Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

Clinched! 15年ぶりのポストシーズン進出決定。

オリオールズは地元での最後のシリーズ、レッドソックス3連戦をスイープ。そして今日、エンゼルスがレンジャーズとのダブルヘッダー第2試合に敗れたため、オリオールズの1997年以来15年ぶりのポストシーズン進出が決定しました! パチパチパチ。(同時にNYYとレンジャーズの進出も決まっています。)

レンジャーズの試合も含め、なかなかにクレイジーな1日でしたが、まずは第1ステージクリアです。

(しかも、オリオールズの今日のクリンチに上原さんも力を貸した形に。うれしかったなー。)

3連戦を簡単にふりかえります。

9/28 オリオールズ9 - BOS2 ○ 勝:ティルマン(9-2) BOX

初回に先制されるも、その裏クリス・デイヴィスの29号2ラン、フラーティーの6号グランドスラムで強烈にお返し。6回にも4連打で3点とってダメ押し。投げてはクリス・ティルマンが8回1失点(自責0)のナイスピッチング。なんと、初回のバントヒットのみの1安打ピッチングでした。なんて頼もしい投手になってくれたんでしょうか(T_T)

9/29 オリオールズ4 - BOS3 ○ 勝:ハンター(7-8) S:ジョンソン(49) BOX

マチャドの先制打、クリス・デイヴィスの30号ツーラン(!)などで3点先制しますが、すいすい投げていた先発のスティーブ・ジョンソンにアクシデントが。4回、ペドロイアの打球を足首に受けてからリズムがおかしくなり、5回、サルタラマッキアの2ランで降板。その後、コディー・ロスの犠牲フライで同点に。なおジョンソンは、足首のレントゲンをとって異常がなかったものの、同じプレーで左膝も痛めたらしく、明日MRIを撮る予定。先発に、ロングリリーフにとたいへんいい活躍をしてきたジョンソンなので、どうかやっかいなケガではありませんように。

そして同点の7回、先頭のマニー・マチャドが弾丸ライナーのソロHRをレフトへ「プロで打った一番大きいホームラン」(飛距離ではなく場面)と自らもいう7号HR。結局これが決勝点になりました。タイムリーとHRをまとめた(動画)をどうぞ。

この試合、すんばらしいプレーも多かった。

6-4-3のダブルプレー マチャドはほんとにうまいなー。この日、銅像の除幕式があったかつての名サードブルックス・ロビンソン氏から「あのサードの子はいいね。野球センスがすばらしい」とほめられてました。

そしてマーク・レノルズのファウルフライキャッチ。レノルズはサードであんなにボロボロだったのに、一塁に移ってホントに輝いてます。こういうハッスルプレーもよく見ますが、少しそれた送球を体をいっぱいに伸ばし、でもベースからつま先をはなさずにキャッチするのが十八番。実況のゲーリー・ソーンからは「magic toe (魔法のつま先)」と呼ばれています(笑)。

さらに9回に守備固めで入ったチャベスのダイビングキャッチ。これぞ守備固めってもんです。1点差の最終回にこれはめちゃめちゃ大きかった。最後はジム・ジョンソンが締めて、この日トロントに敗れたNYYとふたたび同率首位にならびました。すげーペナントレースだ。

9/30 オリオールズ6 - BOS3 ○ 勝:ソーンダース(9-13) S:ジョンソン(50) BOX

ジョー・ソーンダースは、8月末にダイヤモンドバックスとのトレードでやってきたわけですが(交換相手はリンドストローム)、その後ハメルが復帰してまたすぐに膝を痛めたこともあり、頼れるベテランとして働いています。実にタイミングのよい、意味のある補強でした。今日も7回1/3 3失点としっかり試合を作りました。

打線はネイト・マクラウスの先頭打者弾(7号)、最近好調なトーミのタイムリー、ハーディーの22号、クリス・デイヴィスの31号などで6点。

最後はジム・ジョンソンが締めて50セーブめ。ジョンソンにはどんなに感謝してもし足りません。10月のし烈な戦いでも、どうかがんばってほしいです。

このあと4万人の観衆とともに選手はグラウンドに残り、4-3とリード中のレンジャーズの試合を観戦。そのままレンジャーズが勝ってエンゼルスが負ければオリオールズポストシーズン進出が決定するところだったのですが、なんと守護神ネイサンが痛打をくらってTEX逆転負けという結果に。いちおうクラブハウスにはシャンパンも用意されていたようですが、選手たちはそのままひきあげてこのあとのレイズ戦に備えタンパに移動しました。

