上原:登板回避でケガを回避【4/17復帰!】
今季の登板5試合とも無失点。きわめてさくさくと気持ちのよい投球を続けてファンをうっとりさせていた上原ですが、現地11日(金)の試合前、遠投をしているとき肩に張りを感じて、2試合登板回避。一昨年、広背筋を痛めたときと同じ箇所に違和感を感じたということで、しばしどきっとしました(当時のエントリ)。2012年当時は、リハビリ中の再発もあって、けっきょく2か月離脱しましたので。当初は、本人ブログを見ても、DL入りやむなしかなあという雰囲気だったのですが、幸い2日休んで日曜日にキャッチボールをしたところ、痛みもなく、よく腕が振れていたとのこと。その後ボストンに飛んでMRIを受け、筋肉の損傷などもないことが確認されました。現在はシカゴでまたチームに合流しています。ほっと一息なのですが、シカゴは雪だとか。うーむ。寒さには十分気をつけてほしいですね。
4/7以降の登板と、登板回避をめぐる情報などをふりかえっておきます。
4/7 BOS 5- TEX 1 上原、4点リードの9回に登板。
1 ベルトレをレフトライナー
2 リオスをサードファウルフライ。サードのヘレラが、レンジャーズベンチの階段の端まで踏み込んでナイスキャッチ。上原も両手をあげて拍手。
3 2ストライクからの3球め、モアランドにライト前、ライナーのヒット。
4 3ボール1ストライクからの5球め、マーフィーにグリーンモンスター直撃の二塁打。モアランドは三塁へ。
5 マーティンを空振り三振! 試合終了。
本人ブログ
ハイライト@Gao
ずっと2-1で推移し、8回ウラに3点追加して5-1になってからの登板、本人もブログで緊張の糸が切れたと書いているとおり、一番難しい登板だったかもしれません。
「無四球+1奪三振以上の試合」継続:23試合
4/9 BOS 4-TEX 2 上原、2点リードの9回に登板。2セーブめ
6回までは1-0でボストンリード。しかし7回、8回、レンジャーズが1点ずつとって逆転すると、こんどは8回ウラ、オルティスの3ランでボストンが再逆転。試合が大きく動いたあとの9回を締める、これまた難しいマウンドでしたが、すっきりと気持ちよく片づけました。
1 マーフィーを1-2と追い込んでから4球めファストボールで投ゴロ
2 マーティンを2-2からの5球め、スプリットで空振り三振!
3 代打アドゥーチを2球め、スプリットでサードファウルフライ
全球ハイライト
「無四球+1奪三振以上の試合」継続:24試合
人々が上原の登板にしびれるのは、単に勝ち試合を締めくくるからではないのですよね。"He is so efficient!" と多くのファンがいうように、ランナーを出さないこと、球数が少ないこと、テンポが早いこと、全部あいまっての小気味よさに惚れるわけです。
その上原が、4-2の2点リードの8回ウラになってもウォームアップせず、代わりにムヒカが肩を作りはじめて騒然となったのが4月11日のヤンキース戦。4/4のブルワーズ戦でムヒカが4失点と打ちこまれていたこともあってBOSファンは戦慄したようですが、この日は何ごともなく三者凡退。クローザーの保険としてムヒカをとっておいた補強が生きました。
その後上原は、冒頭にも書いたように、13日(日)には60メートルの距離でキャッチボールをしてから、平地でファストボール、スプリットを交えてピッチング。痛みは感じず、本人も「思ったよりよかった」と語っていたようです。見まもっていたファレル監督も「腕の振りも非常によかったし、本人の不安もある程度解消したのではないか」とコメントしていました。ボストングローブのリンクを貼っておきます。
そして翌14日にはボストンで診察を受けて異常なしと診断され、シカゴにいるチームに再合流しました。DLは避けられる見込みで、一度ぐらいブルペン投球を行ってから試合で投げることになりそうです。
それにしても、当初、「もしかして離脱?」と思われたときの地元各メディアの反応はすごかったです。かんたんにリンクを紹介しておきましょう。
ボストングローブは、2012年のケガが6月10日から8月25日にまで及んだこと、ポストシーズンを含めた55試合(59イニング)で上原が自責2、四球2、奪三振75というすさまじい成績を残していることを紹介し、離脱は非常に痛いと記しています。
ボストン・ヘラルドも試合の記事のほうはだいたい似たような感じですが、ブログはもっと悲鳴に近いトーンです。面白かったので、ちょっとご紹介。
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Injury to Koji Uehara could be crippling blow
(上原が故障したら、大打撃)
Saturday, April 12, 2014 John Tomase
デイヴィッド・オルティーズのふくらはぎ痛は心配だし、シェーン・ビクトリーノの開幕DLは、攻撃でも守備でも痛手になっている。ウィル・ミドルブルックスのような上昇中のスラッガーを欠くのも痛い。
でも、コウジ・ウエハラだって? ちょっと待って、気持ちを落ち着けるから。
オーマイガッド。おれたちみんな死んじまうよお。
……いや、すいません。でも「とてもいいシーズン」と「ワールドチャンピオン」を分かつことになった一番の要因はといわれたら、それは無敵のクローザーウエハラだった。だから昨夜のニュースには、とてつもなく不安をかきたてられる。
レッドソックスが4-2とリードしたヤンキース戦の8回、ブルペンを見ると意外な光景に出くわした。ウエハラではなく、エドワード・ムヒカがウォームアップしていたのだ。果たせるかな、9回ウラ、ブルペンのドアがあいて飛び出してきたのは、ムヒカ。ウエハラはジャケットをきたままブルペンのベンチに腰かけていた。
ムヒカは三者凡退でセーブをあげたが、記者たちはそのことより、まずはファレルに、それからウエハラ本人に説明を求めた。ウエハラは試合前練習のさい、右肩に張りを感じたという。レンジャーズ時代の2012年にも、同じような箇所を痛めた。
――でも早めに復帰したんでしょう?
