Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

さよなら、ジム・ジョンソン (; ;)

なんだかすさまじい今年のストーブリーグです。

特に今日(現地6日)は、ついにカノーが10年240Mというものすごい契約でマリナーズと合意。一度は、「カノー側が10年を要求したために破談」、という情報が流れて、ああやっぱりマリナーズにはいかないか、とだれもが思ったあとだったので、仰天しました。そのあともグランダーソンがメッツと4年契約、フェルドマンがアストロズ(!)と3年契約(30MIL)とつぎつぎに結ばれていく契約、また契約。あの~、みなさん、なんでそんなに景気がいいんですか?(>_<)

そんななかオリオールズは、年俸調停権を持つ選手に対する契約デッドラインだった12月2日深夜、クローザーのジム・ジョンソンをアスレチックスにトレードしました。

交換相手はジェイミー・ウィークス+PTBNL(Player to be Named Later:後日指名選手)またはキャッシュ。

これ最初に見たとき、正直、ガーン!という感じでした。PTBNLがつくとはいえ、この2年間で101セーブあげたジョンソンの交換相手が、期待されながら今季わずか9打席で早々に見切られ、その後メジャー昇格することのなかった二塁手、ウィークスとは……。

いえ、ウィークスはきらいじゃないですよ。2012年にはマリナーズとの開幕第2戦を東京ドームに見に行って、そのスピードと守備に魅了されました。オリオールズはブライアン・ロバーツが契約満了でFAになり、来季の二塁手は目下不透明な状況。だからウィークスを選んだ理由はわからなくもない。でもやっぱり非常にもやもやする。そこで自分を納得させるために?このトレードのいくつかの側面について書き留めてみます。

【ジョンソンの成績】

2年連続50セーブ以上とはいえ、今季はセーブ失敗も9試合。12年と比べると、ERA 2.49→2.94、WHIP 1.019→1.280、BB/9 2.0→2.3 などすべての数字が悪化。抑えた試合でもランナーを出しながらどうにかこうにかという場面が多く、不安定さが目立ちました。シーズン中もクローザー交代論が何度も浮上しましたが、ショウォルター監督は一貫してジョンソンに託す姿勢でした。ブルペン使いが巧みな監督なので、むしろジョンソンにこだわらないほうが活路が開けるという考え方も。

【年俸】

今季のジョンソンの年俸は6.5MIL。スーパー2だったため、調停権を獲得して3回目となる今オフは、最低でも10MILを越える契約が見こまれます。今季、クローザーで10MILを越えたのはリベラとパペルボンだけと言われており、割高なのは否めず。O'sの年俸総額の約1/10近くを占めることになります(2013年の年俸総額は92.2MIL。14年はもっと上昇するでしょうが、それでも120-30MIL?【訂正】どう見てもそんなには行かなそうです。せいぜい100MILをちょっと越えるくらい?)。ダン・デュケットは「強いチームを作るには、いくつもの分野で強みを発揮できるよう、資源をうまく配分することが必要」とコメントしています。(MASN)

【クローザーの穴は埋まるのか】

デュケットは、今季ワールドシリーズを勝ちぬいた両チームでいずれも、シーズン当初の構想とは違う投手が最終的にクローザーを務めたことを指摘していました。たしかにBOSは上原に救われたし、カージナルスエドワルド・ムヒカが9月にクローザーの職を失いながら、ローゼンタールがその穴を埋めました。

でもそれは層の厚さがあったればこそ。ひるがえってオリオールズは、内部でクローザーを探すとしたら、トミー・ハンターかダレン・オデイ、あるいはブライアン・マタスあたりになるのでしょうが、みな対右と左のスプリットが著しく違うなどの欠点があり、決め手に欠けます。ハンターは、今季は主にセットアッパーを務めていたので、このなかでは一番可能性があると思うし、実際、ジム・ジョンソンが不調だったときには、ハンターに任せればと思ったこともあるのですが、86.1イニングで11HRという被弾癖が気になるところ。

