Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

上原、No.1コレクション

昨日1月20日、チームメートの田澤とともにワールドシリーズの優勝トロフィーをたずさえて、安倍首相とキャロライン・ケネディ駐日米大使を表敬訪問した上原浩治。かっこいいです。表情がどんどん若くなって、巨人時代を含めても、いっそう輝きを増しています。MLB.comの動画もどうぞ。

記録ずくめだった2013年でしたが、今オフのさまざまなドキュメンタリーのなかで本人もたびたび口にしていたように、これまでと何かが急に変わったわけではありません。あくまでもメジャー移籍以来の積み重ねがあり、そのなかでコンディショニングを工夫し、DL入りしないで過ごすことができたためにいい数字を残せたのだと思っています。

そこで、ここまでの上原のさまざまなナンバー1をまとめておこうと思います。主に2013年になりますが、積み重ねを象徴する通算記録のナンバー1もあります。ただし、通算はまだこれからどんどん変化していきますから、2013年終了時点ということで。思いつくかぎりのものを記したのですが、忘れているものや、気づかなかったものなどもあると思います。思いついたらまたちまちま追加したいと思いますので、お気づきのものがあれば教えていただけるとうれしいです。

【メジャー1位(年間&史上)】 

◎WHIP

まずはよく取りあげられるこの値から。WHIPはWalks Plus Hits Per Inning Pitched の略。四球とヒットで1イニングあたり何人ランナーを出すかという指標。長いイニングを投げる先発投手で1前後ならエリート級(今季の岩隈が1.01)、救援投手でも0.9以下なら十指に入ってきます。

・そして2013年の上原のWHIPは0.57。50イニング以上投げた全投手のなかで1位。ありえへんレベルです。(ちなみに2位のホッチェバーが0.82。)

・これは40イニング以上投げた投手のなかでは、1シーズンのメジャー記録でもあるとのこと(source:

MLB Play Index)。

・また現時点では通算でも、100イニング以上投げた全MLB投手(4404人)のなかで史上1位の0.83。ただしすぐうしろにキンブレル(0.90)がいます。

◎K/BB

三振数を四球の数で割った、制球のいい上原の特徴ともいえる指標。

・2013年の上原は11.22で、試みに下限を20イニングまで下げてもメジャー1位(493人中)。Wow.

・通算でも現在、上原のK/BBは8.74。これは100イニング以上投げた全投手のなかで史上1位。

・またやはりMLB Play Indexのこちらのツイートによれば、1901年以降、規定投球回に達した投手のなかで、1シーズンでもK/BB 8.74以上の成績をあげたことのある投手は5人しかいないそうです。

◎被打率

2013年は.129で、40イニング以上投げた367投手中メジャー1位。

(下限を30イニングに下げると上にカージナルスのシーグリストがきます。でも上原は74.1イニング投げてますからすごいです。ちなみに規定投球回に達した投手の中では1.80のホセ・フェルナンデスが最高。これもすごい数字。)

◎1イニング以上を投げてのパーフェクトリリーフ

2013年は42登板で1シーズンの記録としてはメジャー史上1位(ソース:MLB Play Index)。

なお2位は2010年のルーク・グレガーソン(39登板)。通算ではリベラの376登板。

【メジャー史上初】

こちらには個人の記録だけでなく「上原がからんだ試合」も入れておきます。

まずは負の記録から。

ポストシーズン3登板連続被弾(2011年:当時のエントリ)

蒸し返すな!って怒られそう。すみません。でもここから立ちあがったから今があるんですもん。さらっと流して次に行きます(笑)。

ワールドシリーズ史上初、走塁妨害で試合終了

2013年第4戦。109回のワールドシリーズのなかで史上初のできごとでした(当時のエントリ)。負け投手が二転三転してワークマンに落ちついたのも驚きと混乱を象徴。

◎こちらもワールドシリーズ史上初、けん制アウトで試合終了

2013年の第5戦。走塁妨害の翌日でしたから、まさにシリーズの流れを決定づけた一瞬でした。思い出すだけでまたぞくっときます(笑)。

◎2013年、MLB全試合中最も多くツイートされた試合

ワールドシリーズ第6戦。これはMLBのツイートにリンクを。写真はやっぱり上原さん。

◎シーズンに100個以上三振を奪い、四球が10個以下だった投手はメジャー史上初(ソース)。

2013年レギュラーシーズン、101三振で9四球(うち2個が敬遠)。これはもう、「うわあ」としか言いようがないです。

【メジャータイ記録】

プレーオフでのセーブ数:7

ふたたびSportivaにリンクを。

「地区シリーズを含めたプレイオフでは計7セーブを記録し、ジョン・ウィテランド(1996年、ヤンキース)、トロイ・パーシバル(2002年、エンゼルス)、ロブ・ネン(2002年、ジャイアンツ)、ブラッド・リッジ(2008、年フィリーズ)に並ぶ歴代最多タイとなった」

