Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

オリオールズ、オフシーズンへ

ワールドシリーズは見ないかも……と思っていたのですが、習慣でやっぱり見ちゃってます。

目の前に展開するのは、オリオールズが陥ったのと同じような試合展開。初回にゴロで先制され、ガスリーなら打てるだろうと思っているうちに、節目節目の好守で切り抜けられ、5回を越えると相手のブルペンが重く意識にのしかかってきてあせり……そうこうするうち、6回に追加点。まだ0-2なのに重いこと重いこと。

(あ、また1点入った、6回表。いてて……(>_<) 

 いや、でも6回ウラ、おや?ガスリーをひっぱるんだと思ったらノーアウトからヒットと二塁打ジャイアンツが1点。ヘレラを投入したらストレートの四球。あわててマウンドにかけつける投手コーチ。バタバタしてるな。1アウトからゴロでさらに1点入って2-3と1点差ゲームに。続くパンダは倒れて同点なりませんでしたが、また面白くなってきました。

……しかし、ダブルスイッチを怠ってヘレラが打席に立つなど、諸処に謎采配がありながらも、けっきょくいつもの継投であとはぴしゃり。KCが1勝リードしました。うーん。それにしてもKC、レギュラーシーズンでは1点差ゲームで 22勝25敗だったそう (アリーグ10位)。それがポストシーズンでは5-0。どーいうことなんでしょうね? てか、なんでこれだけのリリーバーがいてシーズンでは五分以下だったのさ?)

さて、同じKCと戦ったオリオールズリーグチャンピオンシップも、6-8, 4-6, 1-2, 1-2と、4戦とも2点差以内の接戦。それでも勢いの差は点差以上のものがあり、4戦合計でわずか6点差ながら、スイープで幕を閉じました。ほかにもいろいろなことがあって(ダイソンの発言とかガスリーのTシャツとか)オリオールズにとってはきわめてpainful なシリーズでした(MASN)。

試合後のショウォルター監督の会見を。ビデオではよくわかりませんが、うっすらと目をうるませながらだったそう。じつはショウォルター監督、毎年シーズンの終わる日がだいきらいなんです。選手と別れるのがさみしいから。今年はそのつらさが何割増しかになっていたかもしれません。

「1点差だろうが100点差だろうが、この胸の痛みは変わらない。デトロイトも、オークランドも同じ気持ちを味わったことだろう。シーズンが終わるときには、29のチームがこの悔しさを味わうのだから。ファンもスタッフも、いいときも悪いときもずっと応援しつづけてくれたから、期待に応えられなくて本当にもうしわけない気持ちだ。

……たくさんのことを乗り越えないと、この舞台には到達できない。今年の経験が今後に生きるか? もちろん、あだになることはないだろう。でもそれだけではなく、いい選手をそろえて、いいプレーをし続け、グラウンドの内でも外でも高い意識を保っていかなくてはならない。だからもう一度始めるよ。明日にもダン(デュケット)と会う予定だし、またここに戻ってくるために動きはじめるつもりだ」

最後は望むような終わり方ではなかったけれど、でもすばらしい2014年シーズンでした。

数多くの障害を乗り越えての地区優勝は、たとえALCSで負けたって、燦然と輝いています。5月に正捕手マット・ウィーターズがヒジの故障→手術で離脱。昨年の膝のケガから5月に復帰したマニー・マチャドは、守備も打撃も調子をあげてきた矢先にこんどは反対の膝をケガして8月にまた手術。チーム史上FA投手として最高の契約で迎えたウバルド・ヒメネスは、不調でローテをはずれ、ALCSロスターにも入りませんでした。そして昨年53HRのクリス・デイヴィスは、HR26、打率.196と不調に泣き、シーズン最終盤にはアンフェタミンの陽性反応で出場停止。ポストシーズンには出られませんでした。(ちなみに出場停止はまだ1試合残っているので、開幕戦には出られません。でも40人ロスターに1人分空きができるので、12月のルール5ドラフトのとき1人余分にプロテクトできるそう。デイヴィスの出場停止で生じた唯一のポジティブな事柄、と監督がコメントしてました。)

