Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

痛打もメジャー初死球も乗り越えて:上原 5/29-6/12 【追記あり】

いい日もあれば悪い日もある。大切なのはミスをひきずらないことと、修正する能力を持つこと。そういう意味で6月10日レイズ戦での上原の投球は、彼の真骨頂を見せつけた登板だったなあと思います。5月末からのいい日悪い日をふりかえります。

5/29 vsフィリーズ 3-4 

2-3とリードされた7回2死満塁、ミラーのあとを受けて登板。

メイベリーと対戦。3球め、高めのフォークでポップフライをさそってみごとにピンチ脱しました。でもベンチでは、続投を意識してか控えめなハイタッチ。

果たして8回も続投……

1 ブラウンに1-1からの高めのフォークをHR。この日4回にBOS先発のラッキーからHRを打っているバッター。これでスコアが4-2に。回またぎは本当にむずかしい(>_<)

2 クラッツに、レフト、ウォーニングトラックに達するレフトフライ。 いかんなあという顔。(本人のブログによると、フォークを見きわめられているという感触があったよう。それでああいう表情になったのかな。)

3 カルヴィスを低めによく落ちるフォークで空振り三振。だいぶファウルで粘られたけど根負けせず。

4 セザール・ヘルナンデスを2球めでセカンドゴロに。3アウト。しめて20球。

動画(Gao)

満塁のピンチを脱しながら、つぎの回の先頭にHRを喫するというくやしい登板でした。でもひきずらずに3人で切ったのがさすがだし、球種を読まれているという感触を得て(上でリンクを貼った本人のブログをごらんください)、試合中にフォームを変えるという微調整ができるのもすごい。このへんが、上原の投手としての能力の高さの一環でしょう。

6/1 vs@ヤンキース 11-1 

11-1と大量リードの9回に登板。

1 ジェイソン・ニックスを空振り三振

2 デイヴィッド・アダムズをライトフライ

3 イチローをよく落ちるフォークで空振り三振!

ブログ 動画(Gao)

本人ブログ、淡々と記していますが、珍しく全球記録しているところから見ても、イチローとの対戦はやっぱり特別なんだなということがうかがえます。投げてる姿からもうれしさがにじみ出てました(^-^)

6/2 vs @ヤンキース 3-0 雨天コールド 

NYY黒田の登板試合。雨が降ることはわかっていて、やり過ごそうと試合開始を1時間遅らせたのに、そのあいだには降らず、始めてしばらくしてからどしゃどしゃ降りに。結局とても珍しい6回コールドになってしまいました。定刻どおり始めていたら、ふつうに終わっていたんじゃ……? 

中断中にはこんなひと幕も。そういえば去年、レンジャーズの試合でもすごい雷鳴で選手たちが飛びあがったことがあったっけ。どちらの試合にも共通している選手といえば……ナポリ?! 雷さまに好かれたのかな?(よく考えれば上原さんも両方にいたわけですが。)

ちなみに、試合はいったん再開したのですが、4分後にまた雨が激しくなって再度中断し、けっきょくそのままコールドになりました。上原-田澤コンビは、再開に向けて体をほぐししながらも、登板せず。こんな写真がありました。雨天中止だとあとにダブルヘッダーが待ってるから喜べないけど、コールドはすなおにうれしいかもね(笑) でも黒田さんには気の毒でした。

6/5 vs レンジャーズ 2-3 

前回から中3日。7回1-1同点、1死一、二塁の場面で、クレイグ・ブレズロウを引き継いでの登板。いきなりタイムリーを打たれます。

1 エルヴィス・アンドルースに初球のファストボールを打たれ、グリーンモンスター直撃の2点タイムリーツーベース。つづくマーフィーはレフトフライ、バークマンは空振り三振に打ち取ります。

動画(Gao) ブログ

上原自身も書いているように、初球は、アウトローを狙ったのが中に入ってしまったもの。4月11日のオリオールズ戦で、7回2死から登板し、アダム・ジョーンズに勝ち越しタイムリーを打たれたのも、やはり初球。このときはフォークでしたが、狙ったところより甘めに入ってしまったという点では同じでした。上原ほどの制球力をもってしても、こういう場面では、つい力んで中に入ってしまうものなのですね。それでも、この日の試合前の時点では、引き継いだランナー10人のうち2人しか生還させていなかったのだからさすがです。けっきょく試合はこのあとBOSが1点返すも2-3で終了。

捕手のサルティのコメントを紹介しておきましょう。

「アンドルースには、これまでも外のファストボールで勝負してきたから、今回もそのつもりだったが、ちょっと中に入ってしまい、相手も見のがさなかった。でもそのあと立てなおしてきっちり抑えたからね。あの1球だけだよ」

