Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

オリオールズ、スイープでALCSへ!

日本のメディアでは、圧倒的にタイガース優位との見方が強かった、この地区シリーズ。

でも、いい勝負はするだろうと思っていました。というのも今季オリオールズは、バーランダーにもプライスにもさほど苦手意識を抱いていなかったから。また、全体的に見ても、エース級の投手を相手にかなりいい戦いをしていました。だから、先発がふんばってブルペン勝負に持ち込めれば……というイメージはきっとチーム全員が抱いていたことと思います。

9月30日のESPNにちょっと興味深い記事が出ていました。

プレーオフに出場しないチームの15人のフロント関係者にアンケートをとったところ、アリーグを勝ち抜くチームとして最も多く名前があがったのはなんとオリオールズで7票。以下エンジェルス4票、アスレチックス3票、タイガース1票だったというのです。

……だれもロイヤルズを挙げていないという点で、もうすでにあてにならないわけですが(笑)(ほんとに予想はむずかしい!)

でもタイガースを推さない理由は、まさしくどんぴしゃでした。ある球団トップのコメント:

「タイガースは守備が弱いし、ブルペンがひどすぎる。すばらしい選手たちをかかえてはいるが、いいチームとはいえない。ブルペンがまともなら、ずいぶん話がちがうと思うが、ポストシーズンではブルペンを使わずにすませるわけにいかないからね」

ディフェンスとブルペン。ここに2チームの差が集約されていたように思います。とはいえ、スイープするとは夢にも思わず、どっちにころんでも5戦ぐらいまでいくかもしれない、と思っていましたが。かんたんにふりかえります。

10/2 オリオールズ12-タイガース3 ○ 勝:ティルマン @カムデンヤーズ

1回にいきなりクルーズの2ランで先制するも、ティルマンがつぎの回にV-マルチネス、JDマルチネスに連続弾を許し、たちまち同点に。しかし2回ウラにマーケイキスのポテンヒットイムリーで3-2と勝ち越し。ティルマンは球数がかさんで5回2失点で降板。7回にもシャーザを攻めて4-2としますが、ここまでは緊張感の高い接戦でした。

それが一気にくずれたのが8回。ひとつの大きなきっかけが、アダム・ジョーンズのショートゴロをはじいたロマインの守備でした。あとは怒濤の攻撃。8点の猛攻を動画でどうぞ。 まさしくタイガースの守備とブルペンが弱点を露呈したイニングでした。

少し前後しますが、ショウォルター監督の継投も冴えわたっていました。5回でティルマンを交代させて6回から早めのアンドルー・ミラー。調子がいいと見るや7回2/3まで続投させ、つづきはオデイ。8回にオデイがピンチをつくると最後の1アウトはブリトン、という具合に、いつもより早め早めのタイミングで継投。シリーズが始まる前、選手たちに All hands on deck (総動員)であることはよく確認していたようで、選手のほうにも「え?ここでおれ?」というとまどいはもちろん見られず、すぱすぱと気持ちよくつながった継投でした。

10/3 オリオールズ7-タイガース6 ○ 勝:ブラッド・ブラック @カムデンヤーズ

神様、仏様、デルモン・ヤング様。いや~、初球をひとふりのすばらしい逆転劇でした。

オリオールズはマーケイキスの2ランで先制しますが、4回にチェンが突如タイガース打線につかまり、JDマルチネスの3ランとカステリャノスのソロなどで一気に2-5とされてしまいます。チェンは3回2/3 5失点。くやしい今年のポストシーズン初戦となりました。つぎの登板機会でリベンジをお願い!

