Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

オリオールズ・ルネサンス:マジカルな一夜

ひゃー、もう、言葉にならないっていう意味では今季一番の試合でした。

ただただ、すごすぎる。クレイジー。MASN実況のゲーリー・ソーンのセリフを借りれば「アン・ビ・リーバブル! (Un-Be-Lievable)」 なゲームでした。

9/6 オリオールズ10 - NYY 6 ○ 勝:オデイ(7-1) BOX

試合前、カル・リプケンJr.の銅像の除幕式が行われました。今季オリオールズがずっと行っている企画の一環で、殿堂入りしたオリオールズ選手たちの銅像を1シーズンかけて順次建てていくというものです。今日9月6日はリプケンルー・ゲーリッグの2130試合連続出場を抜いて歴代1位になった記念日。その日にあわせてリプケンのセレモニーが行われたのでした。

このセレモニーも寄与したか、今日のカムデンヤーズは満員札止めの46,298人という大観衆。インターリーグナショナルズ戦でも45,000人以上入りましたが、それをしのぐ観衆です。2、3日前からボックスオフィスに長蛇の列ができているという報道を見ていたので、観客が多いのはわかっていましたが、半分ぐらいがヤンキースファンなんじゃないかと危惧していました。ところが映像を見たらスタンドはオレンジ一色。うれしいじゃあありませんか。うるうるうる。じつは先週のホワイトソックス戦でしたか、1万人そこそこの観衆しか集まらなくて、首位争いをしているのにこれか……と、がっかりしていたのです。(先週は、市街でカーレースが行われ、交通規制があったりした影響も指摘されていましたが。)

なので、オレンジ色に染まった、ビリビリと電流の走っていそうな観客席を見たら、テレビ越しでもぞくぞくきました。

そんななかでオリオールズは1回裏、アダム・ジョーンズのタイムリーとマット・ウィーターズの3ラン(また!)でいきなり4点先制。そのあとも4回に伏兵アンディーノ、6回にマーク・レノルズの19号(!)という2本のソロで着々加点。勝負あり……?という雰囲気が漂いはじめます。

オリオールズ先発は膝の内視鏡手術をはさんでおよそ2か月ぶり登板のジェイソン・ハメル。マイナーで1試合投げだだけだったのでどうかなあと思っていたのですが、安定感は衰えてませんでした。

4回にはカノーのピッチャーライナーが直接右ひじにあたり、きのうのA's、ブランドン・マッカーシーの事故もあったので(後述)どきっとしたのですが、根性で(?)続投。けっきょく5回6安打、6奪三振、1失点でした。りっぱです。今日はもともと「85球か6回か、どちらか先に到達した方で替えようと思っていた」と監督も言っていたので予定の交代。ハメルが戻ってきてくれたのはほんとうに大きいです。(動画)

ハメルのあとはブルワーズからリリースされてオリオールズにやってきたウルフがナイスリリーフ。けれども8回、四球とタイムリーで失点し、さらに四球を出したところでペドロ・ストロープに交代。

ここから戦況が一挙にアヤシくなっていきます。先日のチェンの登板日もそうだったのですが、このところストロープは制球が定まらなくて、何登板か連続して失点しているんですよね。けっきょくヒット、四球、押し出し四球のあと、イチローに2点タイムリーを浴びて同点に。うそやー。

でもこれが9月の野球ですよね。何が起こるかわからない。このクレイジーな雰囲気のまま10月になだれこんでいくわけで。実況でも "That is Ichiro Suzuki's biggest hit as a Yankee!" と言ってましたし、こんな場面が見られてよかったという気持ちも。(勝ったから言ってます。←やらしいよ!)

このあとダレン・オデイがジーターをポップフライに打ち取って、どうにか同点どめ。これが大きかったなあ。けっきょく勝ち星はこのオデイにつきます。リリーフで7勝めですからね。持ってます。

ストロープのピッチングに関しては、試合後に記者からも質問が出て、ショウォルター監督は、「ここまで来られたのは彼のおかげでもあるということを、忘れちゃいけない」と強調しながらも、「あと20数試合しかないから必要な手は打っていく」と、微妙な言いまわしで役回り変更の可能性をにおわせていました。ロスター拡大のおかげで今ブルペンにはウルフとマタスという左腕2枚がいますから、これからああいう場面でマタスを使うのも面白いかもと思います。これまでリリーフでは比較的いい結果を出していますし。

