Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

ホームタウンは大阪とボルチモア:上原浩治のオフ

久しぶりに上原エントリを更新しておきましょう。

例年、今の時期はわりとたくさんTVに出てくれる上原さんですが、今年はまさに出ずっぱり状態。わたくしとしては、うれしいかぎりです。

とくに12月27日に放送された『アナザースカイ』は、自宅のあるボルチモアを「海外にある第二の故郷」として紹介するという、上原&ボルチモアフリークのわたしにとってはど真ん中ストライクの内容でした。

市内から車で30分離れたところにあるというお宅の内部と、広大な庭での一真くんとのキャッチボール。ボルチモア市内の散策。Five Guysのハンバーガー(「ピクルスが欠かせない」)と、それをねらうカモメたち(笑)。フォーシーズンズホテルでのおいしそうなお寿司……。あ~、ボルチモアに行きたいよお。

でも何よりもうれしかったのは、カムデンヤーズ内部のショットでした。

「他球団に所属する選手に球場内の撮影許可が下りるのは異例。球団が上原に敬意を払って許可してくれた」とのこと。オリオールズ、ナイスです! 

ここで、たまたまオフィスにいたアスレティック・トレーナーのブライアン(Brian Ebel)と再会し、ハグして"How's everything?" "Great!" "You had a great season." "Thanks!" (うろおぼえ)と、テンポのいい会話をする上原。

しかしクラブハウスにはさすがにだれもいなくて、がらんとしています。空っぽのクラブハウスに腰をおろして、上原はしみじみと語ります。

「オレがいたときとぜんぜんちがうね。跡形もないよ。……強くなれば色々変わりますよ」

オリオールズに来て2年め、2010年の途中にバック・ショウォルターが就任し、その翌年2011年の途中にはもう上原はレンジャーズにトレードされています。そのあとクラブハウスにはトレーニング器具が大幅に追加され、選手の求めに応じて卓球台も設置されて、大きくリニューアルされたはず。それと呼応するようにチームも2012年、15年ぶりの勝ち越しを決めると、今シーズンも勝ち越し。わずか数年のあいだにもどんどん様変わりしていく、そのダイナミックさがメジャーリーグなんだなとあらためて感じます。

そういえば、今季、レギュラーシーズン最後の3連戦はカムデンヤーズでのオリオールズvsレッドソックス戦でした。そのとき、上原の人柄について、ボストンだけでなくオリオールズの選手にも取材した新聞記事が出たのですが、当時の膨大な報道量に負けてご紹介できないままになっていたので、今さらながらかいつまんでご紹介しておこうと思います。上原が、ある意味、文化の伝道役も務めているんだなと感じた記事です。(冒頭、少し省略しています。)

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Uehara is life of Sox party(レッドソックスを活気づけるウエハラ)

BY BRIAN MACPHERSON

 レッドソックスのユニフォームを着た日本人投手は、上原が最初ではない。しかしこれほどチームに溶けこんだ日本人投手は初めてだろう。ダイスケ・マツザカは、レッドソックスにいた数年間、あまり周囲とかかわらなかった。ヒデキ・オカジマは、はるかにもの静かだった。若手のジュンイチ・タザワも、クラブハウスではあまり目立たないようにふるまっている。

だがウエハラは、2月のスプリングトレーニングでチームに合流した瞬間から、個性を発揮していた。シーズン終盤にはクローザーとして大いに注目を集めたが、そのはるか以前からブルペンの欠かせない一員になっていたのだ。多くの選手の同化をはばんできた言葉の壁を乗り越えて。

外向的なウエハラは、4年前、ボルチモア・オリオールズに入団したときもたちまちチームになじんだ。

「外国から来て言葉もわからなくて、最初は様子見していたみたいだったけど、そのうちどんどん自分をさらけ出して、みんなと打ち解けていったよ」ウエハラの1年めに自分もメジャーリーグのルーキーだった、オリオールズのブライアン・マタスはそう語る。

オリオールズのクローザー、ジム・ジョンソンに言わせると、ウエハラの出身地大阪は「日本のお笑いの中心地」だ。大阪っこのウエハラは、メジャーリーグのクラブハウスにつきもののどぎついやりとりも一歩もひかずに受けとめた。ジョンソンは語る。

「コウジが来て間もないころ、スプリングトレーニングで『今日のひとこと』というのをやっていた。コウジが毎日、紙にひとつ単語を書くんだ。それをコウジが日本語に訳してぼくらがおぼえ、コウジは英語のほうをおぼえる。そして予想どおり、みんな悪い言葉から先におぼえたね」