そんななかで、ネルソン・クルーズ、スティーブ・ピアスを初めとして、開幕前には予想しなかったメンバーが活躍。

クローザーも、トミー・ハンターがあかんとなると、オープン戦絶好調だったザック・ブリトンにスイッチして成功。

先発陣は、チェン、ノリス、ティルマン、ゴンザレスと4人が10勝以上を記録。スターターERAも3.61と大健闘しました。

ウィーターズの代役をつとめたニック・ハンドレー、ケイレブ・ジョセフが予想を上回る活躍をしたのも大きかったです。

でもこれはけっして偶然ではありません。ピアスにしても、オリオールズがオフシーズンに大量にマイナー契約した選手たちのなかで最も輝いた一人だったわけです。しかも4月末にはロスターの空きがなくて、一度はリリースの憂き目に遭いながら、たまたまその翌日にデイヴィスが脇腹痛でDL入りしたために、3日後に再契約。そこから一塁レギュラーの座を勝ち取って一気に花開いたのでした。

そこらへんに着目したのが、おなじみジェフ・サリヴァンのこちらの記事。ダン・デュケット就任後の2012-2014までのあいだに25人ロスターに登録された選手のうち、年ごとのWARがマイナスだったものをピックアップして合計し、チーム別の値を出してみる、という試みです。

オリオールズは6位。この3年間のチーム成績との相関関係もよく表れています。:

Negative WAR, 2012-2014

1 Rays   -8.3

2 Athletics -10.4

3 Nationals -10.8

4 Braves -11.0

5 Angels -11.5

6 Orioles -12.6

~~~(中略)~~~

26 Padres -19.9

27 Phillies -21.0

28 Marlins -21.3

29 Cubs  -22.4

30 Astros -28.1

さらに今年に限っていうと、マイナスのWARの合計がわずか-1.8だそう。ほかにもいろいろ数字を挙げていますが、くわしいことは元記事をどうぞ(丸投げ)。かいつまんで言うと、ダン・デュケットは、スター選手を獲得して上を引っ張り上げることよりも、チーム全体の底上げをはかることを選んで、それが功を奏しているということ。

たぶんオリオールズをよく見ている人にとっては感覚的によくわかっていることだと思うのですが、数字を援用しながらわかりやすい形にして見せてくれたなという感じです。

デュケットの就任1年めのオフ、「どんな小石もひっくりかえして使えそうなものをさがす」といわれたほど、ありとあらゆるところから選手をひっぱってくるそのスタイルは「質より量?」なんて、ナショナルメディアからさんざん揶揄されました。でもそのなかから独立リーグを経てメジャーに復帰し、ポストシーズンでもタイムリーを打ったルー・フォードや、マイナーから再生したネイト・マクラウス、メキシカン・リーグを経てオリオールズでメジャーデビューし、今年もローテの一員として活躍したミゲル・ゴンザレス、ウェイバーでクレームされて、いまやブルペンのリーダーになったダレン・オデイなど、たくさんの人材を輩出したわけで、ようやくこういうやり方も「アリ」だと認められてきたのかな、という気がします。

そうやって選手層に、一定の厚みが出てきた今オフ、今までとは少しちがって、現有勢力のなかからだれを来年も使いつづけるか、だれと長期契約を結ぶか(結べるか)という段階にさしかかってきたのかもしれません。ピアスはおそらくメジャー契約をもらえると思いますが、デルモン・ヤング、アレハンドロ・デ・アザ、デイヴィッド・ロウという外野の半レギュラー組はどうするのか、打撃はいいけど守備がちょっとあやしいジミー・パレデスをどうするのか、クルーズは? マーケイキスは? ……今年もまた目の離せないオフになりそうです。

それも含めたオフシーズンの話題を。

◎ニック・マーケイキスは残留?

17.5Mのチームオプションがあるマーケイキス。オプションは破棄される見込みですが、両者とも残留に前向きなので、おそらく3年か4年の複数年契約に落ちつくのではないかと言われています。パワー信仰の強いアメリカなので、HR14本、二塁打27本という数字に満足していないファンもけっこういるみたいですが、確実性のあるバッティングと堅実な守備は、やはり貴重。今年の11月で31歳とまだ若いですし、あと3-4年の契約というのは妥当というか、ぜひに!と、わたしは望んでいます。

◎ネルソン・クルーズは、おそらくQO(クオリファイング・オファー)。

何度も「オリオールズにぜひ残留したい」と公言しているクルーズですが、5年契約を求めているともいわれ(最近、エージェントをジェイ・Zに変えたみたいですが)、故障歴などを考えるとオリオールズはそこまではコミットしないだろうというのが大方の見方。最近、ファンのあいだで「ボルチモアにいる家族のために大きなテレビを買ったらしい」なんていう怪情報(?)が出回ったりして、残留を望む声は、けっこうありますが、来季年俸アップの選手が多いことにくわえて、来季はウィーターズのFAなどが控えていることを思うと、そうそう誰にでも気前よく払うわけにいかないのも実情です。

アンドルー・ミラーもたぶん無理。

移籍以来、すんばらしい投球で三振の山を築き(K/BB 8.50)ポストシーズンブルペンではだれよりも安定感のあったアンドルー・ミラー。移籍しているのでQOが出せないこともあり、FA市場の目玉になることはまちがいありません。クローザーのオファーを出すチームもあるんじゃないでしょうか。とくにデッドラインのときオリオールズと競って逃したといわれているタイガースは、しゃかりきになって取りにくるのでは。そんなわけで、オリオールズとしてはもちろん残留してほしいけど、まず無理でしょう……。

◎GG賞、最終候補に3名。

最終候補といったって、投票はもうレギュラーシーズンが終わったときに行われていて、単にショーアップするために上位3人を発表しているだけなんですけどね(^_^;;

ショート:JJハーディ、アルシデス・エスコバー(KC)、アレクシ・ラミレス(CWS)

センター:アダム・ジョーンズ、ジャッキー・ブラッドリー・Jr(BOS)、アダム・イートン(CWS)

ライト:ニック・マーケイキス、コール・カルホーン(LAA)、ケヴィン・キアマイアー(TB)

今、ワールドシリーズで旋風を巻き起こしているロレンゾ・ケインがセンターの候補にもなっていないのが話題になってますが、ライトと併用だったことでセンターの出場機会が限られていたからという話も。でもライトの候補にあがっているキアマイアーなんて先発57試合、526.1イニングなんですよ?(マーケイキスは147試合、1314.1イニング、センターのジョーンズは153試合、1368.1イニング、ケインが93試合、723.1イニング、ジャッキー・ブラッドリー・Jrが96試合、949.0イニング。たいして変わらん)

まあ、KCには他にも4人候補がいるそうなので、割りをくったのかもしれませんね。もう、ジョーンズがとるたびにありとあらゆる方面から文句をつけられるのでめんどくさいですが(^_^;; マーケイキスにはとってほしいなあ……。

◎ブライアン・ロバーツが引退

昨年、オリオールズをFAになってNYYと契約したものの、シーズン途中でDFAされていたブライアン・ロバーツ。その後の動向をきかないと思っていたところ、今月18日、引退が発表されました。37歳、足かけ14年のメジャー生活。ルーキーの年にはカル・リプケンのラストイヤー、最後の年にはジーターのラストイヤーを間近で見るという巡り合わせでした。

「このまま現役をつづけても、自分が望んでいるレベルでのプレーができなくなったと感じた。いつまでもしがみつくタイプではないから引退を決断した」とのこと。わたしがMLBを見はじめた2009年にはリーグ最多二塁打(56本)を記録しました。弱い時代のオリオールズを支え、オリオールズポストシーズン進出を果たした2012年は年の大半をDLで過ごすという巡り合わせがとても残念でした。昨オフは、オリオールズからのオファーがなく、ヤンキースへ。でも最後の一年はやがて忘れられ、オリオールズの名二塁手としてファンの記憶に残ることでしょう。どうもお疲れさまでした。

◎最後に、ビデオへのリンクをいくつか。

今季のハイライト:やっぱり地区優勝が一番ですねー。そしてDSでのデルモン・ヤングの逆転打。あれは興奮しました。

地区シリーズのあと、デトロイトから凱旋する選手たちを迎えるファン。 こちらも。

ファンへの感謝ビデオWe Won’t Stop。トミー・ハンターがちょっぴりの出演ながら芸達者なのが笑えます。

2012年版のI’M Glad You Cameも。何度見てもいいわ~♡

へへ、やっぱり長くなっちまいました。

今年のALCS、わたしは父の介護があったり出勤と重なったりで、リアルタイムで見られたのは第3戦だけだったので、あまり何もいえないのですが、ポストシーズン全体を通じて、じつはいちばん印象に残っているのは、ケヴィン・ゴーズマンなのです。今年のPSではロングリリーフという役回りでしたが、来年からはおそらくローテの2番手あたりでがんがん回るようになるのではないでしょうか。去年だったらガタガタくずれていた場面で踏ん張りがきくようになりました。変化球にももっとみがきをかけ、なによりも健康を保って、ぜひつぎに出場するポストシーズンゲームではエースを張ってほしいです。

彼と、ディラン・バンディが1、2番手を張るようになったら、そのときは真剣にワールドシリーズをうかがえるチームになると信じています。

2014年、お疲れさまでした。ゆっくり休んで、故障をいやして、また楽しい2015年を見せてください。

そして、アダム・ジョーンズさん、東京ドームで待ってるから、来てね~!