では外からの補強はどうか。

じつはムヒカにかなり興味があったようなのですが、昨日、BOSにきっちりとられてしまいました(-_-) 2年9.5MILです。オリオールズはそこまで出せません(悲)。

夜中にオリオールが元マーリンズのライアン・ウェブと2年4.5Mというリーズナブルな契約で合意したというニュースも流れたのですが、ずっと中継ぎだったようなので、クローザー候補ということではなさそう。高額な大物をとることはまずないでしょうから、もう2、3、ウェーバーでクレームしたり、マイナー契約したりして層を厚くしつつ、あとはショウォルター監督一任という形になりそうな予感がします。

・見返りが小さい

さきほども記したように、メインがウィークスというのはいかにも足もとを見られたという印象。

たしかにオリオールズ二塁手を必要としているのですが、マイナーにはジョナサン・スコープもいます。スコープは今季は腰椎の疲労骨折で半年を棒にふり、打席数を補うために出場したAFLでもあまりふるわなかったので、来季はおそらく3Aスタートだろうといわれていますが、そういう意味ではウィークスもほぼ同じような立場。むしろパワーという点ではスコープのほうがすぐれています。だから、ますますなんだかなあと感じてしまうのですよね。あと、いちおうまだブライアン・ロバーツと再契約の可能性も残っています。

デュケットの説明によると、市場に8回、9回をになえるリリーバーが比較的多く出まわっていたことと、年俸調停権を持つ選手の契約デッドラインまでに決めたかったということも、A'sとのトレードに応じた要因のよう。こちらが思うほどの引き合いはなかったということなんでしょうかね。

ただ、A's側から見てもそれなりにリスキーなトレードではあります。カムデンヤーズに比べて大きなコロシアムが本拠地になるとはいえ、もともとゴロ投手で、崩れるときはHRよりもむしろ四球、内野安打でランナーをためて、二塁打で帰されるなんてパターンの多いジョンソンにはあまり関係ないかもしれません。果たして今年より多少安定感のある、2012年に近い投球ができるのか。高額であることも含め、「ビリー・ビーンらしくない。またトレードの駒にするのでは」という見方も根強くあるようです。

……とまあ、いろいろならべましたが、やっぱりもやもやの一番の原因は「さみしい」ってことなんですよ。

上原がレンジャーズにトレードされたときは、ある意味、意識のうえで半分は一緒についていく(?)ような感じだったので、今回のようなさみしさは味わいませんでした。レンジャーズのことも一から知って、試合も見て、上原その人に対するコミットメントは減ることがなかったので。

でもやっぱり今回は「見送る」という心境なんですねえ。A'sでもホントがんばってほしいし、応援しているけれど、やはりメインで見るのはオリオールズ&上原の試合になるでしょう。そのうえで、生え抜きのクローザーだったジョンソンには人一倍愛着を感じていたし、今季、何度か連続でセーブを失敗したとき、逃げることなく全力で乗り越えようとする姿には心から感銘を受けました。

常に表情を変えず、一見クールなジム・ジョンソン。

でも、じつはチームメイトからAngry Jim と呼ばれるほど、必要なことはばしっと口にし、またかつてグレッグとオルティスの殴り合いに端を発した壮絶な乱闘の際には、当事者でもないのに退場処分を食らったほど熱い一面も持ちあわせています。また、あらゆる面で向上心にあふれ、2011年にDL入りしたときには、大学に籍を置いて授業を取っていたこともありました(かつてのエントリ)。

