Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

オリオールズ85勝77敗で終了

ポストシーズンが始まっております。

今のところわりと大差の試合が多くて、激闘未だしの感がありますが、ALDS初戦、TBマイヤーズの見送りツーベースはポストシーズンの怖さを絵に描いたようなプレーでした。ふだんならあり得ないというか、魔が差すというか。もっとも、あのあとも最小限のダメージでイニングを終えるチャンスはいくらでもあったのですよね。それなのに、なぜかエラーにならないミスが重なって得点が入り、そのたびに映し出されるマイヤーズの立ち姿。そして観客の「マーイヤーズ」チャント。今年のオリオールズにとって天敵だった試合巧者の(いやらしい)レイズがもろくもメルトダウンするさまはなんとも信じがたいものでした。2戦め以降の巻き返しはあるのでしょうか。

(ちなみにNLDSのワンデープレーオフでも、パイレーツのホームPNCパークでレッズの先発クエトに向けた「クエートー」チャントが渦巻き、クエトがメルトダウンするという場面がありました。観客のプレッシャーってものを思いしらされます。)

さて、オリオールズの2013年はこのポストシーズンに至る前に終了しました。85勝77敗。盛りあがって終わった昨年とは対照的に、おおむねつらい9月をすごした今年のオリオールズファン。それでも2年連続の勝ち越しです。満足はできないけど、2011年に「85勝」ってオリオールズファンの耳もとでささやいたら、きっと目をきらきらさせたことでしょうから(笑)、あまり文句もいいますまい。トラウマになりそうなTB戦4連敗のあと、トロント、ボストンと同地区の最終2カードに勝ち越して終われたのもよかったと思います。

とくに最終カードのボストン戦(9/27 金~0/29 日)は、消化試合にもかかわらず、観客が30,774 36,556 44,230で、最終日などは満員。(クリス・デイヴィスのボブルヘッド・デーだったこともありますが。)そのなかで0-5の劣勢から5回、6回に試合を一挙にひっくりかえしたのは、なかなか見ごたえがありました。最後ってことで、ハイライトにリンクをはっておきます。

例によって、いくつか話題をピックアップします。

◎重圧、疲れも不振の原因だった?

オリオールズの問題点というとたいてい投手陣が挙げられますが、9月のラストスパート時に一番問題だったのはじつは攻撃陣でした。24日のトロント初戦に負けてポストシーズンが消滅したのですが、その日に至るまでの10試合中、5点以上とったのはわずか1試合。今季のチームERAが4.20であるオリオールズにとって、打線の不振はひびきました。(だからERAを下げなきゃいかんのももちろんなのですが。)

ところが、敗退が決まった翌日にはなんと、憑き物が落ちたかのように9得点(^_^;; そしてBOS3連戦の最後も6点、7点。昨年は、ただただ楽しく突っ走ったO'sだったけど、今年は「勝たねば」という意識が強すぎた? 最後の2、3週間などは「もう追いつめられているので (we have our backs against the wall)」と口にする選手も多くてちょっと気になりました。でも、勝たねばならない試合に勝ってこそほんとうに強くなれるんだから、これは越えなければならない壁ですね。

あとメンタルな問題だけじゃなくて、フィジカルに疲れがたまっていたということもありそう。9/20日、TBとの初戦に延長18回という今季最長試合を4対5で落としたのですが、あとからクリス・デイヴィスが「あれが最後の一撃だった」と述懐していました。この試合、レイズが先発野手9人中、4人を途中交代させて延べ17人使ったのに対して、オリオールズで途中交代したのはレフトのモースだけ。延べ11人で乗りきっています。シーズンを通じても、ジョーンズ、ハーディ、デイヴィス、マチャド(負傷するまで)というコアメンバーはほぼフル出場。だからこそ2年連続勝ち越して最終週までワイルドカード争いにからめたのも事実ですが、いちばん大事なところで疲労困憊してしまったのは残念なことでした。(ジョーンズも手首痛などいろいろかかえていたもよう。)

捕手のウィーターズにはときどき休みを与えていたのですから(そのせいか、彼は毎年9月がいちばん打撃成績がいい)、他のメンバーにもときどき息抜きを与えてもいいかもね。内外野どこでも守れてそこそこ打てるライアン・フラーティーもいることですし。

◎2013年の天敵No.1はレイズ。

最後の「死の4連戦(わたしが勝手に命名)」を含め、レイズ戦は6勝13敗(-_-) ここでせめてあと3つ勝ててたらなあ(たられば)。

ほかの同地区戦は:

BOS 11勝  8敗

NYY  9勝 10敗

TOR 10勝  9敗

カモもいないけど、天敵もなく、最後までシビアにやったりやられたりしていたので、やっぱりレイズ戦に勝てるようにならないとあきまへん。やはり投手陣の整備なんですよね……。

和田毅、昇格ならず。

そうそう、あの延長18回があったとき、和田を呼ぶなら今でしょう、と思ったのですよ。ちょうどフロリダにいたわけですし。しかし呼ばれたのはブリトンとベルフィオーレ。チームはずっと、「ペナントレースのさなかだから」という説明をしていましたが、そのあとスポーツ紙でデュケットGMが、まだ手術からの回復途上とコメントしているのを見かけました。けっきょくまだメジャーで投げられるだけの球が来てないという判断だったのか。3年目のオプションは破棄が確実でしょうが、できるならノンテンダー後に安い契約を結び直して、もう一度スプリングキャンプからメジャーを勝ちとってほしい……と、これはわたしの希望です。