「あのときは結局2か月かかりました。とちゅうで再発してしまったので」と、ウエハラはいう。
どきっっ。(中略)
レッドソックスは、人もうらやむほどの層の厚さがあるので、たいていの故障者はカバーできる。しかしウエハラが長期離脱したらとてもカバーしきれない。2013年シーズンに匹敵する成績を残したければなおさらだ。
ムヒカもたしかにいい投手だが、ムヒカはウエハラじゃない。いや、だれひとりウエハラの代わりにはならない。コウジは、エカーズリーやリベラやグース・ゴセッジと同様、マウンドに立つだけで勝ったと思わせるクローザーなのだ。
ウエハラは39歳。2年前、テキサス時代には、さっき述べたように右肩の広背筋を負傷し、37登板、36イニングしか投げられなかった。当時、6月9日のジャイアンツ戦で4安打2失点を許したあと戦列を離れ、ひと月のDL期間を経て復帰しようとしたが痛みは続いており、メジャー復帰目前のオークランドで、試合前練習中に肩を押さえてグラウンドを離れたという。けっきょく復帰したのは8月26日だった。
よかったことがあるとすれば、2012年の復帰後の5週間でウエハラがひっそりと積み上げた成績が、ボストンへの道を切り開いたということだろう。ウエハラは、最後の14登板で三振19、四球1、ERA0.00という数字を残した。
レッドソックスはこれに飛びつき、あとはみなさんご存知のとおり。
きのうファレル監督はこう語った。
「今日は投げさせないのがいいと思った。あくまでも用心のためだ。“張りがある”というコウジの表現からして、投げた瞬間にどこかを痛めたというたぐいのものではないだろう。少し休ませて様子を見たい」
というわけで、コウジ・ウォッチが始まった。なるべく落ち着いて見まもりたいと思う……けど……
……ああっ、神さま、なぜなの? なんでええっ???
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この最後の叫びは、上原ファンがこれまで何度も心のなかであげてきたものだから、妙に共感しました(笑)。いや、笑えてよかったですよ、ほんとに。
というわけで、すっかり「気のせい」扱いされることになった今回の登板回避ですが(”Koji Uehara on shoulder scare: 'I think it was more mental'”)、投げていて何かしらふつうでない感覚をいだいたのは確か。幸い、早めに訴えて数日試合から離れることができたので、治療をつづけながら、少しでも体を休めることができているといいなと思います。今日はシカゴでまた200フィート(60メートル)の遠投をすませ、明日、現地16日にブルペン入りの予定。試合復帰はそのあとになりそう。こうしてうまく危険を回避しながら、1年間投げつづけることができますように(祈)。
【追記】
そして4/17のホワイトソックス戦で無事、復帰登板を果たしました。
8回まで1-1の投手戦。9回表にBOSが2点勝ち越すと、その裏に上原が登板。
1 ダンをスイングアウト。
2 コネルコをファーストファウルフライ。
3 アレクシ・ラミレスにはレフト前ライナーのヒット。
スプリットがまだ抜け気味?ですが、ぶじ3セーブめをあげました。よかった!
最後の場面の動画です。
コメントも:
「投げられたことが良かった。内容は(好調時と)全然、比べものにならない。どこかでブレーキをかけている部分がある。怖さがある。メンタル的なものなので、試合に出れば消えていくと思う」
なんでも今日4月17日は「ナショナル・ハイファイブ・デー」なんだそうで。復帰登板には最高の日でした(^-^) これからまた調子があがっていくことと思います。(つぎ、オリオールズ戦ですけどね(^_^;;)