オリオールズ選手会長を務め、今回のトレードも選手会総会のため西海岸に飛んで、サンディエゴに降り立ったときに聞かされたそう。2、3日前からトレードの噂があることは知っていたものの、生え抜きで一度も移籍を体験したことがなかったので、非常にショックだったとのこと。真っ先にサラソタのキャンプ地近くの自宅に暮らす奥さんと子どもたちのことを思いうかべたそうです。ただ、選手会でA'sの選手会長であるブレヴィンズや、TEXの代表でやはりA'sにトレードされたばかりのジェントリーと話をしてすぐに気持ちが前向きになった、と。(しかしみんな選手会長トレードしちゃって大丈夫?(笑))

オリオールズの地元メディアとの電話会見では、オリオールズのチームメイトからつぎつぎにメールや電話をもらったことや、チームが弱かった時代からずっと戦ってきて、2012年はみずからも大きな牽引役になってプレーオフに進出できたことなどを語りながら、何度も声をつまらせたというジム・ジョンソン。やっぱり好きだよ。2012年をありがとう。みんなメジャーリーグはビジネスだというし、選手のことは商品であると見なしているし、実際にそうなのだと思うけど、それでも生身の人間であることに変わりはない。わたしはやっぱりその人間の部分が好きなのだと思います。アスレチックスでもがんばって! I wish you well in A's, Jim Johnson.

その他の話題を。

◎SFジャイアンツからノンテンダーの外野手、フランシスコ・ペゲーロ(25)と契約、40人ロスターに追加。今季シーズン前、BAのリストでSFのプロスペクト第5位。3Aでは70試合で.316でしたが、メジャーでは18試合.207。

◎元マーリンズの右腕リリーバーライアン・ウェブ(27)と2年4.5MILで合意。2013年は66試合でERA2.91。基本的にジム・ジョンソンと同じくゴロ投手だとのこと(ソース)。巨大打ちあげ花火のかげでひっそりと結ぶ契約にはいいイメージがあるので、うまくいってほしいです。

◎スコット・フェルドマンはアストロズへ。

冒頭にも記したとおり、O'sが再契約を望んでいたフェルドマンは3年30MILというりっぱな契約でアストロズへ。ジム・ジョンソンの10MILをあきらめたオリオールズにとっては手の届かない領域へ行ってしまいました(泣)。今オフ、FAはみんな高い! 日本のポスティング料の上限が20MILと決められましたが、どう見てもそんなの、今のメジャーの多くのチームにとってはどうってことないんじゃありませんか。強いか弱いじゃないんですよね。けっきょく巨額のTVマネーがあるかないか。それが懐具合を大きく左右しているのが現状です。

(あ、あと、フェルドマンはずっとレンジャーズにいましたから、やはりTEXに戻りたかったみたいですね。奥さんもTEXに友人がたくさんいるそうで。)

◎さらにこのブログをアップしているあいだにネイト・マクラウスがナショナルズと2年契約。ああ、再契約したかった人たちがつぎつぎといなくなる……(>_<) でもマクラウスは昨年、マイナー契約からシーズン半ばにコールアップされると、後半、特にマーケイキスが骨折で離脱してから大活躍して穴を埋め、オフに1年2MILで再契約したのでした。今回は2年10.75MILで3年めのオプションつきだそう。パイレーツで華々しくデビューし、しかしブレーブスにトレードされて自分の打撃を見失い、ひいては野球人生まで見失いかけたあと、昨年、オリオールズで、「ネイト・マクラウスのバッティングをしてみろ」というコーチの言葉にはっと目ざめてみごとに復調。小柄ながらパンチ力もあり、何よりもディフェンスがすばらしくて、オリオールズにとってはきわめて貴重なレフトフィルダーでした。ナショナルズでの幸運を祈りますが、オリオールズにはまた埋めなければならない穴ができてしまいました(泣)。今オフはなかなかに多難です。ウィンターミーティングが、ひとつでもふたつでも朗報をもたらしてくれることを願います。

15年オフにFAになるウィーターズ、デイヴィスのことも非常に気がもめますが、とりあえずは考えないでおこう……アンジェロス・オーナー、どかんと奮発してくれないかなあ(>_<)