Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

ワイルドカード対決に勝利。ホームへ!

"And the magical season of the Baltimore Orioles continues!"

(そしてボルチモア・オリオールズのマジカルなシーズンは、まだ続きます。)

――オリオールズが勝った瞬間の実況アナの言葉です。コメント欄でも言及していただきましたが、わたしもこのフレーズにしびれました。バックは「magic」っていう言葉がきらいかもしれないけど、やっぱりマジカルですよ。でもきっとそれは、前にも言ったけれど、人の心や力がつくりだす魔法なんです。

10/5 オリオールズ5 - レンジャーズ1 ○ 勝:ソーンダース 負:ダルビッシュ BOX

オリオールズは、今季のレンジャーズとの対戦成績が2勝4敗。しかも敵地で、先発は今季初顔合わせの、しかも終盤に調子をあげてきたダルビッシュ。対するこちらの先発は、移籍以来ソリッドな投球をしているとはいえ、レンジャーズパークではERA9点台というジョー・ソーンダース。あまりいい材料がそろっているとは言えなかったのですが、アスレチックス戦で3連敗したレンジャーズの傷は予想以上に深く、また「勝たねば」というプレッシャーもオリオールズよりははるかに大きかったのだと思います。オリオールズの選手も試合後のインタビューでは1ゲームで決まることのプレッシャーを口にしていましたから、もちろん同じように感じていたと思いますが、それ以上にこの舞台で戦うことの喜びが大きかったのかもしません。それにクロスゲームを多く体験してきたせいか、比較的落ちついているように見受けられました。

なによりも目をみはったのはソーンダースの5回2/3、1失点というピッチング。レンジャーズ打線の不振にも助けられたとはいえ、要所要所でゲッツーを打たせ、またゆるい球でカウントをとり……と、おみごとな投球でした。

オフにガスリーをロッキーズにトレードしてハメルとリンドストロームを獲得。これがふたりとも活躍し、8月末のトレードで今度はそのリンドストロームダイヤモンドバックスにトレードしてソーンダースを獲得したところ、また大事なところで活躍。なんとガスリーがふたりの経験豊富な先発投手に化けたという結果に。当初は「今さらガスリーを出して、中途半端な投手をふたり獲得してどうすんだ?」と、全メディアからバカにされたトレードがこんな魔法のような実りを生むとはだれが予想したでしょうか。あのときバカにした人はちゃんと「見る目がありませんでした」と謝ってもらいたいもんですが、みんな知らん顔してこんどはダン・デュケットをほめている。

ふんっ、そんなもんさ、世の中なんて。

ソーンダースのあとオデイ-マタス-ジム・ジョンソンのリレーはいつもどおり盤石。とくにオデイがすばらしかった。JJは満塁にされましたが、点差のあるところで一度厄払いできてよかったです。

攻撃は、いつものような長打に頼らず、しぶく、いやらしく得点を重ねました。初回はエラーで出塁したマクラウスがすかさず盗塁して、ハーディーのタイムリーで1点。勝ち越し点はジョーンズの犠牲フライ。7回の3点めは、ヒットのマクラウスをマチャドが送り、さらに代わったホランドのWPでサードに進んだところでマクラウスのタイムリーが出たもの。こんな点のとりかたもできるんだよ~と。9回、ネイサンから打ったマチャドのタイムリーも立派でした。初球、2球めまでは振りまわしていましたが、途中でアプローチを変え、短く振り抜いてのヒット。この人はほんとにただ者じゃありません。

いっぽう、レンジャーズのポイントは、7回、ダルビッシュからホランドへの交代だったでしょう。あの時点で上原はまったく肩を作っておらず、ブルペンではホランドとネイサンが投げていました。6回にダルが肩を回す仕草をしていたので、万が一に備えてホランドをアップさせたのはわかったのですが、上原よりさきにネイサンがアップし始めたときには「んんん?」という思いを抑えられず。ワシントン監督は、上原を重用するわりには究極の信頼感を抱いていないのか、ここぞという場面では別の投手を起用することが多いと言わざるを得ません。

オリオールズ目線からしても、ダルの代わりに制球がややアバウトで速球系のホランドが出てきたのは、正直ありがたかった。オリオールズは速い球に強い打者が多いです。結局、ワイルドピッチがあったことで投げる球種も限られてしまったような気がします。

ずっとワシントン監督の肩を持ってきたレンジャーズ地元メディアもこの交代にはめずらしく疑問を投げかけていました。ワシントン監督は左対左のマッチアップと説明していましたが、ホランドはダルや上原よりも対左の被打率が悪いのです:ソース。

でも、それが負けるということ、結果が出なかったということなんですよね。うまくいけば誰も何も言わない。思った結果が出ないと、いろいろ言われる。勝負の世界に生きる者の宿命です。

