Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

O's:ウェーバートレード2件&もろもろコールアップなど

オリオールズ、9月1日のツインズ戦を終えた時点で79勝57敗、貯金22です。現時点ではエンジェルスにつづいてメジャー2位の成績。地区では2位ヤンキースに8.5ゲーム差をつけています。

でも、ファンとしては落ちつかないことこの上なしです。息をするように勝っていたA’sだって、セスペデス放出後の8月は盛大につまずいたじゃありませんか。アダム・ダントレードで持ち直しそうな雰囲気が出てきたけれど、チームバランスというのは、かくも微妙なものなんだということをまざまざと思い知らされました。

ただ、今季のオリオールズは安定感がウリなんですよね。じつは大連勝はちっともなくて1度5連勝したのが最長。そのかわり大連敗もなくて、開幕直後の4連敗が今のところ最長。前回のエントリのころ、なんとなくいやな予感がすると思っていたカブス戦で久々に3連敗したとき(含アリエッタと和田の「恩返し」)、ファンもメディアもパニックモードに入りかけたのですが、選手たちは平然としていたそうで、そのあとホームに帰ってレイズとツインズとの4連戦ふたつを6勝2敗の成績で終えました。

連敗後初戦の26日レイズ戦からのひとこま。連敗中で、しかも相手先発が好投手オドリッジということでどうなることかと思っていたのですが、なんと「2連発」+「3連発」という計5本のHRで快勝しました(動画)。英語だと「2連発」+「3連発」は”Back-to-back and back-to-back-to-back HR”となるんですよね。おもろい。

そして3連弾直後の6回表にはアダム・ジョーンズのビッグプレーが飛び出しました。ノーアウト一、二塁からロンゴリアの、そのまま飛んでいけば3ランという大飛球。これをキャッチしたばかりか、二塁に矢のような送球をして、タッチアップしていた一塁ランナーを補殺。例年、守備の指標が悪いとかで、ゴールドグラブを捕るたびに日本のMLBファンから文句を言われまくる気の毒なジョーンズですが、頑丈で毎日試合に出続けているし、足も速いし、肩は強いし、ほんとうにすばらしいセンターフィルダーなんですよ。ときどきポカもしますけどね。このスーパープレーはツイッターのGif動画でどうぞ。

.@SimplyAJ10 completes the double play after his great catch #Orioles #MLB http://t.co/WbmJ6E6y3E— Orioles GIFs (@OriolesGIFs) 2014, 8月 26

さあ9月です。第4コーナーです。向こうには最後の直線もちらちら見えます……が、さっきも書いたように、ちっとも安心できません。あたりまえだけど。

そんななか、オリオールズはマチャドの手術や、スティーブ・ピアス(脇腹)、JJハーディー(腰)らの状態がやや不安なこともあって、ロスターにさらなる厚みを加えるべく、積極的に動いています。

◎ジミー・パレデスをコールアップ(8/28)

7月24日にロイヤルズから金銭トレードで獲得したパレデスをコールアップ。外野手登録のようですが、マチャドがぬけたサードの守備固めからはじまり、ピアスが脇腹痛でスタメン落ちしてからはサードで先発しています。今のところ.320、HR1、3打点となかなかの活躍。ツインズ戦の第4戦ではエラーをしてしまったようですが、肩も強くて俊敏なプレーをします。アストロズ時代にいっしょだったバド・ノリスが「すごい能力を持ってる。ここのコーチングスタッフにきちんと仕込んでもらったらすばらしい選手になると思う」と強力プッシュしています(MASN)。このパレデスを、オリオールズは2月に一度マーリンズからウェーバーでクレームしたのに、その2日後にロイヤルズにとられてしまったそうで、今回が2度目の獲得。ピアスもそうだったけど、40人ロスターに載るかどうかぎりぎりのところで毎年たらい回しになる選手っていますよね~。ピアスは今年の活躍で、おそらく来季はメジャー契約をもらえるんじゃないかなあと思いますが、そこらへんの個人的な闘いも興味深いです。

なお、パレデスを加えたのはまだロスター拡大前だったので、25人ロスターの席を空けるため、一時的にケヴィン・ゴーズマンをルーキーリーグにオプションしました。ルーキーリーグは8月中に今季が終了するため、オプションしても通常の10日間待たずに再昇格できるという裏技です。今季のオリオールズはありとあらゆる裏技を駆使してロスターを入れ替えまくっておりました。(ただし、来季からはこの技は使えなくなると今日のUSATodayの記事にはありましたが。)

◎コード・フェルプスとユン・ソンミン(ソクミン)を40人ロスターからはずす(8/30)。

フェルプスは8月終盤にメジャーに昇格したものの3試合でDFA。ソンミンはオフに3年総額$5.575MILの契約を結びましたが今季は3A暮らしで3勝8敗、ERA 5.56。 へたしたら来年もこのままになってしまいそう。なおふたりとも3Aにオプションされています。 ユンと契約したときの記事は、下の関連記事にあげておきます。ユンとヒメネス、今年はどっちもうまくいかなかったんだよね……。クルーズでおつりが来たともいえるけど。