つづいてファレル監督。

アウトローが真ん中に入って、もっていかれてしまった。だがうちもあきらめずに追撃した。コウジはランナーがいる場面でも、回の頭からでも、ずっと変わらずにいい仕事をしてくれているよ」

もひとつ、こんどは打ったエルヴィスのコメント。

「ファストボールを待ってたよ。上原はいつもガンガン攻めてくる。去年見ていてそれはわかっていた。どの打者もねじ伏せようとしてくるから、ぼくは落ちついてよくボールを見てひっぱたいた。それだけだよ」

ソースはこちら。

この対戦まで、上原はアンドルースを7打数無安打に抑えていたんですね。まあくやしい。

この日はほかにもボストンヘラルドとオフィシャルサイトの記事で上原の名前が見出しに登場していました。いつも上原自身が言うことですが、中継ぎってほんとに抑えてあたりまえ、失敗して初めて見出しになるというポジションですね(>_<) それでも今年の上原は、抑えたときにずいぶんとりあげられていますから、やっぱり注目度は高いです。

6/6 vs レンジャーズ 6-3

レスターと田澤のあとを受けてめずらしく連投。3-3の8回表に登板して、ピアジンスキーを空振り三振、ベイカーを見逃し三振、レオニス・マーティンをセンターフライに打ち取り、みごと前日の雪辱を果たしました。試合はこのあと9回裏にオルティスのサヨナラ3ランでBOSが勝利を収めています。

動画(Gao) ブログ

ベイカーを見逃し三振にとった球が最高に気持ちよかったです。空振りもいいけど、見逃し三振も好きだ-!(なんの表明だ)

6/9 vs エンジェルズ 10-5

中2日で10-3と大量リードの8回に登板。しかし珍しく制球に苦しみ、渡米して初の死球を与えてしまいました……。

1 4番トロンボとの対戦。5球めのスプリットでショートゴロ。

2 ケンドリックに初球、変化球が完全にすっぽぬけてデッドボール(*.*) スプリットともスライダーともちがう握りだったような。なんだろう。カーブ? これが上原にとってはメジャーで初のデッドボール。 「09年の渡米後、183試合目、打者920人目で初めて。公式戦では巨人時代の07年5月27日オリックス戦でラロッカに与えて以来、6年ぶり」(11日づけニッカンスポーツ)とのこと。デビューからの連続無死球というカテゴリではメジャー史上でもかなり上の方にいくんじゃないかと思うのですが、今のところそういう報道はなし。記録のデパートEliasさん、調べてくれないかな。

【Redsoxjpによると182試合無死球は、メジャー現役選手で第2位の記録だとのこと。1位はだれ~?(気になった^^;) ついでにメジャーデビュー以来の連続無死球の記録も知りたいなあ……】

3 カヤスポをファーストゴロに。3-6-1 とボールが渡り上原もベースカバーに入ったけれど一塁はきわどくセーフ。2アウト。

4&5 アイバーとアイアネッタに連続四球。とくにアイアネッタはかんたんに0-2と追いこんでからだったのでもったいなかった。たしかに厳しいコールもいくつかあって、けっして完全にコントロールを乱しての四球ではなかったけれど、スプリットについてこられてファウルされまくった末の四球という印象も。実況席も"un-Uehara like"(上原らしくない)と驚いていました。

6 シャックに4球め、足もとをゴロで抜けるセンター前ヒットを打たれ2者生還。思わず右手を出してましたが、危ないよ~(>_<) また、2球めでしたか、投げた瞬間にバランスをくずして大きくよろける場面も。いろいろめずらしいことが起きた登板ではありましたが、故障につながるようなことがなくてよかった。 

けっきょくこの日はここでお役ご免に。しめて31球。

ブログ 動画

6/10 vs@レイズ 10-8(延長14回)

連投で、延長11回と12回を担当。前日31球投げているので、ふつうなら投げないはずでしたが、試合はBOSが初回に6点とりながら、そのあと立ちなおったコブに抑えられるうちついに8回、田澤のワイルドピッチで同点に。延長戦に入って2点ずつとりあい、いよいよブルペンが底をついてきたところで、上原が11回に登板しました。実況席でも「38歳の上原はきのうは大乱調で2失点、31球を投げています」と不安げでしたが、みごとに暗雲を吹き飛ばすピッチングでした。

11回

1 ルーク・スコットを2球めファストボールでショートフライ。

2 ジェニングズを3球めファストボールでサードゴロ。

3 10回にベイリーからHRを打っているロバトンを2球めスプリットでショートフライ。わずか7球。どう見ても次の回もいく感じ。

12回

1 エスコバーを2球め、スプリットでキャッチャーフライ。

2 ジョイスを2球めスプリットで大きなセンターフライ。一瞬というか、グラブにおさまるまで冷や冷やした打球でした。アウトコースにスライドするように曲がった球だったので、ツーシーム系の球なのかなと思ったけど、スプリットだったのか(本人ブログによる)。

3 今日6打数5安打と猛打をふるっているゾブリストを4球め、スプリットで空振り三振! 