この悪い流れをたちきったのが、つづく3回2/3 を3安打1失点に抑えたケヴィン・ゴーズマンのピッチング。

とくに5三振を奪うなど、その力強さは圧倒的で、超満員のスタンドをふたたび盛りあげるうえでも大きな役割を果たしました。(動画)

打線は、劣勢のなかにあってもバーランダーに101球を投げさせて5回で交代させたのが大きかった。そのあとサンチェスには2回をぴしゃりと抑えられましたが、前日同様8回に、チェンバレン、ソリアに一気に襲いかかり、4-6と2点差に詰め寄ってから、ノーアウト満塁、代打デルモン・ヤングという場面を作ります。

デルモン・ヤングはすごい。なんと2009年以来、ツインズ-タイガース-レイズ-オリオールズと渡り歩きながら6年連続でポストシーズンに出場し、活躍しているのです。ここぞという場面では、初球ねらい。だからこの場面でも米tbsの実況は「デルモン・ヤングが初球を狙っていることはだれもがわかっています」と言っていました。そしてつぎの瞬間、その初球が魅入られたように真ん中へ。思いっきりひっぱたいた打球はレフトの頭を越えてフェンス際までころがり、満塁の走者を一掃。逆転! ハーディーのスライディングもすばらしかった。MustCの動画を。 実況もあいまって興奮します。

さらにGifツイートも。ハーディーがセーフになった瞬間、うしろでころがってるクルーズがおもろい(笑)。

Delmon Young had one at-bat. Sometimes, that’s all you need. http://t.co/yTmSh29rev #Postseason http://t.co/jt0Q4fpNMf— MLB (@MLB) 2014, 10月 3

この場面を逆方向から見るとこんな具合。すばらしい写真。

This could be one of the best #Orioles pics we've ever seen. #LetsGoOs #WeWontStop #OriolesMagic pic.twitter.com/C3VBhuK2ow— Fed Thrill (@fedthrill) 2014, 10月 3

ところで、また少し順序が前後しますが、この試合、5回にも大きな転機がありました。チェンが5点をうばわれてゴーズマンに交代した5回。先頭のハンターがいきなりヒットで出塁。つづくバッターはミゲル・カブレラ。ここで飛びだしたのがこのプレーでした。

三遊間の鋭い打球にダイブしての5-4-3のダブルプレー。マチャドもデイヴィスも抜けた三塁をとっかえひっかえ試した末にけっきょくフラーティーに落ちついたのですが、このプレーは第2戦を、さらに言えばシリーズの流れを救ったといっても過言ではありません。Gifもどうぞ。

5-4-3, Flaherty, beauty. #Postseason http://t.co/oMUZ94hUCZ— MLB GIFS (@MLBGIFs) 2014, 10月 3

さて、これでホームで2戦先勝したわけですが、打撃、ブルペン、監督の采配に次いで、もうひとつの見逃せない要因が、カムデンヤーズのすばらしいエネルギーでした。これが選手に力を与えないはずがありません。2012年のときにもカムデンヤーズの真のエネルギーにふれて感動しましたが、今回はさらにそれを上回るボルテージ。こちらの短いビデオがそれを手ぎわよくまとめていてかっこいいのでぜひどうぞ。ショウォルター監督も、「わたしもタオルがほしかった」といって、くすくす笑いをさそっています(笑)。(ビデオなので、音が出ます。)

VIDEO: Before the O’s travel to Detroit, take a look back at the awesome energy at Camden Yards: http://t.co/SYSf9XRHKm #IBackTheBirds— Orioles on MASN (@masnOrioles) 2014, 10月 4

10/5 オリオールズ2ータイガース1 勝:ノリス @コメリカパーク

シャーザ、バーランダー、プライスというサイヤングトリオを擁するタイガースをまさか三タテするとは思いませんでした。けれども、2戦めまでの戦いぶりで、タイガースはチームもファンもいささかしゅんとしていたようす。スタジアムも、チャンスのとき以外は、おおむねたいへん静かでした。

