Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

オリオールズ、ミニキャンプ、マイナー契約などなど

今オフもマイナー契約満載のオリオールズ(^_^;; 1/13日から4日間、サラソタで若手投手陣のミニキャンプを行いました。昨年トミー・ジョン手術をしたディラン・バンディも元気な姿を見せています。

もうキャッチボールを始めて、バッテリー間の距離に近い60フィート(18.29m)まで距離を伸ばしており、スプリングトレーニング終盤には、できればマウンドからの投球までこぎつけたいとのこと。

「1年ぶりに痛みなく投げられているのでうれしい」とコメントしているので、球速が落ちたと騒がれた昨年春は、ずっと痛みをかかえていたんですね。当初は温存療法を選び、リハビリとPRP(高血小板血漿)の注射で様子を見ていましたが、結局昨年6月末に手術を選択。以来、医師やトレーニングコーチと密に相談しながらリハビリとトレーニングを進めています。O'sトッププロスペクトコンビの相方、ケヴィン・ゴーズマンとダッシュしているこちらの写真もどうぞ。太った?と思ったけど、腹筋割れてますね。相当コアトレーニングを積んだんだろうな。あせる気持ちを抑えつつ今季後半の実践復帰をめざして、コンディションをあげていってほしいです。

いっぽうのケヴィン・ゴーズマンはあいかわらずスレンダーでしなやかな印象。やせやすい体質のようで、ルーキーだった昨シーズン8月には83キロまで落ちたそう(身長は190センチ)ですが、オフにトレーニングと、ガールフレンドのママの手作り料理で(笑)88キロまでもどしたとのこと。目標は開幕メジャーと言い切っているので、年間を通じてのコンディションづくりも大切になってきます。

先ほどの写真を見ると、ランニングフォームがいかにもathleticで、運動神経のかたまりのような感じ。投球フォームもしなやかでムリがなく、わたしは好きです。ファストボールの本当の意味での制球を身につければ、ぐんと飛躍するんじゃないかと期待してます。

もうひとり、昨年終盤からオリオールズ若手投手陣のなかで赤丸急上昇なのが、22歳の左腕、ティム・ベリー。まずはボルチモア・サンのこの写真をどうぞ。ちょっとお、なかなかイケメンくんじゃありませんかい? しかもサン、MASNともに、「非常に落ちついていて、笑顔をたやさず、インタビューに対しては思慮深い回答をする」と、その人柄を絶賛しています。昨年は1Aフレデリックで11勝7敗、ERA 3.85だったベリー。そのあとアリゾナ秋季リーグでもERA1.84という好成績をあげています。

高校からドラフトされたときは50巡め。これは上位の実力と評価されながら、3年生のときヒジを故障してトミー・ジョン手術を受けることになったせい。本人は大学に進学するつもりでしたがオリオールズに指名されて入団し、トレーニングコーチの指導をあおぎながら状態をあげてきました。昨年からファストボールの制球が増したことに本人は手ごたえを感じているそう。今季、2Aでも実績を残し、その先につなげてほしいです。

ちなみにこのトレーニングコーチ (正確にはminor league medical coordinator)のデイヴ・ウォーカーさんというのは、今、ディラン・バンディのリハビリも担当している人。チーム内での評価が非常に高いです。

このほか、契約関係以外のミニキャンプでの話題を。

◎チェン、右ひざの回復は順調。

1月9日にボルチモアの地元ラジオ局の番組に電話出演したショウォルター監督が、昨年10月に右ひざのクリーニング手術をしたチェン・ウェインの回復が少し遅め("a little slow")と語り、わたしも少し気をもんでいました。その後チェンは、1月15日に台湾を発って渡米(情報:Baseball Helliosさん)。今日、現地1/16(木)、担当医の診断を受け、順調に回復しているとお墨付きをもらいました(サン)。とはいえキャンプでムリしてまた痛めてもなんですので、あくまでも開幕をにらんで、キャンプはスロースタートということになりますかね。

◎マチャドは予定より6-8週間早い回復ぶり。

膝の膝蓋靭帯再建手術を受けたマニー・マチャドも、16日にカリフォルニアで担当医の診察を受けました。まだ野球の動きに対する許可はおりなかったものの、予想よりはるかに早い回復を見せており、1月31日に総合的な運動検査を受けてゴーサインをもらう予定。よかった。