もちろんレッドソックスのクラブハウスでもそういう悪い言葉が飛び交っている。男はいつまでたっても子どもだ。でもウエハラは、そういう騒ぎに交じらないときでさえも、しっかり笑いをとる。

「アイアムジェントルマン(だってぼくは紳士だからさ)」

日本語なまりの英語でウエハラがそういうと、チームメートがどっと笑ってうなずく。

ブルペンの同僚、クレイグ・ブレズロウは語る。

「言葉の壁があるから、長い前ふりをして最後に落とすっていうようなジョークは、ウエハラには語れない。でもひとことでいきなりバシッとオチがくるから余計におかしいんだ。コウジの場合、口をひらけばすべてオチ。すごいユーモア感覚だよ」

ウエハラは物まねも得意だ。

「フォームをまねるんだよね」と、オリオールズのマタス。今季もウエハラは、相手ベンチからジム・ジョンソンの物まねをしてみせたという。「わざと大げさにやって笑いをとるんだ」

「いろいろな方法でコミュニケーションをとろうとしているね。ジェスチャーで笑わせたりするのもそのひとつだし」ボストンのリリーバー、ドレイク・ブリトンも語る。「そうやってみんなとやりとりしている。ほんとうにすばらしい人だよ」

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オリオールズのクローザー、ジム・ジョンソン」というのが……ううぅ(泣)。記事が出たのが9月末なので仕方ないのですが。でもそのジム・ジョンソンが、大阪を「日本のお笑いの中心地」(原語は “the comedy capital of Japan”)と認識してるのがすごくおもしろい! ジョンソンとはたしか、オリオールズ時代に一度いっしょにお寿司を食べにいったことがあるはず。そのときだかどうかは知りませんが、上原を通じて日本のそんなコアな文化まで何気なく伝わっているのはすごいことだなと思います。ついでに言うと、ブレズロウの「口をひらけばオチ」の「オチ」は"a punch line"。使える表現としてぜひどうぞ(^o^)

今朝(12月29日(日))は〈サンデーモーニング〉に出演し、「張本さんと金田さんの『アメリカの選手には落ちる球投げとけば打ち取れる』という発言に対して喝ですね!」と、存在感を示した上原。もちろんTV出演だけでなく、昼間はしっかり自主トレをつづけてキャッチボールの距離もまた徐々にのばしているようです(tweet)。オンとオフの両方を楽しみながら、残り少ないスプリングトレーニングまでの日々を満喫してほしいです。

そして当ブログもこれが今年最後のエントリかなと思います。(ただ、年末、オリオールズに動きがあれば更新するかも。)

オリオールズは、終盤、くやしい戦いが多かったけれど、それでも2年連続の勝ち越し。今オフは今のところ苦戦を強いられていますが、まだ来季へ向けて戦力の整備はしてくれると信じてます。デイヴィス、ウィーターズの契約延長問題など、いろいろハラハラする要素は満載なのですが、あらためてチームの若さと魅力を再確認した1年でした。来季も応援するよ~。

そして上原さん。4月開幕してまもなくハイファイブで注目されはじめ、夏場の37人連続アウト、そしてポストシーズンでの大活躍。ほんとにルーキーイヤーからずっと応援してきて、こんなすごい1年を目の当たりにするなんて。もうファン冥利に尽きます。心からおめでとうございますとあらためて祝福したいし、ありがとうと感謝したいです。

でも、今オフ本人がくりかえし口にする「これがゴールじゃない」というセリフも心から信じることができます。いろいろ山坂越えてきてワールドシリーズ制覇にめぐりあったからこそ、「自分はやっぱり野球が好き。だから1日でも長くやりたい」という思いこそが一番の原動力であることを再確認できたのでしょう。

だから来年も、気負わず、力まず、今までどおりに体のケアをつづけながら、1日1日を積み重ねていってほしい。わたしもそれを毎日楽しみに追いかけようと思います。

じつはまだ Fangraphs に出たいくつかの記事をご紹介できないままになっているので、それは新年の宿題ということで。(きのうの『ベストスポーツ』で、上原が「2013年の一番印象に残った対戦」の1位に「ケンドリックへの死球」を「あげていたのですが、それ、ジェフ・サリヴァン氏の「上原浩治のカーブ」の記事で取りあげられているんですよね。)

というわけで、来年も、ひまのあるときにぼちぼちと楽しみながら更新を続けていきたいと思います。みなさまも、毎回つい長くなってしまうこの記事を根気よく読んでくださってほんとうにありがとうございました。来年もまたよろしければおつきあいください。

みなさま、よいお年を!