これ、最後の球もよかったけど、その前の3球め、89マイルのファストボールを低めにズバッと投げ込んで空振りさせたのがめちゃめちゃかっこよかった。しびれました。前日コントロールに苦しんでも、思いがけない連投でも、苦手の回またぎでも、延長12回同点でも、6打数5安打の打者が相手でも、思いきりよく89マイルのファストボールをストライクに投げ込む。これぞまさに上原の真骨頂です。

試合はこのあと14回表にナヴァとサルタラマッキアのタイムリーでBOSが2点勝ち越し、そのまま勝利。上原の登板は、試合全体のなかでは目立たなかったかもしれないけど、明らかに流れを引きよせるものだったと思います。

ブログ 動画

この日は、同時進行で岩隈さんも投げていたんですよね(動画)。7回1失点、自責0で7勝め。しかも今季ここまで 防御率1.79 WHIP0.82って……(@.@) まるで統一球の日本での記録みたい(反発係数の低いころのね!) 今季、マリナーズはチームが低迷しているのでオールスターは選ばれても1人かなあという気がしますが、キングは何度も出てるので、ぜひ岩隈さんを選んでいただきたいものです。もちろん2人出られればそれに越したことはないんだけど。まあ、まだあと半月以上ありますからね。

【追記】6/12日 レイズ戦3戦めにも登板したので、いっしょに記しておきましょう。

2-1と1点差の8回裏2死、ブレズロウがツーベースを打たれた場面で登板。相手は4番ロンゴリア。しびれる場面です。

ここまでのロンゴリアの対戦成績は、ボストン側のNESNでは13打数2安打、レイズ側のESPNでは14打数3安打という表示。2011年のポストシーズンの1打席を入れるか入れないかの差ですね。

その1打席こそが、ALDSで上原を奈落の底につきおとしたスリーランだったわけで(当時のエントリ)。なので、とにかく「ロンゴリアには痛いところで打たれている」という強烈な印象しかなく、あらためて対戦成績を見て「へえ、意外と抑えてるのね」と思いました(^_^;;

で、今日はそのこわいロンゴリアを3球三振! ゲムデを見るとぜんぶスプリットだったのかな。ただ、最初のふたつは小さく曲がる球。それも低めぎりぎりと、高めいっぱいに決めてどちらも見逃しストライク。そして3球めは鋭く落ちるスプリットで空振り三振。みごとな投球でした。

もうひとつよかったのは、前回、テキサス戦でランナーをひきついでアンドルースに打たれてしまったときと同じ、ブレズロウをリリーフしての登板だったこと。あのときは負けをつけてしまいましたが、今日は1点差を守り抜きました。

ボストンの試合は、正直、上原のところしか見てないのですが(すいませんw)やはり投手出身の監督だけあって、くやしいけど起用法うまいよねと思います。失敗すると、必ずまたすぐに同じようなシチュエーションで使って、やりかえすチャンスをくれる。もちろん、選手のほうがそれに応えることが条件ですが、投手起用を通じて「おまえのことを信頼しているし、必要としている」というメッセージが伝わってきます。一人の選手にやたら起用が偏ることもないし、これは年間通じてうまく回るタイプのブルペンだよなあと思います。手ごわいです。

ところで、今日の登板のハイライトはもちろんロンゴを三振にとったところなんだけど、なぜかそのあとひきかえす途中でこけそうになって、それがMLBのビデオクリップでもわざわざスロー再生されてました(笑)。ツイッターでダルにも指摘されてましたね。

このビデオ、よく見るといろいろおもしろくて、ペドロイアに攻撃されてるし、ナポリは両手をあげてどーんと受けとめてるし、このあいだ上原にはたかれたビクトリーノも今日は自分からハイファイブしてるし、なかなかいい雰囲気。最後に、リリーフしたブレズロウとハグしてます。(あ、よく見たらクリップのほうにはそこまで入ってなかった。TVの中継画像ではブレズロウとのハグまで映っていました。あと面白いと思ったのは、レイズ側の放送でも、9回表が始まる前に、上原のベンチでのハイタッチを念入りに映していたこと。注目はボストンにとどまらない?)

そういえば、ウエブにこんな「ウエハラ・ハイファイブまとめ」もありました。ボストンの画像にまじってなぜかジャパン時代のも入ってます。相手は稲葉さんと新井さん。Enjoy!

さー、明日からはオリオールズがカムデンヤーズでBOSOXを迎え撃ちます。はー、今年あと何回これを堪え忍ぶんだっけ……ってスケジュールちらっと見てくらくらしたから考えるのやめた(-_-) まあ、先のことは考えずに、その日その日を精一杯戦うしかありませんな。まさにZEN的心境です……。