◎トレードでデアザとケリー・ジョンソンを獲得(8/30)。

30日(土)の試合中に、オリオールズホワイトソックスから外野手、アレハンドロ・デアザ、レッドソックスから内野手、ケリー・ジョンソンと、マイケル・アルマンサルを獲得しました。

・アレハンドロ・デアザ(30)⇔マーク・ブラックマー(右投手)+ミゲル・チャラス(右投手)

 ピアス、ヤングなど右打者に偏りがちなベンチのバランスをよくするためのトレードとデュケットさんは説明していました。デアザは、右投手に対しては.276/.343/.404 という成績。動画は、試合中に到着したデアザを迎えるオリオールズペンチ。直接、役割のかぶるデイヴィッド・ロウもにこやかにハグしています。

動画のあとのほうでショウォルター監督が「この時期に選手を加えることで混乱を来すようなチームだったらそもそもポストシーズンには出られない。うちの選手たちはだれでも歓迎するよ。新人いじめ(ルーキーヘイジング)のようなものはない」と語っていますが、その一方で、影響を受けそうなデルモン・ヤングなどには、個別に声をかけて短時間ながらも直接説明をしているようです。そういうことって大事だと思う。

・ケリー・ジョンソン(32)+マイケル・アルマンサル⇔ジェマイル・ウィークス+イヴァン・デヘスス

ケリー・ジョンソンは、2011年以来トロント→レイズ→NYY→ボストン→オリオールズと、これでアリーグ東全チームラウンドトリップが完成(笑)。じつにメジャーリーグ史上初めての栄誉(?)だそうです。やはりポジションをどこでもこなせる器用さと、左打者であることが要因だったもよう。アルマンサルは、昨年末のルール5ドラフトでオリオールズが獲得したのですが、ロスターに空きがなくボストンに返却。ふたたびの獲得です。今度はトレードなので3Aに置いておけるわけで。オリオールズから放出されるデヘススも2012年にBOSにいたことがあるんですね。そしてジム・ジョンソンとのトレードでやってきたウィークスも放出。けっきょくあのトレードは「サラリー・ダンプ以外の何物でもない」といわれたとおりになりました(-_-;;

◎セプテンバー・コールアップは6人。

いわゆるピカピカのプロスペクトはいません。ほとんどがシーズン中一度はベンチ入りして、その後ロスターの空きがなくて3Aに落とされていた人たち。それと、ウェーバーで獲得したジョー・ソーンダースも加わっています。

エヴァン・ミーク 右腕リリーバー。開幕ロスターに入っていましたが調子をくずして3Aへ。再昇格。

ジョー・ソーンダース 2012年8月にリンドストロームとのトレードでオリオールにきて、かのワンデープレーオフでチームを勝利に導いた立役者。その後シアトル→テキサス→カンザスシティと渡り歩き、8月にオリオールズマイナー契約。3Aではもっぱらリリーバーへの転身をはかっていました。

・ライアン・ウェブ 

・TJマクファーランド

・スティーブ・クレベンジャー

・クウィンティン・ベリー

ウェブは8月はじめだかに降格、クレベンジャーは8月末にいったん昇格しています。2、3日前までメジャーにいたマクファーランドとともに、ほとんど書類上の動き。

お初なのはクィンティン・ベリー。昨年終盤にボストンにいて、ポストシーズンで盗塁も決めている俊足の外野手。主に守備固めと走塁が武器とされますが、これまたデイヴィッド・ロウと、役割がもろかぶりするんですよね。今後ひと月でどう見極めをつけていくのでしょうか。

とはいいつつ、オリオールズで求められる一番の資質は「チームの勝利を何よりも優先できるか」ということ。

ショウォルター監督はつぎのように語っています。

チームメートの思いを気にかけない選手がいたら、それはストライク・ワンやストライク・ツーではなくて、ストライク・スリーだ。チームメートを喜ばせようと思わない選手に、わたしを喜ばせることなんかできるわけがない。

これはきのう9月2日に全国紙USA Today に掲載されたオリオールズに関するフィーチャー記事からの引用。

オリオールズというのは、アメリカのなかでもとかく全国的な注目度が低いので、現地のファンにとっても全国紙に取りあげられるのは「やったー!」という気分のようですが(笑)、とてもよく書けた記事で読みごたえがありました。

ショウォルター政権の核であるアダム・ジョーンズとの信頼関係についてもしっかり触れていて、就任当日にジョーンズと面談して、伝えた言葉が載っていました。

「アダム、きみはこのチームの最高の選手のひとりだ。きみの声かけでクラブハウスをひっぱっていってもらいたい。でも言葉通りのプレーをしなければ、中身のあるリーダーにはなれないよ。きみが正しいプレーをしてくれなければ、わたしはESPNに帰ったほうがましだ」

もうね、ほんとかっこいいんですよ、ショウォルター監督。どこまでもついていきます。Go, O’s!