バド・ノリスが6回1/3、2安打無失点と、じゅうぶんすぎるほどの好投(動画)。そのあとオリオールズはミラー、ブリトンとつなぎました。

得点は6回に飛びだしたネルソン・クルーズのシリーズ2本めのツーランによるもの。ほんとにポストシーズンに強いです。あまり打てていなかったアダム・ジョーンズがヒットで出塁したあとのHRというのも、地味にはずみがつく感じでよかった。

でも、そう楽に終わったわけではなく、9回裏にもうひと山やってきました。

ブリトンからふたりのマルチネスが連続ツーベースで1点。三振で1アウトをとったあと、ショウォルター監督がマウンドへゆき、1発のあるカステリャノスを歩かせます。

逆転のランナーを敬遠で出すというのは、かなり危険ではあるけれど、すでにラジャイ・デイヴィスを使っていたタイガースには、めぼしい代打が残っていないことも見越しての決断でした。守りやすくなったことも相まって、わたしはなにか安心感を感じていました。選手も同じだったか。結果、ねらいどおりのダブルプレー! オリオールズがリーグ優勝決定戦へ一番乗りを果たしました!(MustC)

Look you guys, Buck smiled. :) https://t.co/NqCTacgLC7— BalSportsReport (@BalSportsReport) 2014, 10月 6

ショウォルター監督の笑顔。かわいい♡ NHKは、ショウォルター監督を鉄面皮の男として描きたいのか、「めったに表情を変えません」と必要以上に強調するのですが、そんなことはなくて、試合後の会見でもよくジョークを飛ばして記者団を笑わせるし、試合中のインタビューでもサービス精神満点です。

ショウォルター監督にとっては、なんと、これが初めての地区シリーズ突破。95年、ヤンキースの監督時代には、マリナーズに2連勝のあと3連敗して敗退しています。選手は一様に「初めて? うそ!」と、びっくりしているようですが。人間、50を越えたって、壁を乗り越えることはできるのさ!(笑)

No, the @Orioles won’t stop. That’s why they’re moving on. #CLINCHTOBER http://t.co/00Vei2jTPb— MLB (@MLB) 2014, 10月 5

がっちり抱き合うブリトンとピアス。

そして、Celebrations!

The Orioles are heading to the ALCS. It's time to celebrate. #IBackTheBirds https://t.co/I5u4a3J1DU— Orioles on MASN (@masnOrioles) 2014, 10月 5

The @Orioles have this celebration thing down. Next stop: #ALCS http://t.co/Gb84W3BeSU #CLINCHTOBER http://t.co/GMqMbIG5L1— MLB (@MLB) 2014, 10月 6

たぶん日本人トレーナーのRyo Naitoさん?

タイガースのドンブロウスキーオーナーも、お祝いを言いにきてくれたとのこと。すばらしい。

ただ、今回は敵地でのシャンパンファイトということもあって、比較的短く、あっさりと切り上げたもよう。

もう、意識は次へ向かっているのでしょう。

ALCSの相手は、ワイルドカードゲームから4連勝で勝ち上がってきたロイヤルズ。だれがこの組み合わせを予想したでしょうか。いや、だれもない。

エンジェルスは、ケガ人の相次いだ先発陣がネックと言われてはいましたが、まさかこんなに点が取れないとは。

ロイヤルズ、手ごわいです。レギュラーシーズンの対戦でも毎度、僅少得点差のぎりぎりの戦いになります。

でも試合後のインタビューで「エンジェルスとロイヤルズ、どちらがやりやすかったですか?」という問いに、ショウォルター監督は、「やりやすい相手なんていない。リーグのベストのチームしか残っていないのだから。どこが来ても全力を尽くすだけだ」と答えていました。まさにそのとおりですね。

双方ともスイープで勝ち上がったので、また中4日時間があきます。第1戦は10月10日金曜日(現地)。休養と調整を行って、どちらもいいコンディションで臨めそうです。すばらしい戦いを期待します。

青木がいるので、日本のマスコミはロイヤルズ一辺倒でしょうが、わたしはもちろんオリオールズ全力応援で。

Go, O’s!