Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

O's:冬眠終了? スナイダーをトレードで獲得 【追記:ファンフェス】

けっきょくデュケットGMヘッドハンティング騒動は、オリオールズからトッププロスペクト3人を要求されたトロントが手を引き、翌日、ビーストンCEOの2015年シーズンの続投を発表という形で幕引きとなりました。

記者のなかには、レッドソックスが2011年オフにジェイズからファレル監督をひきぬこうとして断られたものの、2012年シーズン後に再チャレンジして今度は首尾よくひきぬきに成功した、という事例をあげて、また今シーズン後に続編があるかもしれないと観測する人もいるようですが、ファレルさんはもともとBOSの投手コーチでしたし、ジェイズではけっきょく勝ち越したシーズンがなく、また選手との折り合いもけっしてよくはなかったので、あまり比較にはならないでしょう。

ケン・ローゼンタールは、「この一連の騒動で、オリオールズは、トロントに行きたかったのに行く手をはばまれて不満をかかえるデュケットをあと4年雇いつづけることになる。きれいさっぱり行かせるべきだった」という趣旨のことを、彼にしては珍しいほど強い調子で書いていましたが、そんなの、オリオールズがただ損をするだけじゃありませんか(^_^;; 

たしかにチーム内にも一時は騒動に業を煮やして「もう行かせたほうがいい」という声がだいぶあったようですが、それでもアンジェロスオーナーが頑としてゆずらなかったのは、それだけデュケットの能力を評価している証拠。それになんだかんだいって、ショウォルター監督とのマッチングがベストなんですよ。デュケットさんは、自分でもよく言っていますが、大局観にすぐれたタイプ。その分、まわりの人たちとのこまやかなやりとりはちょっと苦手なよう。2012年シーズン後に再婚したときには、翌春のキャンプインまでショウォルター監督すらもそのことを知らず、みんながちょっとびっくりしたということもありました(笑)(ソース:CBS)。ま、いいんですけどね、プライベートのことだから。でも、ひと言ぐらい言うよね、ふつう。そういう不器用さを、こまやかなショウォルター監督がおぎなって、まわりにフォローを入れる。たぶん、昨年のジム・ジョンソンのトレード、バルフォアとの契約とりやめ、今年のマーケイキスの再契約見送りなども、バックがうまく周囲に説明して緩衝材になっているのではないかと思います。

ちなみに、今回の騒動についてはずっとコメントしてこなかったデュケットさん、きのう(現地1/29)はじめて、「自分がトレードの噂の焦点になることはあまりないから面白い経験だったが、わたしはオフのあいだずっとオリオールズのために働いていたよ。その意味では、いつも通りのオフだ」とコメントしています。(ソース:MASN)

さて「オフのあいだずっと働いていた」というのを額面通りに受け止めていいのかどうかはだれにもわかりませんが、25日にジェイズがヘッドハンティングから撤退したとたん、堰を切ったようにいくつかの動きがありました。……デュケットさん、やっぱり冬眠してたんじゃないの?(^_^;;

25日:ライアン・フラーティと調停を回避して1.075MILドルで再契約。フラーティ(28)は、102試合、312打席で.221/.288/.356 7HR。シーズン当初、大不振に陥りましたがその後持ち直し、後半戦では大事な場面での一発も。何より、マチャドが抜け、ハーディーもときおり休むというなかで、内野をどこでも守れるスーパー・ユーティリティーぶりは健在でした。カブスからルール5で移籍してシブく貢献しています。

26日:バド・ノリスが調停回避し8.8MILで再契約。5.3MILからの昇給です。2014年はチェンにつぐチーム2位の15勝8敗というキャリアハイの勝ち星(28先発)。ERA3.65、WHIP1.22と、たいへん安定した投球ぶり。ただ1先発につき5.9イニングというのが少し物足りないですかね。それで来季の契約には180イニング到達で2万5千ドル、200イニングでさらに2万5千ドル、というオプションも盛りこまれているよう。来季後FAになるので、今季はチームにとっても本人にとっても重要です。

