Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

O's:アストロズ戦にぎりぎり勝ち越し&高校生投手ハンター・ハーヴェイを指名

わたしの好きなFangraphsのライター、ジェフ・サリヴァンによる「Chris Davis’ Five Most Effortless Dinger Swings of the Season(クリス・デイヴィスの軽々HRベスト5)」という記事がなかなかの傑作です。前のエントリに、デイヴィスはかる~く振っているように見える、と書きましたが、そのあとどんぴしゃのタイミングでこの記事が出たので思わず笑ってしまいました。やっぱりだれでもそう思うよね。この記事の冒頭に記されているように、デイヴィスはプロ入りしてからずっと長打率がきわめて高かったので、今年いきなり確変したわけではないのですよね。ただ、球の見極めがよくなって空振りが減ったので、今年は打率、HRともにあがっているというわけです。純粋な長打率を表すISOを見ると、デイヴィスのそれはベルトレやカノーのISOの2倍以上、ベーブ・ルースと比べても50ポイント高いというのもすごい(笑)。

英語だと“easy power”とか“effortless”とか表現されるデイヴィスのかる~いスイング。この記事では打球速度や飛距離以外に「力の込めぐあい」というのがついていて「缶切りで缶をあける程度」とか「ソファから立ちあがろうとしてやめる程度」(って、なんなん?w)とかコメントがついているのが笑えます。Gif動画を見るだけでも思わず「あはっ!」となりますので、ぜひどうぞ。Enjoy!

(ちなみにジェフ・サリヴァン氏の記事については、以前、スクータロの三振を徹底分析した記事をこちらのエントリでとりあげました。)

アストロズ戦をふりかえります。

6/4 vs@アストロズ 4-1 ○ 勝:ティルマン(5-2) S:ジョンソン(19)

テイラー・ティーガーデンがDL(左手親指脱臼)から復帰。クリス・スナイダーがDFA(designate for assignment)されました。スナイダーはオプションがあるそうですが、契約にオプト・アウトが盛り込まれているため、代理人と相談のうえDFAという扱いにして市場の動向を見定め、今後の方針を決めるとのこと。スナイダーは打撃はそこそこ(バントはヘタだったけど)だし、先日はゴーズマンと組んでいい投球をひきだしてくれたので捕手のバックアップが薄いオリオールズは、当然3Aに残ってほしいと思っているはず。でもメジャーでバックアップ捕手をさがしているチームはけっこうあるはずなので、どうでしょうか。

試合のほうはティルマンが7回8奪三振1失点の好投。ファストボールも変化球も思ったところに投げられていたと思います。攻撃では、DHで久々に先発したダニー・バレンシアが先制ソロHR。その回、さらにジョーンズのゴロをアストロズファーストのカーターがきれいにトンネルして1点。8回にはヒットで出たマクラウスが、二盗、三盗、捕手の送球エラーで、ひとりでベース1周して帰ってきたのも大きかった。ここらへんは昔日のオリオールズをちょっと思わせるような試合運びでもありました。

6/5 vs @アストロズ 7-11 ● 敗:ガルシア(2-3)

前回タイガースナショナルズ戦で目のさめるような投球をして、ケヴィン・ゴーズマンにピッチングのなんたるかを教えたガルシアが3回6失点。そのあと登板したS・ジョンソン、トロイ・パットンもそれぞれ3失点と2失点。わたくし、木曜日は朝6時半ごろ家を出て8時半ごろ職場に着くのですが、チェックしたときにはもう大半決まってました(^_^;; それでも昼休みにもう一度見たら7対11とかなり点差をつめて最後ちょっとおもしろくしたのよね。それにしても、1試合で6HR打たれるってどうよ? オリオールズもハーディとウィーターズがそれぞれ13号、8号で一矢(いや、二矢)報いましたが……ワイルドだなあ(^_^;; なお、この試合で、スティーブ・ジョンソンは、ウォームアップ中に脇腹に違和感を感じ、そのまま2回と1/3投げた結果、やはりDL入りすることに。ストロープが復帰するので入れ替えになるでしょうが、ロングマンとして貴重な存在なので痛いです(>_<)

