Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

雨にうたえば……NLCS名場面

いよいよワールドシリーズですね。

ジャイアンツ対タイガース。思わず「伝統の一戦」って言いたくなるけど、ワールドシリーズでは初対戦だそうで。

ポストシーズン、例年どおり楽しく見ております。

いや、去年は上原がワールドシリーズで登録からはずれて胸を痛めていたのだっけ。今年もディビジョンシリーズまではハラハラドキドキ、倒れそうなくらいオリオールズを応援しとりましたが、敗退したとたんにこの気楽な楽しみよう(苦笑)。勝ち進んでもらいたいと心から願っているのに、一種のジレンマではあります。

さて、きのう終わったナショナルリーグ・チャンピオンシップシリーズ(NLCS)は、非常に味のある、おもしろいシリーズでした。

なかでもいちばん印象に残った、好きな場面をあげるとしたら……あのハンター・ペンスの「奇跡の三度打ち」もさることながら、9回、いきなり天の底が抜けたようにどしゃどしゃ降ってきた雨と、ツーアウト後、空を見あげて両手を広げ、子どもみたいな笑顔で降りそそぐ雨に打たれていた――いや、雨を味わっていた――スクータロの姿をあげずにいられません。こちらがその動画。プレーの場面じゃないのに、ちゃんとこれを切りとってくれるMLB.comのセンスってすてき。そう、プレーの場面じゃないのに。それがなんでこんなに頭に焼きついてしまったんでしょう。

マルコ・スクータロはベネズエラ出身。1975年10月30日生まれの36歳。上原と同い年なんだ。わたしが知ってるのはブルージェイズでプレーしているところからですが、その前にアスレチックスで4年すごしています。2010年と11年はBOS。さらに今年の7月まではロッキーズにいたんですね。知らなかった。

そして7月27日、トレードでSFへ。ロッキーズでは打率.271、OPS.684という成績だったのが、SFでは.362、.859と急上昇。水が合ったんでしょうか。そして今年、初のポストシーズンへ。

もうここまでですでにずいぶんな長旅のすえにたどりついたポストシーズンだということがわかるのですが、このあとさらにドラマ性が増していきます。NLCS第2戦の初回、カージナルスの攻撃。ゲッツー崩しをねらったホリデーの強烈なスライディング。日本のファンなら誰しも西岡の骨折を思いうかべたにちがいありません。でもスクータロは立ちあがり、このあとタイムリーヒッも放ちます。痛みが増して途中交代したものの、X線MRI検査の結果は異常なし。ホリデーのスライディングを「電車と衝突したみたいだった」と笑いとばす余裕をみせ、第3戦もぶじスタメンに名をつらねます。するとバッティングの調子もさらにぐんぐん上昇して、なんとポストシーズン10試合連続安打。第7戦でも3安打。

こうして9対0となった9回、突如としてマンガみたいな大雨がふりだして……寒かっただろうけど、どんなにか気持ちよかったことでしょう。両手を広げて、雨を、そして「今この瞬間」を全身で味わうスクータロ。

なんだか映画のワンシーンのように美しい場面でした。

このあと最後のバッター、ホリデー――そう、あの強烈なスライディングをしたホリデーが内野フライを打ちあげ、当然のようにスクータロがキャッチ。

まるで野球の神様がシナリオを書いたような、みごとな物語が完結したのでした。

あんまりきれいにまとまってしまったので、ワールドシリーズでも活躍するのかどうか気になるところですが、せっかくここまできたのだから、好調を維持してさらなる物語をつむいでほしいです。

そしてもひとり気になるのが、「三度打ち」のハンター・ペンス。(バットに2度以上当たったらアウトなんじゃ? と思ったけれど、折れたバットに当たるのは例外なのだそうな。スポニチがそのルールに触れていました。)

この人も7月31日のトレードでSFにきたのですね。

ディビジョンシリーズでレッズに2連敗したとき、ペンスが選手ミーティングで檄を飛ばしたのだそうな。

「結果がどうあれ、よくても、悪くても、めちゃくちゃでも、今日、このグラウンドで死ぬ、そのくらいのつもりでやるんだ! みんな、となりにいるやつのために戦おう。おれはお前たちみんなが大好きだ。だから1日でも長く試合がしたいんだ!」

それをあのギョロ目をむいて、ほとばしるように訴えたわけですね。こちらのページのビデオでもその一端がうかがえますが。

おもしろいのねー、ペンスって。WSではどんな活躍をしてくれるのでしょうか。

2010年のワールドシリーズでは、オリオールズから移籍したばかりだったオーブリー・ハフと、やはりその年に移籍したコディー・ロス、そしてルーキーだったポージーに目をうばわれていましたが、今年もまた新たな魅力に開眼(笑)。もちろん、大けがから復活したポージーにも注目です。

……って、なんかジャイアンツばかりだけど。ま、いいか。