1月初めにはマチャドとパドレスのヨンダー・アロンソ(今年12月には義兄になる予定)が、ラッパーでスポーツエージェントでもあるJay-ZのコンサートでA-Rodといっしょに撮った写真が出まわり、ちょっとした話題になりました。するとショウォルター監督が、電話でマチャドにリハビリの様子をたずねてから、「Jay-Zのコンサートはどうだった?」とちゃっかりきいて、「A-Rodとはちょっと立ち話しただけなのに写真をとられて、ずっとつるんでるみたいに言われた」という話をひきだしています。パパ、さすがです(笑)。

昨年も、病み上がりのブライアン・ロバーツやノーラン・ライモルドとひんぱんに連絡をとりあっていたショウォルター監督。今年も、手術組だけでなく、クローザー候補として名前がたびたびあがっているトミー・ハンターなどにもちょくちょく電話しているようです。おそらく、新規契約組にも声をかけているでしょう。ショウォルター監督のこういうマメなところ、大好きです。

◎バルフォアは肩ではなく膝と手首の問題?

ソースはバスター・オルニーのツイート。ほかにまったく続報がないので真偽のほどは不明。でもたしかに肩以外の問題ということもあり得ます。

バルフォアとの契約から撤退したことについては、当事者ではないレイズのチームドクターと、バルフォアの執刀医だったレッズのチームドクターから「肩の状態は3年前と変わっていない」という声明が発表されてオリオールズ関係者を憤慨させるなど、かなりのすったもんだがありました。オリオールズのチームドクターのひとりDr.ジョン・ウィルケンズは現在、海軍アカデミーにも務める優秀な医師。しかし守秘義務があるため、オリオールズとしてはどこに問題があったかを発表することはできません。

こんな状況のなか、先日、ショウォルター監督が、当事者以外のチームドクターがコメントを発表することについて、次のように語りました。

「異例? いや、倫理に反するといってもいいくらいだと思うよ」(ソース)

Yeah, love you, Buck. つづけてこうも語っています。

「わたしはうちのドクターたちのことをよく知っている。どれだけ優秀か、どれだけの労力を注いでいるかをね。彼らがきちんと成し遂げてきたことについては、だれも語らないけれども。(移籍時の)JJハーディやクリス・デイヴィスの診察もそうだ。常々すばらしい判断をくだして、われわれだけでなくファンのためにも働いてくれている。それを遠くから、何か裏の意図があったんじゃないかなどとあれこれ言われるのは、腹立たしい」

グラウンド上だけでなく、チームスタッフ全員に注ぐこのバック・ショウォルターのまなざしが、今のオリオールズをぎゅっとまとめているのだとあらためて感じます。

さて、例年どおりオリオールズは、クリスマス休暇明けから大量のマイナー契約(と、若干のメジャー契約)をしております。わかる範囲でまとめてみます。

【投手】

ルイス・ビスカイーノ(39)

2009年以来メジャー登板なしも、昨シーズンはメキシカンリーグでERA1.40、25セーブ。メジャーへの返り咲きはなるでしょうか。

ルフレド・アセベス(31)

昨年はボストンでERA 4.86。でもボストンでは谷間の先発で好投してもすぐ3Aに戻されたりと、厳しい状況だったのもたしか。むしろ首脳陣にくってかかったり、交代にきた監督にボールをわたさずポンと放り出したりと、「素行不良」のほうが心配かも。難しいヤツなのはまちがいないけど、たぶんボストンよりはチャンスが多いオリオールズの投手陣。ショウォルター監督の手綱さばきが見物です。メジャーに昇格すれば1.2MIL、インセンティブなどで最大3MIL、昇格がない場合のオプトアウトも組みこまれた契約だそうです。

できれば先発をもうひとり、マイナー契約じゃなくてとってほしいのですけどねえ。アローヨに興味と伝えられていますがどうなのでしょう。

【内野】

アレクシ・カシーヤ(29)

2014年のチームオプションを破棄し、マイナー契約で再契約。昨年は62試合で.214/.268/.295ながら、セカンドサード、ショートとなんでもこなせるユーティリティとして存在感を発揮しました。

ブロック・ボンド(28) 右投両打 

SFのマイナー7年通算 .300/.398/.377 ながらメジャー昇格は1度もなく、昨年は1Aで打率.240。転地療法が必要だった? スプリングトレーニングへの招待はなし。

【外野】

クインティン・ベリー(29) 左投左打 レフト

レッドソックスからFAになっていたところをマイナー契約。メジャー通算盗塁29回(含ポストシーズン)ですべて成功という足を買ってのこと。ネイト・マクラウス(2013年30盗塁)の穴を埋められるか。

デルモン・ヤング(28) 右投右打 

昨年はフィリーズとレイズで.260/.307/.407 HR11本。レイズでのドラフト時は全米1位。2010年にはツインズで.298/.333/.493という成績を残しています。いっぽう2006年には見逃し三振をとられたあと、投げたバットが主審にあたって50試合の出場停止を受けたことも。(ずいぶんきびしい処分ですね。故意だった?)