ところがこの移動中にチャーター機内の電子レンジから煙が出て、ジャクソンビルに緊急着陸というアクシデントが発生。あくまでも大事を取ってということだったようですが、まったくいろいろあるなあ(^_^;; 片時も気を抜けない2012年であることよ。

そうこうしているうちにテキサスではダブルヘッダー第2試合が始まり、先発ホランドが1回にいきなり4失点。しかしナポリの2発でどかんと逆転して8-4。いよいよ……と思ったら7回にまたホランドくんが3ランを喫して(これ、交代が一歩遅かったですかねえ)8-7と1点差に。

こりゃあへたしたらクリンチどころか、TEXが優勝逃すのまであるかも……と思いはじめた8回、われらが上原さんが登場。アイアネッタ、トラウト、イズトゥリスを気持ちよ~く三者三振に!(あとで上原編で詳述します。)大盛り上がりの場内。この勢いに乗って、9回はこんどこそネイサンが締めて、試合終了。

この瞬間、オリオールズ、レンジャーズ、ヤンキースポストシーズン進出が決定しました! パチパチパチ!

オリオールズは、緊急着陸のあとふたたび飛び立った機内で知らせを聞いたようです。拍手がわきあがり、あちらこちらで固く握手を交わす姿が見られたとのこと。その瞬間、見たかったなあ。でもバック・ショウォルターも言うように、これがゴールではありません。

「ゴールがどこにあるかはみんなわかっているし、まだそこには到達していない。これからタンパで非常に厳しい戦いが3試合待っている。それがすべて終わったとき、自分たちのポジションも明らかになるだろう。162試合以上戦えることだけははっきりしたが。

進出が決まったのはうれしいことだし、とても誇らしく思う。いくつか段階があって、まずはダンスパーティーの座席を確保するのがその第一歩だよ。次はなんとかして、ホームのファンの前でもういくつか試合を見せたい。地区タイトルを狙える位置につけているのだから、それを目指して戦うよ」

まだ10ゲーム離されていたころから、目指すのは地区優勝だと語っていたショウォルター監督。

「ほかの目標なんてあるのかね? 地区優勝という目標のために、われわれは毎朝起きるんじゃないのか?」(8月のエントリ)

あらためて、勝負師だな、とことんまであきらめない人だなと思います。

そういえば今日、ESPNの記者がショウォルター監督の子ども時代の思い出を語っていました。ソースはこちら。とても興味深い話なので、最後にそれをご紹介しましょう。

フロリダで育った子ども時代、幼いショウォルター少年は、大きい子たちの野球の試合に混ざりたくてしかたがなかった。でもなかなか仲間に入れてもらえない。あるとき近所の公園にグラブを持っていき、追いはらわれても帰らずにいると、一人の子の打ったボールが近所の家のポーチの下に入りこんでしまった。

「おい、あのボールをとってきたら、一度打たせてやるよ」

そう言われたショウォルター少年は一も二もなく飛んでいき、ポーチの下にはいつくばってボールを救出した。

ところがポーチから出てきたところで犬とはちあわせする。ちょうどボールのころがっていたあたりにいた小犬の母親で、気が立っていたのか、いきなりショウォルター少年にとびかかり、あごにガブリとかみついたのだ。

あわてた子どもたちが大人に知らせて、ショウォルター少年は病院へ直行。何針も縫うケガだった。けれども治療が終わるとショウォルター少年は、その痛々しい姿のまま公園に行き、「ボールをとりかえしたんだから打たせて」と言ったのだ。びっくりした子どもたちが、少年を仲間に入れてやったのは言うまでもない……。

これがバック・ショウォルターだ。ボルチモアのチームカラーを変え、少々血を見ようが、ほしいものを手に入れるまでは決してひきさがらない男なのだ。

おめでとう、オリオールズファン。これまであまりにも長かった。

そして、シーズンは、まだ続いていくのだ。