Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

上原、クローザーで初セーブ 【追記:翌日も】

クローザー指名後の初セーブ、きました。

知ったのは超満員の朝の中央線のなか。なかなかリアルタイムで登板が見られません(>_<) その代わり、落ちついた気持ちで今たっぷり見返しました。いや~~、外いっぱいにぴたりと決まった最後の1球のすばらしさといったら! 何度見てもほれぼれします。(ちなみに今季初セーブは5/17に挙げています。こちらのエントリの中ほどにちらっと記してありますw)

しばらく書いてなかったのでちょっとふりかえっておきます。

前回エントリの6/15オリオールズ戦のあと、上原は6/18のレイズ戦、6/20のタイガース戦に登板、どちらも1イニング無失点に抑えました。(とはいえ、フィルダーの打球は危なかったんですよね。ミゲレラからの三振はみごとでしたが。)

この20日のタイガース戦というのが、例の、ベイリーの打たれた試合。2-2同点から8回表に3-2と1点勝ち越し、その裏を上原が抑えます。しかし9回裏、クローザーのベイリーが先頭を歩かせ、次のペラルタにサヨナラ2ラン。あっという間に終わった9回裏でした。

この試合後、ベイリーをクローザーからはずすことが決定。サヨナラも早かったけど、この決定も早かった。

そして翌21日にはファレル監督が上原にクローザーをまかせることを告げ、報道陣にも発表したという流れでした。そのときファレル監督が理由としてあげていたのが「上原には経験がある」ということ。2010年オリオールズでの13セーブ、それから巨人時代の33セーブのこともあらためてあちこちで紹介されていました。

んで、なぜかそのアナウンスのあと、大勝、負け、負け、休み、大勝と5日間じらされて、ようやく今日(現地6/26)セーブチャンスが訪れたわけです。

クローザーの難しさってこういうところにもありますよね。中継ぎだと、間隔が空きすぎたら、多少点差があいても投げたりというのがありますが、クローザーではなかなかそれがしにくい。まあ、調整登板する場合もなくはないですが、そういうときに限って翌日からセーブチャンスがびっしり続いて、あのとき投げないでおいたほうがよかったのに、なんてこともありますし。

ともかくそんなわけで、今日6/26は中5日あけての登板でした。

ロッキーズ戦。5-3と2点リードの9回。前の回に田澤が3番カダイアにHRを打たれながらも4~6番を抑えてくれたので、9回は7、8、9番との対戦。緊張感のあるクローザーとしての初登板には、いいめぐり合わせだったんじゃないかと思います。

1 コルヴィンを8球め、インコースぎりぎりいっぱいのファストボールで見逃し三振。NESNの解説者が「外、外、外と続けて、最後にインコースいっぱいの球ですから、相手は完全にフリーズしましたね!」と語っていました。

2 TEX時代の同僚トレアルバを2球め、高めのスプリットでショートゴロに。強い打球をドリューがさばきました。

3 ラトリッジを外いっぱいのファストボールで見逃し三振に。かっこよすぎる最後の球。そのあと満面の笑みでハイファイブしてました。(動画1 3人分)( 動画2 最後のアウト+ハイタッチ。ちらっと映るすごい髪のカメラマンが気になる(笑)) ブログ

AP通信のこの写真がとてもすてき。ニッカンのサイトにも載っていましたがこっちのほうが大きい。そしてナポリのタトゥーはいつ見てもすごいw

この記事に載っている上原のコメントがおもしろいです。まずクローザーとして投げることについては:

「どこで投げようと、プレッシャーや緊張感はいっしょだから、何も変わらないです」

ただ、日本の新聞には「(抑えの)プレッシャーみたいなのがあるというのは、前にやっていた人たちを見れば分かる。それにつぶされないようにしたい」と語っていますから、もちろんプレッシャーがないはずはありません。

そして、連投ができるかとの問には:

「チームが登板間隔に気を配ってくれているのは知っていますが、連投はできます」とのこと。今季はここまで5回(訂正:6回だったようです。今回で7度め)連投があります。3連投はまだありません。(去年は4連投までありました。)

そして、クローザーが目標だったかと問われると:

「目標は1年間メジャーで投げ続けることだけです。年だから、先のことなんか考えずに、目の前のことにだけ集中しています」

(注:現地紙掲載分はいずれも英語からの訳なので、上原本人の言葉ではありません。)