27日:パイレーツからトラビス・スナイダー(まもなく27歳。外野手 左投げ左打ち)をトレードで獲得。

トラビス・スナイダー⇔スティーヴン・タープリー(21 LHP)+PTBNL(スプリングトレーニングまで決まらないとのこと)

(下の関連記事コーナーから、「亜流のブログ」さんへ勝手にリンクを貼らせていただきました。【2/6追記:さらに「Black & Gold Bart」さんの記事も関連記事コーナーにリンクを貼らせていただきました。)

スナイダーは、2006年、ブルージェイズ(何かと因縁ですな)のドラフト1巡め(全体14位)指名。トッププロスペクトと目されてマイナーを駆け抜け、2008年には20歳でメジャーデビューを果たします。しかしスピードデビューがあだとなったか、メジャーで伸び悩み、2012年にはブラッド・リンカーンとのトレードでパイレーツへ。そして昨シーズン後半に.288/.356/.524 9HRと、ようやくメジャーリーガーらしい成績を残しました。そのバッティングを維持できるか。

今日、地元記者とのコンファレンスコールで、スナイダーはちょっと面白いことを語っています。

「選手生活が始まったころ、ぼくは、正直言って若くて未熟だった。あまりにも色々なことがあって、消化しきれなかったんだ。とくにビジネス的な側面が、うまく咀嚼できなかった(The business side of things was a little bit over my head.)。厳しい地区の若手選手として、日々向上しなければやっていけないのに、集中力が保てなかった。だからピッツバーグにトレードされて心機一転できたのはとてもよかった。2年半のあいだすばらしいスタッフのおかげで、野球の技術面だけでなく精神的な面もずいぶん成長できたと思う」

具体的に何があったのかはわかりませんが、高校出でドラフトされて、トッププロスペクトともてはやされ、20でメジャーデビューすれば、それはいろいろなことがあっても不思議ではありません。

ただ、スナイダーはまじめ、という評価をよく見ますし、クラブハウスでもまとめ役になれるタイプだとのこと。8MILのコルビー・ラスムスを見おくって、2.1MILのスナイダーをトレードで獲得するのは悪くない、というか、いかにもデュケット-ショウォルター好みだなと思います。

昨年もそうなのですが、26~27歳の選手をオリオールズはがんがんストックしています(笑)。一握りの真のトッププロスペクトは別として、いろいろな経験がかみ合う26、7歳あたりで開花する選手が多い、というのがショウォルター監督の持論なのです。さきほどのスナイダー自身の回想とも重なるものがあります。いわゆる「プロスペクトリスト」には、もちろん載らない年齢ですが、19歳、20歳の華やかだけど不確かな将来性だけでなく、山坂越えてようやく自分を見きわめ始めた選手たちに賭けるというのも、チームに厚みをもたらすひとつの手段ではないかなと思います。オプションがなかったりするので、かんたんにマイナーに落とせないというような制約はもちろんありますけれど。

いっぽう、パイレーツに放出したスティーブン・タープリーは、オリオールズの決して分厚くはないマイナー組織のなかでは、貴重な若手左腕のひとりでした。これで2013年夏にバド・ノリスとのトレードでHOUに放出したジョシュ・ヘイダー、昨年夏アンドリュー・ミラーとのトレードでBOSに出したエドゥアルド・ロドリゲスにつづき、左腕の流出は3人め。痛いっちゃ痛いのですが、まあ、まだ21歳でメジャーに昇格するにしてもだいぶ間があることを考えると、まだこれからドラフトなどで補うことは十分可能かと。昨年、オリオールズは、ヒメネス、クルーズと2人のQO選手を採ったせいで、ドラフト1、2巡の指名権がありませんでしたが、今年は3巡めまでに5人ぐらい指名できるそうなので、その機会を十分生かしてもらいたいです。