というわけでどうにか同点でとどめた8回表。さあ、なんとか勝ち越しを……な~んて願う間もなく、先頭のアダム・ジョーンズがいきなり弾丸ライナーの28号HR! 7-6と勝ち越し。ジョーンズは、今季28本中18本が同点弾、または逆転・勝ち越し弾だそうです。さらにウィーターズがヒットで続くと、レノルズがこの日2本めとなる滞空時間のなが~い20号2ラン! ゲーリー・ソーンも思わず "Are you kidding me? Un-be-lievable! (うそだろう? 信じられない!)と絶叫するど派手な展開。そしてそして、TVのリプレイが終わるか終わらないうちに、こんどはクリス・デイヴィスが軽~くバットをひとふりしてライトに特大24号HR! すごすぎます。だれもいない家のなかでひとり絶叫するわたしは、ただのアヤシイ人になってました(笑)。それでは今日飛び出したオリオールズの6HRをまとめてどうぞ。それからアダム・ジョーンズへのシェービングクリーム攻撃も。今季、他の選手に何度もしかけていましたが、ついに自分がやられる立場になりました(笑)。

メジャーリーグは魔法で勝てるほど甘いところではないとショウォルター監督は言いましたが、今日、スタジアム全体にマジカルな雰囲気が満ち満ちていたのは否定できません。カル・リプケンJr.の記念日、そしてセレモニー。オレンジ色に染まった満員のスタンド。超自然の魔法ではなく、人の心や力が生み出す魔法だったように思います。いくつか印象的なフレーズがあったので引用しておきます。

オリオールズの一員であるということは、9月に重要な試合を戦うということだ」(カル・リプケンJr. 試合前のセレモニーより)

「選手たちはみんな、試合が始まったときから、いい目つきをしていた」(ショウォルター監督)

「今までの人生で最高のホームランだった。これまでのすべてがあの一本につながっていた」(アダム・ジョーンズ)

カル・リプケンのセレモニーの日に負けるわけにいかないでしょ? 許されないよ。だから野球の神様が、ちょっと手をかしてくれたのかもしれないね」(ジェイソン・ハメル)(ソース:ボルチモア・サン)

つねづね満員のスタンドにあこがれていたアダム・ジョーンズは、黄金時代を知るトレーナーのリッチー・ブランセルズに「この球場が超満員になったらどれくらいの大歓声になる?」と、しばしばたずねていたそうです。すると今日、ジョーンズが8回裏に勝ち越し弾を打ったあと、ブランセルズがジョーンズのもとにやってきてこう耳打ちしました。

「これくらいの大歓声だよ」

過去と現在が交錯した一夜。今日観戦したオリオールズファンにとっては、きっと生涯忘れられない試合になることでしょう。願わくはこの日が、「オリオールズルネサンス」の始まりの日になりますように。

明日は中5日でチェン。あれこれ考えず、ただウィーターズのミットを目指して投げてほしい。そうすればあとのことはきっとみんながなんとかしてくれるでしょう。がんばれ! 

Go, Birds!

もろもろ記録や情報などを:

オリオールズが6HRを打ったのは2007年8月28日のタンパベイ・デビルレイズ戦以来。その日の相手先発は今日O’s先発のハメル。しかもその試合、8回に11点とられて負けたそうです(汗)。(BOX)(岩村が1番で3安打だ~。)

オリオールズヤンキース戦ここ4試合での長打12本はすべてHR。

◎レノルズは最近7試合で8HR。1試合2HRが3回。

ヤンキース戦で1シーズンに3回複数HRを記録したのは1938年のハンク・グリーンバーグ以来史上ふたりめ。

◎ジェイク・アリエッタが再昇格(たぶん明日、正式に登録)。ブルペンか先発かは状況を見て決めるとのこと。

◎アスレチックス、ブランドン・マッカーシー投手が頭部手術。

 5日のエンゼルス戦でアイバーのピッチャーライナーを頭部に受けたマッカーシー、自力で歩いて退場したものの、頭蓋骨骨折の重傷を負っており、昨夜、硬膜外出血を除去し、骨折した頭蓋骨を固定する2時間におよぶ手術をうけたとのこと。さいわい、現在、容体は安定しているそうです。投手は危険な職業だ……。チームが好調な中での離脱はくやしいでしょうが、万全の回復をお祈りします。