動画は「今日のマチャド」。おなじみのベアハンドですが、何度見てもほれるなー。

6/6 vs @アストロズ 3-1 ○ 勝:ミゲル・ゴンザレス S:ジム・ジョンソン(20)

試合前、きのう投げたスティーブ・ジョンソンが、脇腹痛で正式にDLへ。昨日、今日とマーケイキスがお祖母さんの葬儀のためチームを離れているので、今日は外野の補充としてゼイビア・エイヴァリーが今季初昇格していますが、試合後にはまたオプションされました。

勝つには勝ったけど、RISP(Runners In Scoring Posision:得点圏)で10の1と、あまりほめられた試合運びではありませんでした。ミゲル・ゴンザレスが初回先制されながらも6回5安打1失点というナイスピッチで試合を落ちつかせると、4回、デイヴィスのヒットとジョーンズのダブルで同点、ここ10試合の打率が3割をこえるJJハーディーのタイムリーで勝ち越し、さらに相手のワイルドピッチで3点め。この得点を最後まで守り抜きました。あ、ハーディはきょう、4の4だったんだ。すげー。オールスターに出してあげたいわあ。現在(6/6時点)アリーグのショートでHR10本以上打ってるのはハーディ(13本)だけなんですから。

今回、O'sはアストロズとは10年ぶりぐらいの対戦だったそう。たしかに今のアストロズは、まだだいじなところでのミスが多くて、助けられた面もありましたが、チーム全体として、自分たちは正しい方向へ向かっているのだという自信のようなものが感じられます。この直前にエンゼルス戦でスイープをしているんですよね。“力はあるけど、自分たちがどこへ向かっているのか確信が持てない人たち”と戦ったら、非力でもまとまりのあるほうが勝つのかもしれない。だからこそ毎日わざわざ集まって試合をするんですから(ショウォルターの口グセ)。そうでなければ、カードゲームのように戦力分析やWARの比べっこだけですむわけです。

その他の話題を:

ルー・フォードがそけい部の手術。昨年シーズン終了後に受けたスポーツヘルニアの手術跡が瘢痕化したのをとりのぞいたそうです。今季は2A、3Aでプレーしていました。

オリオールズ、今季のドラフトは22番め。

昨年まで7年間10番め以内の選択順だったオリオールズですが、今年は22番め。ここを見るとO'sの歴代1位を見ることができますが、ゴーズマン、バンディ、マチャド、マタス、ウィーターズと現在~将来の屋台骨を支える選手たちが1巡め指名されてちゃんとモノになってます。ただ2009年のマット・ホブグッドは高校生投手で、ちょっと逃げの指名と当初から言われましたな。契約後まもなく肩の故障が判明して、手術。ようやく今年痛みなく投げられるようになったところです(この年はストラスバーグが全体1位で、25位にトラウトがいたんだなあ。純粋に結果論ですが、エンジェルス、いい指名をしたもんです。なのに、なぜ今年はこんなことに……)。ニック・マーケイキスは2003年の1巡め(全体7位)だったんですね。この年の1巡めはこんな感じ。デルモン・ヤングが全体1位だったんだ。ふむ。上位でもすでにいない選手もいますね。

ちなみにオリオールズは1997年にも22番めの指名をしたことがあり、このときドラフトしたのがなんとジェイソン・ワース。高校出の捕手としての指名だったそうです。ワースはそのあとジェイズにトレードされ、4球団めのフィリーズで花開いて、ナショナルズと7年契約。オリオールズが初めだとは知らなかったなー。

また、オリオールズのうんと遅いラウンドのピックで今話題を集めているのが、昨年19巡め(全体582番め)でドラフトしたジョシュ・ヘイダー。地元メリーランド州のオールドミル高校出身の19歳。BRによると192センチ72キロって、ガリガリ。

