Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

スクータロにこだわって、野球の奥深さを味わう

そろりとオフに突入しております。

ワールドシリーズはSFのスイープ。4戦めはさすがに、タイガース、ひとつぐらい勝とうよと思ってちょっぴり肩入れして見ておりました。でも最後はスクータロのタイムリーだったし、納得のエンディング。

MVPをとったパンダの3HRはもちろん大きかったのですが、スクータロもずっと渋い働きをしていましたねえ。

なかでも印象的だったのが、第2戦の初回、フィルダーを刺した中継プレー。

セカンドなのに、あの位置に詰めていたというのがすごい。リプレイをよく見ると、ショートのクロフォードはもう少しレフトに近い位置に入っていたのですが、レフトからの返球は意図してなのか偶然なのか、クロフォードの頭上を越えて、どんぴしゃスクータロのもとへ。そしてスクータロからポージーへピンポイントの送球がいき、タッチアウト。先発のバムガーナーは立ち上がりがやや不安定だったのですが、これですっかり立ち直って7回無失点。この試合を2-0で勝利したばかりでなく、シリーズ全体の流れを大きくひきよせるプレーでした。(選手たちがこのプレーについて振り返るビデオはこちら。)

そして4戦め、意地で追いすがるタイガースを10回に突き放したのもスクータロのタイムリー。シーズン156試合でわずか49三振。このポストシーズンでも16試合で3三振というバットコントロール職人のもとへ、最後は魅入られたように高めの球がいってしまったように見えました。それにしてもバットを構えるこの姿が仕事人ぽくてかっこいいわ~。すっかりスクータロにほれた今年のNLCSとWSでした。

ほれたついでにもうひとつ。その中継プレーのあった第2戦での、スクータロの見逃し三振をとりあげたFangraphsのこちらの記事がおもしろかった。めったに三振しないスクータロが、1ボール2ストライクからのど真ん中のファストボールを見のがして三振した珍しいシーンを徹底分析した記事です。

まずはカウント1-2から左投手が右投手に投じた、真ん中付近の88-93マイルの直球を2007年にまでさかのぼって調べます。該当する投球が472球あって、その内訳は

ボール:5球

見逃しストライク:28球

ファウル196球

空振り42球

インプレーの打球201球

だったそうな。

つまりほとんどの打者が手を出したということ。三振しない打者スクータロの見逃し三振が、それだけよけいに貴重(?)だということです。――それにしても、なんて鬼畜な分析なんでしょう(笑)。

そしてこんどはスクータロが、カウント1-2から見逃した球だけを抜き出したのが、記事中の緑と赤の点がちりばめられたグラフ。2008年から2012年ワールドシリーズ第1戦までの5年間の記録です(鬼畜だー)。

赤はストライク、すなわち見逃し三振ということですが、数も少ないし、ほとんどがコーナー近くのきわどい投球だということがわかります。

そしてその下のグラフが、問題の第2戦8回の投球。ど真ん中。上のグラフと照らすと、同じような球を見のがしたケースが1度もないということがわかります。

で、筆者の結論はというと、この見逃しは「オッ!」と虚を突かれたもので、それ以上でも以下でもない、ということ。――えっ、それだけ? はい、それだけです(笑)。

でも、おしまいの1行がいいんですよね。

「しかし、だからといって、野球が退屈なスポーツだというわけではない。野球は、とことん奥深くて魅惑的なスポーツだ。でもくわしく知ってはじめて、その奥深さが味わえる」

うん。わたしは数字が苦手で、数字に特化した記事だとスルーしてしまうので、奥深さは半分も味わえていないのですが、それでもたまにこういうのに出くわすとしみじみおもしろいなーと思います。

この記事が書かれたのはデトロイトへの移動日あたりでまだWSの結果が出る前でしたから、当然、スクータロの最後のタイムリーを見てから、振り返りで書かれたわけではありません。むしろ、この見逃し三振がなんらかの形で最後のタイムリーへつながっていたかもしれない、なんて想像すると、ますます味わい深いです。

はー、書こうと思って時間がなくてぐずぐずしているうちにすっかりタイミングを逃してしまったので、どうしようかなと思っていましたが、やはり流してしまうのはもったいなかったので書けてよかった(笑)。タイミングはずれなものを読んでいただいてすみません。

           **************** 

デトロイトで行われた第4戦は、小雨が降り続き、気温も摂氏7度ほどだったそうで、ファンも大変だなと思ってずっと見ていました。しかも劣勢のまま終わってしまったし。

それでも自チームの選手へのブーイングもなくて、さわやかな気持ちで見られました。フィルダーなんか、バッティングもさっぱりだったし、走ればタッチアウトになるし、NYだったらいつブーイングされてもおかしくないプレーぶりだったけれど。

そういえば、この第4戦、7回のGod Bless America も印象深かったです。

歌い手は現役の軍人さんたちのようですが、「えっ、この歌、別バージョンあったんだ?」って最初思ったほど完全にメロディーがずれちゃったんですよね(^_^;; ていうか、一番声の大きなお姉さんに下の声部をわりあててしまったために、メロディー担当のおじさんたちがみんなつられてぐだぐだになってしまったのでした(笑)。でも、このビデオだとわかりにくいけれど、お客さんたちは途中からいっしょに歌ってあげていたし、最後も温かい拍手。寒いし、雨もふってるし、劣勢だし、つらい観戦だったと思うけど、みんなえらかったよ、うん(涙)。デトロイトのファンに大拍手です。

そして最後にもうひとつ。

ちっちゃなレンジャーズファン、ブランドンくんの映像。

ワンデープレーオフオリオールズに負けた瞬間、ぽろぽろ涙を流して大泣き。思わずもらい泣きしそうになっちゃう。そんなに泣かないで、ブランドンくん。来年はまたきっとレンジャーズがんばるよ。

最後に勝ったジャイアンツ以外は、みんなどこかでくやし涙にくれたんだものね。すばらしいプレーも、うれしいこともいっぱいあった2012年。でも悔しさももちろんたくさん味わいました。気楽に見られるワールドシリーズも楽しいけれど、やっぱりハラハラドキドキを1日でも長く味わいたいな。そのために選手たちはオフもトレーニングにはげみ、フロントは新たなチーム編成に着手するわけですね。

Now, let the off season begin! (おせーよ。)