Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

トレードデッドライン狂想曲:O’sはミラーを獲得

すさまじいトレードデッドラインの1日でした。百戦錬磨のアメリカの記者たちも感嘆するほどの激しい動き。「見物」モードでも十分おもしろかったです。事実関係と分析はほかのブログにおまかせするとして(あとで下の関連記事から勝手にリンクを貼らせていただきます)、こちらではきのう1日のザワザワ感を少しだけ書き留めておきます。

日本時間でいうと7/31日の夜11時ごろ、まずレッドソックスとアスレチックスのあいだで、レスター+ゴームズ⇔セスペデス+ドラフト指名権という驚愕のトレードが成立しました。

アスレチックスは、サマージャとハメルの両取りをした上に(ハメルは今のところうまくいってませんが(^_^;;)レスターまで! いやあびっくりしました。それも例年のように複数の若手を駒にするのではなく、現在の主力であるセスペデスを出すとは。セスペデスにしてみれば、A’sの主力として優勝をめざしていたはずが、一転、たたき売りモードのレッドソックスにトレードされてしまったわけで、その心境やいかに……と思いましたが、ツイートを見たら、すっかり優等生でした。えらいな。わたしなら泣くけど(←どうでもいい)。ちなみに今日の入団会見での表情がこちら。さすがに晴れ晴れとはいかないようですが、オルティーズとチームメートになれてうれしいと語っていたようです。

さて、このトレードが決まるまでは、まだ「レイズはプライスを出さずに終わるんじゃないか」という気配もあったのですが、これでゴングが鳴ったかのように、市場が一気に流動化。レスターを逃したチームからまたガンガンオファーが飛んだようで、お約束の有名記者の偽ツイッターアカウントが出現してガセネタをつぶやけば、それにべつの記者までがひっかかってRTしたりする始末(こちらもその事後報告のひとつ)。もうこうなってくると、メディアリテラシーもなにもあったもんじゃありません(^_^;;

ところが朝起きてみたら、偽ケン・ローゼンタールが夜中にツイートしていたとおり、プライスがタイガースに移籍していたという不思議(笑)。もう何が何やら……。

さて、オリオールズの補強ポイントは、先日もお伝えしたとおり、先発投手、捕手、左腕リリーバーでした。そのうち捕手は、5月に1度ウィーターズから苦労してハンドレー&ジョセフに切り替えたばかりということもあって、今回は見送り。一時うわさにあがっていたカート・スズキも、ツインズと契約延長を果たしました。

先発投手は、当初からプライス、レスターなどの大物にはいかない方針でした。対価としてかならずゴーズマン、バンディ、ハンター・ハーヴェイといったトッププロスペクトを要求されるので(ゴーズマンはもう主力だけど。)……もっともプライスにもレスターにもあまりトッププロスペクトはからんでないので、発想の転換をすれば、どこのチームにも可能性はあったのかもしれませんけど。セスペデスのようにオールスター級の主力を出すなんていうのはそうそうないかもしれないけれど、上原の対価としてオリオールズに来たトミー・ハンター&クリス・デイヴィスや、フェルドマン&クレベンジャーの対価としてカブスに行き、一気に花開いたジェイク・アリエッタのように、4Aと言われるような選手、メジャーの実績はありながら開花しきれていない選手が、これからはトレードの駒としてもっとクローズアップされてくるかもしれませんね。

というわけで、オリオールズは、レッドソックスから左腕リリーバー、アンドルー・ミラーを獲得しました。

アンドルー・ミラーエドゥワルド・ロドリゲス

ミラーはシーズン後にFAになります。レスター同様、BOSへの復帰もささやかれていて、こちらのほうが金額的に見ても実現性が高いような。というわけで最大でも3か月のレンタルに対し、オリオールズ内のトッププロスペクトのひとりであるロドリゲスを出したのですから、正直いって少しもったいないかな、という気がしないでもありません。ロドリゲスはベネズエラ出身の21歳。シーズン前にはバンディ、ゴーズマン、ハーヴェイに続くチーム4位(だったかな)の評価を受けた左腕。今季は膝のケガなどもあって少し不安定な投球が続いているようですが、ローテの3~4番めをになう力はあると言われています。(実際にまじまじと見たわけではないので、あくまでも一般的な評価ということで。)

でもポストシーズン進出をめざし、さらに一昨年より上まで行くことをねらうなら、ブルペンの強化は必須。すべてのトレードがそうであるように、しばらくたってみないとその効果ははかれません。ミラーには各チームからオファーが殺到したようで(レッドソックスのチェリントンGMも「チーム内の誰よりも引き合いが多かった」と述べています)、実際、夜中には一度「タイガースと合意間近」というツイートも流れました。デュケットGMはロドリゲスを出したくなくて、ほかのいろいろな組み合わせを提案したようですが、完ぺきな売り手市場だったため、最後は押し切られた格好。まあしょうがない。あとはうまく力を引き出して、突っ走るだけです。といっても先はまだまだ長いですが。