あ、あともうひとつ、スナイダーを40人ロスターに入れるために、捕手で、昨年はプロスペクトランキングにも入っていたマイケル・オールマンがDFAされてしまいました。もう何日かたたないと他チームからクレームされるか否か判明しないのですが、2014年シーズンは2Aで.236/.310/.406 2HRと壁にあたってしまったので、おそらくスルーかな。(その前に同じく捕手のラバーンウェイもクレームされず3Aに配属になりましたし。)12年、13年と優秀な成績をのこし、昨年は打率.313で1Aの首位打者にも輝いたほどだったので、もう一度まき直してもらいたいです。

30日:スティーブ・ピアスと調停回避。3.7MILで再契約。2013年の0.85MILからの大幅昇給です。なにせ.293/.373/.556 21HRというりっぱな数字。その前の年もオープン戦は絶好調だったのですが、開幕メジャーをめざして練習しすぎて手首を痛め、シーズンでは不振。だから、コンディショニングをうまくやりながらシーズンに突入するのが課題かもしれません。

15年の外野陣はまだきわめて流動的ですが、みな複数ポジションをこなせるメンバーなので、当初はうまくやりくりしながら、状態のいい人を使っていくことになりそう。5月ぐらいから核になる選手が出てくればいいな。

明日はファンフェス。またデュケットさんにはひとしきり質問がふりそそぐでしょうが(笑)、うまく雰囲気をもりあげてキャンプインへつなげてもらいたいと思います。

【追記】現地の1月31日(土)に行われたファンフェスのビデオがオフィシャルにあがっていたので、面白いものをいくつかご紹介。

・ゴーズマン、どぎまぎ

 若手投手ケヴィン・ゴーズマンに、女性から質問が。「ききたいことが2つあります。その1、わたしと結婚してくれますか? その2、昨シーズンはどうでしたか?」……どっとわく会場。「えーっと、ふたつめの質問はなんだっけ?」とうろたえるゴーズマンくん。かわいいです(笑)。ちなみに、質問その1への回答は「ノーコメント」。まあ、ガールフレンドもいるしね(^_^;;

・子ども記者会見

(JJハーディーに)「JJってなんの略?」「ジェイムズ・ジェリーだよ」(へえー!)(クリス・デイヴィスに)「2013年には何本ホームランを打とうと思ってたの?」「53本だよ」……などなど、素朴な質問があいついで、笑いに包まれる会場。きゃわいい~(^-^) きわめつけは、ちっちゃな男の子の “I like Batman. Do you like Batman?” いや~、子どもと動物には勝てません(笑)。

・アダム・ジョーンズのパイ攻撃

 もう解説不要ですね(笑)。

・ショウォルター監督にファンから質問

「2012年のファンフェスで、どうしてプリンス・フィルダーをとらなかったのかときかれたとき、監督が『バラを探しもとめて、果樹をみのがさないように』と答えたのが印象に残っていますが、今、ぼくらが見のがしてる果樹はありますか?」

――ナイスな質問(笑)ショウォルター監督が名前をあげたのは、ジョナサン・スコープと、スティーブ・ピアス。スコープについては、「潜在力はまだまだある。ダブルプレーの二塁からの送球はだれよりもうまいしね。年齢でいったらまだ大学の3、4年生。マチャド並みの選手になる余地はあるよ」とのこと。ピアスについては「今季、成績がさがるとは思っていない。去年は、初めて1年間ケガをしないで過ごせた年だった。その前の年は、やりすぎて手首を痛めていたから」と、当ブログと同じ見方でした……じゃなくて、当ブログが、ショウォルター監督の受け売りなんです、すみません!(笑)

いろいろあったオフシーズンでしたが、今年もファンフェスはとても楽しそうな雰囲気。ファンの温かな熱気がビデオからも伝わってきます。よかった~。うやらましい~。

さ、スーパーボウルも終わって(いい試合でしたね!)いよいよベースボールシーズンの到来です!