【球団史上1位】

◎連続アウト記録:37人

8月17日ヤンキース戦~9月17日オリオールズ戦。

・救援投手としては2007年のホワイトソックス、ボビー・ジェンクス(41人)に次ぐ史上2番目に長い記録。

こちらも記憶に新しいところ。当時のエントリにリンクを貼っておきます。

【日本人初】

ポストシーズンでの胴上げ投手。

レギュラーシーズンの胴上げ投手(優勝の瞬間にマウンドにいた投手)は2001年の佐々木主浩が最初で上原がふたりめ(ニッカン)。

ポストシーズンでは上原が日本人初。デイビジョンシリーズ、リーグ優勝決定戦、ワールドシリーズのすべてで三振締めという偉業を達成しました。

◎リーグ優勝決定シリーズで日本人初のMVP。

WSでMVPをとった松井に続く快挙でした。当時のエントリも。

こうしてみると、やっぱり2013年はすごい年でした。

ただ、冒頭にもふれたようにTVのさまざまなドキュメンタリー番組があったなかで、製作の都合なのか「メジャー移籍以来、ケガもあって屈辱のシーズンを送ってきたが、2013年に花開いた」という描き方をするものが多くて、ちょっと不満を感じました。特に2011年のオリオールズからレンジャーズへの移籍を、あたかも「チームに貢献できなかったからトレードされた」かのように説明するのはホントやめてほしい(>_<)。オリオールズにもレンジャーズにも失礼です。2011年7月時点で、上原はオリオールズのなかで最高の投手でした。しかしオリオールズは首位から大きくひきはなされて最下位。だから優勝争いでブルペンの強化を目指していたレンジャーズに請われて移籍し、代わりにオリオールズは、若手で実力を発揮しきれていなかったクリス・デイヴィスとトミー・ハンターというふたりの選手をもらったのです。1対2ですよ? しかもふたりとも今、オリオールズの主力中の主力になっている。当時のエントリにリンクを貼っておきます。

日本のメディアも、メジャーリーグを報じるなら、きちんと説明の工夫をして、日本の視聴者なり読者なりに「同じ野球だけれども、少し仕組みもちがい、考え方もちがう世界がそこにあるのだ」ということを伝えてほしい。それこそが報道する者の矜持ではないかと強く思った今オフでもありました。

【追記】

上原の同僚、ボストンのリリーバー、クレイグ・ブレズロウが1/21日にフェンウェイパークでのイベントに出席し、その際上原について語ったことがこちらの記事に出ていました。ちょっと面白かったので一部を紹介しておきます。

「コウジとジュンイチ・タザワとは、言葉の壁があってもブルペンでの会話を楽しんでる。ぼくはシーズン中に3、40回はコウジにスプリットの投げ方をたずねたんじゃないかな。するとすぐにこうききかえされるんだ。『どのスプリット? 0-0からストライクをとりにいくスプリット? それとも1ストライクから落とす132キロのスプリット? それとも2ストライクからカット気味に落ちる135キロのスプリット?』ってね」

上原のセリフにしてはちょっと理屈っぽい気がするので、理論派でならすブレズロウの脚色が多少入ってるのかもしれないけど(笑)でもたしかに握りを教えるとしたら、細かく限定しないと教えられないですもんね。だから、スプリットとひとくちに言っても、実は何種類かの球種を投げ分けているに等しいのだとあらためて確認しました。

【追記2】

もうひとつ。Number2014/1/30号の上原インタビューに、オリオールズへの思いを語っているところがあって、ちょっとうれしかったので抜粋。

オリオールズは僕の中ではホントに恩人です。恩人のチームなんです」(中略)「見てくれている人は見てくれているということですよ。数字上だけじゃなくて、見えないところできちんと頑張ってきたところを誰かが評価してくれる。結果的にはオリオールズが3年目の契約もしてくれたのが大きかった。だから僕は今でもオリオールズに感謝しているし、個人的には交流もある」

もちろんオリオールズのことだけでなくポストシーズンのことやこれまでとこれからの野球人生についても語っています。いい記事でした。

【追記3】

コメント欄で教えていただいたこともつけ加えておきましょう。

ALDSで上原がレイズのロバトンに打たれたサヨナラHR、みごとにトロピカーナフィールドのエイの水槽に飛びこんだのはこれまた記憶に新しいことですが、これもレイズの選手が打ったHRとしては初めての水槽ダイブだったとのこと。いろいろありますね~(笑)。 XoPALTiCさん、ありがとうございました!

【追記4】

追記ついでにもうひとつ。Baseball Reference のこちらのツイートによれば、上原は現在、19登板連続で無四球+1三振以上の試合を続けており、もう1登板で1位の記録にならぶそうです。こちらはシーズンまたぎですね。ちなみに現時点でのメジャー1位はクレイグ・キンブレル。2012年の5月20日から7月14日にかけて20試合連続で無四球+1三振以上を記録したそうです(ソース)。