そういう意味で、ハミルトンがブーイングを受けたのも自ら招いた事態だったのは確かです。でも前半あれだけ打って、ハミルトンのおかげで勝たせてもらった試合が山のようにあっても、あんなに無残にブーイングを受けるんだなと、つらい気持ちになりました。ジョシュ・ハミルトンはナイーブな人だと思うので、ブーイングによって、さらにパフォーマンスが悪化したのは間違いないでしょうね。それを跳ね返すのがプロだろうと言われればそれまでなのですが。

で、7回に投げなかった上原は、3-1と2点差に開いた8回表に登板。快刀乱麻のピッチングを見せてくれました。

トレード相手だったクリス・デイヴィスを5球め、高めのファストボールで空振り三振!

アダム・ジョーンズを7球めのフォークで空振り三振!

マット・ウィーターズにはきわどい大ファウルも打たれましたが、6球めのフォークで空振り三振!

空振りでの三者三振。レンジャーズボールパーク、掛け値なしに、この日一番の盛りあがりでした。

このときだけは完全にレンジャーズ側に立って見ていたわたしです。

もし、7回のピンチの場面で上原にスイッチだったら、もっときりもみ状態になっていたかもしれません(笑)。

このあと9回、少し残った熱を引き継ぐかのようにレンジャーズは塁を埋めますが、最後はマーフィーのレフトフライで万事休す。

オリオールズがワンデー・プレーオフを制して地区シリーズへ駒を進めました!

最後の場面の動画です。抱き合って祝福しあう選手たちを見まもるバック・ショウォルターの笑みがすてき。選手たちをじっとながめ、それから振り向いてスタンドを見わたし。「年をとると、こういう場面を目に焼きつけておきたいと思うようになるんだよ」とよく口にするので、きっと思いきり目に焼きつけていたんだと思います。

常につぎの試合のことを考えているバック・ショウォルターなので、こんな笑顔を目にすることはまれですが、皆無ではありません。こちらは昨年5月12日、マリナーズ戦のときの動画。サヨナラ勝ちで喜びあう選手たちを、今日と同じようにお父さんのような笑顔を浮かべて見つめていました。バックのこんな顔をもっと見たい、と選手に思わせるような表情です。(バックマニアのわたしだから思うのかもしれないけど(笑))

試合後のシャンパンファイト。よかったねー、シャンパンファイトができて! ポストシーズン進出が決定したときは、飛行機での移動中だったからできなかったんですよね。(その前、グラウンドで待っているときレンジャーズがエンジェルスに勝ってくれればホームで祝えたのですが、ネイサンが逆転を食らったためにマボロシになってしまったのでした。)

選手たちから集中砲火を浴びるバック(笑)。こちらも。

動画も。ジョーンズ。ウィーターズ。オデイ。

DL中のロバーツやマーケイキスもいっしょになって楽しんだようです。よかった。

【追記】もっとクリアで長いビデオがアップされてました(リンク)。デュケットGMもいっしょにずぶずぶになってますなー(笑)。笑顔、笑顔、笑顔。

今夜はめいっぱい楽しみ、明日はホームへ。1日練習して、あさってからはALDS:アメリカンリーグ地区シリーズ。ヤンキースとの対戦です。

就任して間もない2010年8月に「ヤンキースはわれわれのバロメーターだ」と言い放ったショウォルター監督(当時のエントリ)。まさしくそのバロメーターで自らの力を測り、雌雄を決するときが来ました。

シーズン中にもし烈な互角の戦いを続けてきた両者。ホーム、アウエイにかかわらず、きっとわずかの差で勝負が決まるような激しい戦いになるでしょうが、ずっとそうであったように、オリオールズには自分の力を信じて、持てるものを発揮してほしいと思います。

初戦は、おそらく膝の故障から復帰のジェイソン・ハメルが行くものと思われます。がんばれ! もうしばらくこのマジカルなシーズンを堪能させてください。

Go, O's!

【追記】

Last but not least(久々に出た)――

上原さん、今季の登板お疲れさまでした。最高の投球でシーズンを終えた形になりましたが、ここで終わってしまうのがあまりにも残念。

昨年、地区シリーズで苦杯を喫したリベンジをぜひ達成してほしかった(T_T)

繰り言になりますが、せめてアスレチックス戦でひとつ勝てていたら……。

シーズン後、FAになります。おそらく引く手あまたでしょう。いろいろ考え合わせると、移籍する公算が高いような気がするのですが、どうでしょうか。こちらからも目が離せません。

【追記2】

この試合に関する上原さんのブログ。

ジョーンズ、ウィターズには、スプリットいくからなって言って、その通りに投げて三振を取れたし、何か久しぶりに楽しく投げれたような」って。あー、なんかいいな、と、うれしくなった一節でした。