高校では最速88マイル程度でたいして注目もされない、「地元の野球のうまい大きな子」だったようですが、なにしろマジメで(結局これが一番大事なのよね――っても、堅物っていう意味じゃないですよ。野球への取り組みが、ということですね)しっかり栄養をとり、登板間の遠投を含む投球プログラムに日々とりくんだ結果、今年は90マイルをコンスタントに出し、95マイルにも到達するほど球速があがってきたとのこと。1Aの9先発で1勝2敗、ERA2.28 という成績を挙げています。K/BBは44/25とこちらも悪くない。さらにしっかりと体を作って、ぜひ来年、再来年にコールアップされるよう、すくすくと成長してほしいです。

そんなわけで22番めといったって、あだやおろそかにできません(あと37番めに、よくわからない「コンペティティブ・バランス・ラウンド」というのもあるそうです→追記参照)。いいドラフトになりますように。

【速報】オリオールズ、高校出の右腕投手、ハンター・ハーヴェイを指名しました。父親がかつてのエンジェルス、マーリンズのクローザーでオールスター出場経験もあるブライアン・ハーヴェイ。97マイル出るそうで、制球を磨けば先発ローテに加わる力があるという評価のようです。MLBのドラフト中継では、すでにオリオールズのNo.5プロスペクトにリストアップできると言ってました。期待どおり成長してほしいです。本人は「ずっと夢見ていたこと。すぐにでもプレーしたいから、さっさと契約すると思う。ぎりぎりまでひきのばすようなことはしない」とコメントしています。頼もしい。マイナーを駆け抜けてあがってくるのを待ってるよ。

【追記】お、上原さん、きのうは打たれたけど今日は連投して1イニング2三振。つぎはそちらのエントリを更新する予定。(明日は無理かなあ。明後日?)コメントへのお返事も少し遅れます。すみません。(両方の実家の老人たちのところへ行かなくてはならないので……。)なお、明日土曜日はNHKBSのベストスポーツ(23時~)内で上原さんインタビューをやるほか、BSTBSの「裸のアスリート」(23時半~)でも上原さんをとりあげてくれる予定。……って、ダブってるやん!(ベストスポーツの上原コーナーはたいてい11時半ぐらいからなんですよね(-_-))TBSのほうは再放送があると信じて、わたしはNHKのほうを録画することにいたしました。TBSはリアルタイムで見たいけど起きていられるか不明です。

【追記2】

コンペティティブ・バランス・ラウンドについてちょっとだけ調べてみました。2011年にMLB機構と選手会のあいだで定められた労働協約の一環で、戦力均衡を促進するために、市場規模あるいは収入が下から10番めまでのチームにドラフトで追加の指名権を与えるというもの。その順番は昨年の7月にクジで決められ、クジの当たる確立はその時点でのチーム成績のいい順に大きくなります。オリオールズはコンペティティブラウンドの4番め、全体37番めでジョシュ・ハートという高校生のセンターフィルダーを指名しました。

【追記3】

ドラフトに完全に隠れて現地の記者がだれも報じてくれなかったのですが、今日は3Aで和田が登板し、5回1/3、6安打3失点で初勝利をあげました。(GameDay)。まだ三者凡退の回がなく、アウトもゴロよりフライのほうが多い(3-5)のですが、6三振奪っているのが明るい材料。エラーのランナーを併殺で片づけた回もあります。球数は95球。登板間隔をあけたことが幸いしたのかもしれません。いずれにせよ、これをきっかけに和田らしいピッチングが続けてできるようになっていくといいなあと思います。 (あ、現地の報道がないと書いたとたんにMASNに記事が。ふむ、こちらはちょっと厳しめの内容。リハブアサインメントの期限が切れる6月15日以降、和田は3A残留に同意するんじゃないかという観測です。この記事についてはまた次の上原エントリでくわしく記しましょう。)