いくつか補足しておきます。

◎ミラーの加入により、ライアン・ウェブが25人ロスターからDFA。DFAといっても40人ロスターからははずれず、事実上のオプション。ウェブは右で、それなりによく投げていましたが、前日のエンゼルス戦を始め、最近少し不安定だったか。9月にロスターが拡大すればまた確実に呼び戻されるでしょう。これでブルペンは、マクファーランド、マタス、ミラーと左腕が3人に。

◎ハンター・ハーヴェイがヒジの炎症で今期終了。

ハーヴェイは昨年、2013年のオリオールズ1巡め、全体22位で高校から指名された19歳の右腕。元メジャーリーガーを父に持ち、若いながらも洗練された投手と評判が高い投手です。今季は1Aで投げていました。幸い靱帯には損傷がなく、筋肉(flexor mass たぶんひとつの筋肉ではなく「屈筋群」のような総称?)の炎症だそう(サン)。19歳と若く体ができあがる前の選手ですから、早めにノースローで休ませるのは適切な処置だろうと思います。

ジョー・ソーンダースとマイナー契約。2012年に8月のトレードで取得し、ワンデー・プレーオフオリオールズを勝利に導いた(当時のエントリ)ソーンダース。今季は防御率6点台とふるわず、レンジャーズ→ロイヤルズと渡り歩き、7月にDFAされていました。なんでもキャリアのなかでリリーフ経験が一度もないそうで、それも驚きなんですが、オリオールズロングマンとして再生しようとしているみたいです。

◎ブライアン・ロバーツがNYYからDFA、ジム・ジョンソンは正式にリリース。

今季ここまで故障なくやってきたロバーツですが、ヤンキースがここへきてヘッドリー、ドルーなど何人かベテランの、ロバーツよりもう少し打てそうな内野手を補強したため、DFA。メジャー契約での復帰はあり得ないけど、マイナー契約でコーチ兼任とかどうですかね……。ジムジョンソンは、他チームから引き合いがあるかもしれませんが、こちらもマイナー契約ならあり得るかもという話。

オリオールズ、1956年以来の「7試合連続1点差ゲーム」。

とっても「らしくない」のですが、ここへ来て先発陣がとにかくがんばっていて、7月のチーム防御率は2.96とメジャー4位(!)。2012年にマチャドが昇格してチーム全体が活性化したときのように、ケヴィン・ゴーズマンの出現によって、投手陣全体にいい意味での競争が生まれているように感じます。あとは、今DL中のヒメちゃんだけです(^_^;;

西海岸からホームに帰ってきてからの勝敗もかんたんに記しておきます。相変わらず相手は西海岸のチームなのですが。

vsエンジェルス

7/29 7-6 ○ 延長12回、マニー・マチャドの11号サヨナラソロで決着。

7/30 4-3 ○ ゴーズマンが好投。マーケイキス、マチャドが守備で好プレー連発。これとか、これとか、これとか。もうほんとにすばらしい。

7/31 0-1 ● 延長12回、点取れず。でもマチャドは今日もブリリアント。前日同様、プホールズの長打を阻止しました。2日分をまとめた動画をどうぞ。ゲーリー・ソーンの実況もさえわたっております。

vsマリナーズ

8/1  2-1 ○ チェンが7回1/3、1失点で12勝め。アンドルー・ミラー、ラッキーが移籍後初登板でホールドを記録。ミラーの試合後インタビュー。ひげをそりおとしたらなかなかイケメン(笑)。観客から拍手を受けて思わず力んだそうですが、うれしかったと語っています。いっぽうチェンは、インタビューの冒頭で、台湾、高雄でのガス爆発事故にふれ、今日の勝利をささげたいと語っていました。

というわけで、現在7試合連続1点差ゲーム中(笑)。1点差試合は今季22勝17敗だそうです。

最後に上原のレッドソックスについてもかんたんに。

上原もブログで「オリオールズの時も、エースと四番が他のチームにトレードってのを見てきたけど、今回のは、それを上回るぐらいの衝撃的なトレードだったよなぁ。」と記していますが(2009年のオーブリー・ハフと、クローザーのジョージ・シェリルのトレードですかね)、まさしく。エースのレスターをはじめ、ラッキー、ゴームズ、ドルー、ミラー。昨年のチャンピオンチームからFAやトレードで抜けたメンバーは11人に達するそうで。(サルタラマッキア、ドルー、ゴームズ、エルズベリー、レスター、ラッキー、デンプスター、ピービ、ドゥブロント、モラレス、ベリー←誰?)

投手陣、野手陣ともに若手が豊富に育っているからできることでもあり、やや編成のぶれがあったところをチャラにするという動きでもあり(特にドルー)ますが、これだけたたき売ったあとも本拠地が満員になり、なにかせいせいしたような雰囲気でむしろ相手のヤンキ-スよりも元気にやっているところを見ると、やはりアメリカ人は「変化」が大好きなんだなと実感せずにいられません。これはもう国民性としか言いようがないですね。

上原としては、2011年に自分が出て行くトレードも体験し、今回は、

7月のトレード市場でもまれと言われるほどの激しい動きも体験して、メジャーリーグのど真ん中を味わいつくしているなあという感じ。

今日はヤンキース戦、4-3の9回をすっきり3人で抑えて22セーブめをあげました。契約延長の話も出てきましたが、今までと同じくこつこつと目の前の1試合ずつを戦っていってほしいと思います。