Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

オリオールズ、GG賞3人受賞

オリオールズもオフに突入しました。

これまで14年間は負け越して再建モードで迎えるオフだったわけで。プレーオフで惜敗して迎えるオフって、どういうふうに振る舞えばいいのかわからないという……(笑) でもまあ、バック・ショウォルターとダン・デュケットはどちらもビッグクラブでの経験が豊富なわけですから、こういうオフこそが重要なのだということはよく心得ているでしょう。

ただ、例年長々しいショッピングリストを片手にオフに突入していたのに比べると、比較的穴が少ないのも事実です。捕手(ウィーターズ)、サード(マチャド)、ショート(ハーディー)、センター(ジョーンズ)、ライト(マーケイキス)は、ケガがない限りは確定。あとはセカンド(ロバーツの回復は?)、ファースト(レノルズと再契約する?)、レフト(マクラウス? ライモルド? あるいはFAをとる?)がどうかなというところ。

そんななか、まずはレノルズの2013年の球団オプション($11mil)を破棄というニュースが入ってきました。9月に15HRと固め打ちしたものの最終的に23本でしたし、打撃面ではかなり物足りなかったので、11milはとても払えません。ただ、一塁にコンバートしてからの守備は球団もすごく評価しています。あとで書きますが、ゴールドグラブを受賞したハーディーにも「おれがショートバウンドをキャッチしたんだから、ビールおごれよな」とおねだりしていたみたい。こちらのショートゴロなどがそのいい例ですが(わー、なんかタンチョウヅルのようなキャッチだな!(笑))、実況のゲーリー・ソーンが "Magic Toe"(魔法のつま先)と名づけたみごとな柔らかさで、一塁手として予想以上の能力を発揮したのでした。

そんなわけで球団としては、もう少し安く再契約を結びたい意向。このあと11月末にテンダー/ノンテンダーのデッドラインがあるのですが、ノンテンダーしてあらためて契約交渉するだろうという見方もある一方で、こちらの記事などは、今年のFAで一塁手の層は薄いから、ノンテンダーすれば競争になるのは必至だろうと述べています。レノルズ自身もオリオールズを気に入っていて、できればまたここでプレーしたいが、ノンテンダーになれば市場で自分の評価を確かめたいと語っていますので、そうなる前に双方で交渉して、安めの金額で2年契約を結ぶのではないかというのが先ほどの記事の見方です。さてどうなりますか。

投手陣に目を移すと、ハメル、チェン、ミゲル・ゴンザレス、ティルマンがおそらく来季も先発ローテに残るでしょう。あとリリーフで輝いたマタスをまた先発に戻すか、不安定だったザック・ブリトンやアリエッタはどうなるかというのが不確定要素。さらにレンジャーズとのワンデープレーオフ、およびヤンキースとのディビジョンシリーズというふたつのビッグゲームをものにしたソーンダースと再契約するかどうかという問題もあります。こちらもお互いに気に入っているようなのですが、他チームからもかなり引き合いがあるようなので、最終的には金額勝負になりそう。

あと、もうひとり、今日40人ロスターに初めて加えられたのがザック・クラーク。1983年生まれの29歳。2006年に大学を卒業し、ドラフト外で入団したのだそう。今季は2Aブーイと3Aノーフォークで合計 167 2/3回を投げ、15勝7敗、ERA 2.79。9月のコールアップはならなかったものの、今回40人ロスター入りを果たしました。こちらのMASNの記事によると、今季、マイナーで投手育成コーチをつとめたリック・ピーターソンのプログラムが肌に合って、これまでより球速や球のキレがアップし、遅巻きながら頭角を現しつつあるのだとか。もちろんこれで来年のメジャーデビューが約束されたわけではありませんが、大きな1歩にはなるでしょう。はたして第二のミゲル・ゴンザレスになれるか。

(ちなみにリック・ピーターソンは、ピッチングの動作解析など斬新なプログラムを取り入れて今季さまざまな成果をあげました。ティルマンの成績の向上にも大きく寄与したと言われています。でもレッドソックスが投手コーチとして招聘しようとしているという話もあり、来季もオリオールズに残るかどうかは不明。)

ちなみに、忘れがちですが(コラコラ)じつは和田が順調にリハビリを重ねているんですよね。投げられるようになってもいきなり先発ということはないでしょうが、体調さえ万全なら岩隈のような活躍ができると思っているので、それも楽しみです。

さて、こんなぐあいに補強関係では静かなすべりだしのオフですが、表彰関係ではなかなかにぎやかなオリオールズです。

まずは10月24日にショウォルター監督が The Sporting News の最優秀監督を受賞。これはアメリカンリーグの同僚の監督による投票なので、価値があります。ただしA'sのメルヴィン監督とは1票差。11月に発表される記者協会の最優秀監督のほうもメルヴィン監督との争いになることでしょう。

そして30日にはゴールドグラブ賞が発表され、オリオールズからはなんとマット・ウィーターズ(捕手)、JJハーディー(ショート)、アダム・ジョーンズ(センター)の3人が受賞。1チームから複数が受賞したのは、ほかにはヤンキース(2人)だけですから、オリオールズは今季メジャー最多です。こちらも各チームの監督、コーチによる投票。

ウィーターズは2年連続受賞。昨年の37%から39%に上昇した盗塁阻止率を始め、ファウルチップなどのキャッチングのうまさ、投手のリードなど総合的にたいへん評価が高いです。(動画:ディビジョンシリーズ初戦、イチローの三盗を阻止した場面。)

JJハーディーは昨年受賞していてもおかしくない成績でしたが、今季初受賞。なんといっても158試合ショートを守りぬいて失策6と安定感が抜群だったのが評価されました。ショウォルター監督のプッシュも大きかったでしょう。試合後のコメントでしばしば守備に言及するショウォルター監督ですが、そのなかでも今季はハーディーのプレーに触れることが特に多かったように思います(6月のエントリ)。フィールディング・バイブルのほうはライアンに譲りましたが、文句なしの受賞と言って差し支えないでしょう。

センターのアダム・ジョーンズは、正直言って「えっ、とれたんだ?」と意外でした。トラウトがとるものだとばっかり思ってた(^_^;; ジョーンズも162試合すべてでセンターを守り抜きましたから(トラウトは、センターでは110試合)そういう意味で各チームの監督やコーチたちに強い印象を残したのかもしれません。

そして本人も言っていたように、なんといっても、「チームが好調だったからこそ取れた賞」であるのもたしかです。勝てば注目され、人の心にも残りやすくなるものです。トラウトがとれなかったことで、いちばん「とやかく」言われているのがジョーンズなのでちょいと気の毒ですが、よそのチームの監督、コーチからそれだけ評価されたのだから胸をはってほしいです。(動画:左中間への大きな飛球をランニングキャッチ。実は今年は「代表作」と言えるようなど派手なプレーはあまりなかったのですが、でもコンスタントにいいプレーをしていましたよ。まかせて安心、のセンターフィルダーです。)

ちなみに、昨年、ウィーターズとマーケイキスが受賞したときのエントリはこちら。あらためて読みかえしてみると、やっぱり昨年も監督が強烈に推薦したのがきいたんですよね。もちろん本人のプレーがりっぱであることがなによりも大切なのですが、それがきちんと認識されるためには、指揮官の後押しというのも必要なんだなと思わされます。