ミニキャンプにも顔を見せ、挨拶だけですぐ帰るといいながらも、けっきょく今日まで居残って体を動かしていました(写真)。

タイラー・コルビン(28) 左投左打

メジャー契約。2012年にロッキーズで136試合、.290/.327/.531 だったのに昨年は27試合.160/.192/.280 40人ロスターからはずされてFAを選択。オリオールズがピックアップした形です。成績の激変はいったい何があった?と思うけど、これまでもわりと隔年傾向があったのかも。高地でないところでも成績をあげることはできるでしょうか。まあカムデンヤーズもヒッターズパークといわれますが。

【2/13追記:その後コルビンとはけっきょく契約せず物別れに。バルフォアと同様、やはりphysicalでひっかかったもよう。今オフ2件め(^_^;; 意外とケガ持ちのFA選手にとっては高いハードルになっています。】

というわけで、スプリングトレーニングを前に、オリオールズの外野はたいへんなことになっております。アダム・ジョーンズとニック・マーケイキスは別として、ポジションを争うことになる選手を列挙しておきます(☆は40人ロスター):

右 

デルモン・ヤング、フランシスコ・ペゲーロ☆、スティーブ・ピアス☆、ノーラン・ライモルド☆

 クインティン・ベリー、タイラー・コルビン、デイヴィッド・ロウ☆、ゼイヴィア・ポール、ヘンリー・ウルティア☆

んーと、たぶんもっといると思うけどわかりません(笑)。判明したらまた追加します。

ちなみに昨年もたいへんな競争だったのですよね。最後は「ワールドシリーズの第7戦みたい」とラス・キャンズラーがもらすほどし烈な戦いを勝ちぬいてスティーブ・ピアスがロスターに残ったのですが、あまりスプリングトレーニングの競争が激しいと、そこで力を使いはたしてしまうという弊害も。ピアスも手首を痛めて、昨年は大分DLにいました。だから層が厚くなるのは歓迎だし、競争もいいことなんだけど、あくまでもシーズンが目標なんですからね、みなさん!(といっても、開幕メジャーに残らないと、っていうのもありますからね……。)

あと、右投手に強いやつ、左投手に強いやつ、守備がいいやつ、足が速いやつ、ってみんな得意技は持ってるんだけど、ひとり1技能っていうのはなんとかならんのか。よく昔話にありますよね。遠目、早耳、韋駄天、大力、大食いみたいな異能の男たちがそれぞれ活躍してご主人を助ける話。助けてくれたらそれでいいんだけど、ロスターってものがあるんで、外野だけで6人とか12人とか置いておけないのがつらいところ(あたりまえか(笑))。

このなかからだれが「ひとり1技能」の壁を破って、外野あるいはDHのポジションを勝ちとるでしょうか。スプリングトレーニングまで、あとひと月ちょっと(野手組)です。

【追記】MLB TRのこちらの記事がペゲーロについてかなりくわしく触れています。マイナーリーグで6年プレーして、ほとんどメジャー経験のないまま所属チームに40人ロスターの空きがなくてFAになった選手が、メジャー契約を勝ちとる例が今年は特に顕著だとのこと。その8例のうち3例がオリオールズ。しかし、やみくもに安く獲得しているわけではなく、たとえばペゲーロの場合だったら、代理人が「デュケットはわたしよりうちのクライアントについて語れるほどだった」というほど下調べをしていたもよう。ペゲーロについては攻守両面でかなり期待しているようです。

じつは今オフのマイナー契約(とメジャー契約)でとった選手は27~29歳の範囲にどっと集中しているんですよね。ショウォルター監督がつねづね、選手というのは27、8から30ぐらいのころに、すべてがかちっと組みあわさって大きく飛躍することがある、と言っているのですが、そういう年回りの選手たちを意図的に集めているんだと思います。このなかから本当に花開く人たちが出てくると面白いんですけどね。