて例もあるので、いささかもはしゃぐ気持ちはないのですが、ショウォルター監督就任以来のオリオールズを見ていると、今の戦いぶりがけっしてまぐれではないということも感じるのでした。

Stay hungry, stay healthy. Go, Birds!