この最後の"I'm old, so I don't have to think about the future, I just concentrate on what is in front of me."というのがやたら評判になって、ツイートしている人がたくさんいました。スペイン語に訳されたものも見かけました(笑)。たしかに「年だから」っていうところがちょっとアスリートの言葉としてはあまり見かけないんでパンチがきいているのですが、「目の前の敵を倒す」というのは、上原がルーキーのころからずっと口にしてきたことですので、そういう意味ではずっと変わっていないんだなと思います。この集中力に加えて、ブログに記していたクローザーとしての気持ちの持ちよう「三点差があれば、二点まで取られていいんだ。二点差があれば、一点まで」に見られる究極の合理主義。これが上原のメンタルの強さを支えてるんだろうなあとあらためて感じ入った次第です。

とはいえ、まだ仕事は始まったばかり。まだまだ山坂あるでしょう。オリオールズ時代の2010年には15セーブ機会で13セーブを挙げていますが、その失敗した2回はいずれもヤンキース戦でした。最初がスイッシャーに打たれたサヨナラ2ラン、ふたつめがA-Rodに喫した逆転サヨナラ3ラン。

でも、すごいのはそのあとかならずリベンジしていること。A-Rodにやられた次の登板では、ポサダ、スイッシャー、グランダーソンを三者三振にとっています(このあたりの登板については、当ブログの2010.9の過去ログをごらんください)。それは何気なくやっていることではなくて、並々ならぬプレッシャーを背負いながら、全身全霊で成し遂げたことだと思うけれど、やっぱりクローザーの資質は余りあるほど持っているなと思うのです。

クローザーの上原さんを見まもるのは、ほんとに身の細る思いのすることではありますが(って、じっさいにやせればうれしいけど、単なる比喩であって実効はともなわない)、今季残りずっとクローザーの座を守り抜いてほしいです。(あー、でもそうしたらBOSはまちがいなく優勝してしまうであろう。)

【追記】6/27のvsブルージェイズ初戦にも登板。三者凡退(2三振)で連日のセーブを挙げました。

8回途中まで7-2と大量リードで登板なさそうだったのですが、無死から先発のレスターが2走者出したあとを田澤がひきついで登板。四球で満塁にしたあと、犠牲フライと内野ゴロで2点を返され7-4。9回、クローザーの登板となりました。今日は、好調の中軸打線です。

1 当たっているリンドを4球め、スプリットでファーストゴロ。カープってあんなにひげもじゃだっけ?

2 メルキー・カブレラを6球め、左打者の外に小さく逃げるスプリットで空振り三振! ビューティフル。

3 これまた一発のあるアレンシビアを6球め、こんどはストンと落ちるスプリットで空振り三振! その前、3球ほどアウトハイの4シームでファウルを打たせ、目線を上げさせてからのフォーク。打者も重々わかっちゃいるでしょうが、振ってしまいますよね。ビューティフル。

ブログ 動画(Gao)(こうやってあらためて見ると、同じスプリットでもぜんぜん別の球種ですよね~!)

このクローザーの安定感、信頼感。これこそ今年のBOSに唯一欠けていたものと言っていいのではないでしょうか。いや~、ますます手ごわいチームになっちまいました(^_^;; 

ほかに目についたものなど。

◎この26日の試合前、ファレル監督とたわむれる上原(レッドソックスツイッターより)

監督相手とは思えないこのからみ方(笑)。さすがや~。

◎上原、タズを語る。Sankei Expressメジャーリーグ漂流記」より(スポーツカンパニー澤井さんツイッター)。

 ここでも何度か、田澤にとって上原の存在は大きいだろうということを書いた記憶がありますが、上原にとってもTazの存在は大きいんですね。前に地元メディアで上原と田澤は性格も正反対だし経歴もかけ離れていると書かれているのを読んだことがありますが(ソース)、それがかえっていいのかもしれません。上原自身も大学から直接アメリカに渡ることを考えてさんざん悩んだ経験があるから、田澤の決断をすなおに賞賛する気持ちがあり、日本球界の田澤に対する扱いに義憤も感じている。とても上原らしい、いい記事だと思いました。

◎Number831号(2013/7/11)「ガソリンが切れるまで突っ走る」

昨日発売のNumber掲載の記事です。鷲田康氏筆。とてもいい記事でした。左太ももへの負担を減らすため、3年まえにフォームを修正し、それまでは踏みだした左足で全体重を受けとめていたのを、キャッチャー方向に流す/逃がすように変えた……というのが、「へぇ!」なんだけど、ぜんぜんわからないのが自分でプレーしたことのない者の悲しさです。でも面白かった。ガソリン、どんどんつぎたして、火に油を注いでほしいです!

◎この写真もめちゃめちゃかっこええ。またいくつかまとめて記事が出ているので、何かおもしろいことがあったらお伝えします。とりあえず今日は3連投があるかどうかに注目。