Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

カムデンヤーズ再生。タイでブロンクスへ

スタンドが揺れる、とよく言います。英語だと "Electric" という表現をしばしば見かけます。

ビリビリと帯電し、エネルギーの充満したスタジアムを表す言葉。

ALDS(アメリカンリーグ・地区シリーズ)第1、2戦のカムデンヤーズがまさにそうでした。

どよめき、咆哮し、一個の生き物のように心をひとつにして試合にのめりこむスタジアム。

カムデンヤーズって、こんなになっちゃうんだ。すげー!

カル・リプケンJr.の銅像除幕式の日、6HRでヤンキースに勝ったあの日(エントリ)もすごかったけれど、さらにその上を行っていました。

観客数4万8817。もちろん今季最高。でもそれだけでなく、1球1球への声援も、ここぞというところで総立ちになってタオルを振るエネルギーも、なんかよくわからない歌(すいませんw)をサッカーのスタジアムのように歌う声の圧力も、見たことがないくらいすごかった。第2戦の9回、ジム・ジョンソンがマウンドにあがったときには、TV中継で音量計を持ちだし「120デシベル。わたしがこれまでレポートしたどんなスポーツイベントよりもすさまじい音量です」なんてレポートが入るほど(笑)。

1戦めは雨で2時間開始が遅れたし、2試合目も40分以上遅れたのにね。15年待ったからあと2時間ばかりどうってことない、とばかりに、少しもめげる気配のない観客たち。ここ最近は、NFLのレイブンズばかりが人気だったというボルチモアですが、やはり Great Baseball Town の伝統は生きていた。「魔法がかかった」というよりは、悪い魔法がとけてみすぼらしい森の小屋が元の壮麗な宮殿に戻るように、カムデンヤーズがようやく本来のすばらしい野球場としての姿をとりもどしたように見えます。監督も、選手も、試合後のコメントで口々にファンに感謝し、「背筋がぞくっとした」と述べていました。

[ついでにこちらはプレーオフに先立つグラウンド整備のようす。ヘッド・グラウンドキーパーが女性なんですね。かっこいいです。裏方さんたちもうれしいだろうな。願わくはもう一度帰ってこられんことを。]

10/7 オリオールズ2 - NYY7 ● 負:ジョンソン

2対2のしびれる試合のまま9回に突入後、同点で登板したクローザーのジョンソンがラッセル・マーティンにまさかの被弾。そのあと内野安打や、つまったヒットを打たれてたちまち5失点という悪夢のような終わり方でした。インディアンス戦だったかな、同じようなことがあったのですが、基本的に打たせてとるジョンソンにはたまにこういう試合があります。とはいえ、見てる方は「ぎゃ~~」と思うのですけどね。「立ち直れるかなあ……」と。

でもこの試合、好プレーも多かったんですよね。

イチローの三盗を刺すウィーターズ、そしてもういっちょウィーターズ。7回、イチローの内野ゴロバックホームで勝ち越し点を防いだ場面。ショートバウンドの難しい送球を何ごともなかったかのように処理してますが、これは試合後、ショウォルター監督が先ほどの盗塁阻止よりも先に「すごいプレー」とほめていました。それからクリス・デイヴィスのファウルフライキャッチ。これはちょっと偶然ぽく見えるけど(笑)。でもデイヴィスって、基本的に身体能力が高いんですよね。肩も強いし。まだときどきポカをしますが、今季、外野の経験を積んだのはすごくよかったと思います。

10/8 オリオールズ3 - NYY2 ○ 勝:チェン S:ジム・ジョンソン BOX

よかったよかったー、あのすばらしい大観衆に勝ち試合を見せることができて! オリオールズプレーオフにホームで勝利をおさめたのは、1997年10月8日以来ぴったり15年ぶり。そしてショウォルター監督にとっても、地区シリーズでの勝利は1995年10月4日以来8試合ぶりなのだそうです。

1回はあのイチローの伝説的なホームインもあり、暗雲立ちこめる立ちあがりでしたが、チェンがほんとうに粘り強く投げてくれました。6回1/3、2失点。(中スポにもリンク貼っておきます。いずれリンクが切れたらごめんなさい。あと、前エントリのコメント欄にもリアルタイムで書きこんでいますので、そちらもどうぞ。)

打つ方ではデイヴィスが満塁から2点タイムリー。10月に入ってからずっと、力まずにすっとバットが振れているのは心強いです。

この2点タイムリーのあと、ジョーンズにもジーターのグラブの下をぬくヒットが出ますが、ハーディーがA-Rodの「捕球したよ」という動作にだまされてホームインできず。ハーディーはこのあと超めずらしいトンネルもしたりして、この日はちょっとはまってました。でも切りかえの早いタイプなので、次は大丈夫でしょう。

そのあと1点ずつとりあいますが、チェンのあとをひきついだオデイ、マタスの好投もあり、勝負は1点差で9回へ。マウンドには前日5失点したジム・ジョンソン。ヤンキースは1番からの好打順。

けれども前日のコントロールミスを教訓に、ふだんどおりの投球をとりもどしたジョンソンは、みごとに試合を締めくくり、51セーブの所以(ゆえん)を見せてくれました。クローザーの鑑です。

初戦を落とした(それもクローザーの乱調で)ときは、へたしたらこのままもっていかれてしまうかもと思いましたが、よく五分にこぎつけました。

さあ、舞台はヤンキースタジアムへ。……と思ったら、夜中に電車が架線事故で止まり、ヤンキースオリオールズも途中でバスを手配してNY入りしたのだそうな。先日の飛行機の緊急着陸といい、ほんとにいろいろあるなあ……(苦笑)。でも今日1日ゆっくり休めますから影響はなさそうですね。

明日からは敵地での戦いです。あの充電完了したファンの力を味方につけることはできません。でもオリオールズはずっとそういう環境でやってきましたからね。昨年までは下手すると、ホームでもヤンキースファンやボストンファンの方が多かったりしたんですから。なので、まあ、それによってたじろぐことはないでしょう。

第3戦の先発は、2Aやメキシカンリーグを転々としてきた28歳の苦労人ルーキー、ミゲル・ゴンザレス。「どさまわりの演歌歌手」と、わたしは勝手にイメージしてますが、なんかそういうど根性みたいなものを感じさせる人。ふだんはおとなしいけれど、マウンドに立ったら、どんな状況でもナーバスになることはないそうです。

そのことばのままに、がんばってほしいです。

できるなら、もう一度、あのエレクトリックなカムデンヤーズが見たい!

そんな思いを胸に秘めつつ(秘めてないやん(笑))心からの声援を送ります。

(ああ、でも、明日はわたし仕事だから見られないんですよ。みなさん、わたしの代わりに応援してやってください!)

Go, Birds!