◎クリス・デイヴィスが2冠

後半、だいぶペースが落ちたものの、HR53本、138打点で2冠を獲得しました。最終戦で、守備の際ランナーと交錯して手首を痛めるアクシデントがありましたが、幸い大事にはいたらず。打率 .286および二塁打42本もりっぱです。来年も健康を保って1年間コンスタントに出場を続ければ、結果はついてくるはずです。

◎守備はメジャー随一。

昨年前半、内野のエラーが相次いだころにはどうなることか……だったのですが、思えば遠くへきたもんだ。今季は守備率が.991でメジャー1位、エラー数も54でメジャー最少。これは162試合になってからは史上最少なのだそうです。すごくない? 

しかしこの守備はだれよりもまずマチャドがいてこそなのですよね。最後の1週間、彼を欠いてからはポロポロと6個もエラーしとりました。健康な状態でマチャドが戻ってきてくれることが、2014年の最初の課題です。

あと、JJハーディーのスローイングが地味に気になってます。デイヴィスがよくすくいあげていたので、エラーにはならなかったけど、ときどき送球をたたきつける場面が。昨年、肩を痛めていたとシーズンオフに話していたので、ひょっとすると今も痛みがあるのかなと思えなくもありません。

◎マニー・マチャド左膝関節内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)の断裂で、全治6-8週間。

例の、「TB死の4連戦」の最終戦でアクシデントは起きました。7回、内野安打を放ったマチャドが一塁ベースを踏んだ際、膝をがくっとやって転倒、激しい痛みのため起きあがれず、ストレッチャーで退場したのです(動画)。

とっさにACL(前十字靭帯)では、と思い、丸一日暗澹たる気分で過ごしたのですが(昨年の8月まではチームにいなかったのに、これから1年間マチャドがいないなんて耐えられない!と激しく気づいた)、翌日、ボルチモアMRIを受けたところ、幸いにも大きな靭帯に損傷はなく、膝のお皿が横すべりしないよう抑える膝蓋大腿靭帯の断裂と判明しました。当面はリハビリでの回復をめざし、全治6~8週間。セカンドオピニオンでも同様の診断が出ています。

「不幸中の幸い」という言葉があるとしたらまさにそれ。この診断が出た日、O'sはトロントに負けてワイルドカード敗退が決まったのですが、マチャドのニュースのおかげでまるで勝ったような気分になりました(^_^;;

問題は、2年前にも同じ左膝を痛めていること。若いので治りは早いでしょうが、繰り返すとこんどはもっと大きな靭帯を痛めかねません。まだ体もうんと細いので、体重を増やしすぎないよう注意しながらも、筋肉をつけて関節周りを強くすることが求められます。いちおう4週間がすぎた時点でもう一度診察を受け、治りがよくないようなら手術を受ける可能性もあるとのこと。それでも1年かかるACLとちがって、2~3か月でプレーに復帰できるそうなので、いずれの道をとっても開幕には間に合いそうです。無理せず、あせらず、完全に治してから元気に復帰してほしいです。

◎ブライアン・ロバーツ、ジョナサン・スコープ……来季の二塁は?

マチャドが離脱した試合で、サブの内野手アレクシ・カシーヤも脳しんとうで退場。マーケイキスと激突したのですが、あとになって衝突した事実をおぼえていなかったそうです。こわい。それにしてもこの試合(レイズ戦4戦め)、なんか魔物でもいたんじゃないかと思いたくなるような不幸の連続。お祓いとかお清めとか方たがえとか、そんな言葉が浮かんできちまいます(-_-)

でもって、内野手がふたり欠けたこともあり、9/25日のブルージェイズ戦でジョナサン・スコープが待ちに待ったメジャーデビュー。なんと3打数2安打1HRという活躍を見せました。こちらはおなじみのパイ攻撃を受けるスコープくん。まだあどけないな~(*^-^*) でも3月にWBCで見たときに比べると、少し体ががっちりしたような気がします。今季は2Aでいいスタートを切って3Aに昇格しましたが、腰椎の疲労骨折でDL入り。ようやく復帰を果たして9月に昇格しました。リハビリのなかでだいぶ強化をはかったんだろうと思います。

ただ、この2日後にはまた軽い腰の痛みで出場を回避するなど、まだ体力面には疑問符が。そうなると今季で契約の切れるブライアン・ロバーツと1年契約を結ぶことも十分考えられます。ロバーツって、オリオールズに欠けている打席での粘り強さがやはりすぐれているんですよねー。マチャドがケガをしたときにも心にひびくコメントをしていましたし、若手へのお手本としてもコーチ的存在としても、もうひと働きしてほしい選手です。

……とまあ、またすっかり長くなってしまいました。

今オフ、オリオールズは、監督コーチ陣はほぼ残留が決定しています。シーズン最後に家庭の事情でチームを離れたリック・アデア投手コーチだけが未定。オフの注目は投手陣(とくに先発)の整備と、ウィーターズ/デイヴィスとの契約延長があるか否か(15年まで支配下)に集まってくるのかなと思います。また何か動きがあったらまとめたいと思います。