O's:まもなくオープン戦
今オフは地味な動きに終始したオリオールズ。
予想どおり、各種メディアで2015年のアリーグ東地区最下位に予想されています。
もう、ね、望むところ、というべきか。わたしは2012年のピタゴラスイッチ――じゃなくてなんだったっけ、ピタゴラス勝率?――オリオールズの勝敗結果が予測数値にあてはまらないから、オリオールズのほうがおかしい(運がよかっただけ。要するにまぐれ)という、その論理にぶっ飛んで以来、どうぞどうぞなんでも勝手に予想でも想像でもしてくださいという立場。現実が数字にあてはまらなかったら、数字(およびその方法論)のほうを疑うんじゃなくて、現実のほうを疑っちゃうのね~。野球のすべての要素が数値化できるとはとうてい思えないけどな。「だから、数値化できる部分だけをするんだよ」ということなのかもしれませんけれど。
さて、〈数値化できないもの信者〉のわたしにとって、スプリングトレーニングの、ショウォルター監督のさまざまなコメントや工夫は、毎年とても楽しみ。2010年夏に監督就任して、2011年の春、初めてスプリングトレーニングを指揮したときには、全体練習の前夜にチーム全員を近くの映画館へ連れていき、そこで前年度のハイライトのビデオを見せたのがとても話題になりました。以来、その催しは毎年行われています。ショウォルター監督の話によれば、「いちいちチームミーティングをしなくてもすむように、初めにまとめて、それも映画館のシートにすわってエアコンのあるところでやるのが大きな目的のひとつ」ということ。だからビデオだけではなく、チームの方針や、練習の進め方などもその場で説明しているようです。
そして今年の新機軸で話題になったのが、2月28日に行われたポップフライの練習。内外野全員を集めて、もし鉢合わせしそうになったら、外野はスライディングして下に入り、内野はそのまま走りつづける、といったルールを再確認するものでしたが、ひとつユニークだったのが、「かけ声が聞こえない状況を想定するためにスタジアムの大歓声をスピーカーで流す」という試み。
What you're hearing is simulated crowd noise during fielding drills. #Loud #OrangeSpring https://t.co/cLQWOSrNTs— Baltimore Orioles (@Orioles) 2015, 2月 27
しかもその歓声というのが、昨年のALDSタイガース戦で、デルモン・ヤングが逆転満塁タイムリーを打ったときのもの。あまりにも大音量だったために、サラソタの住民から警察に騒音の苦情がいったほど(^_^;;
JJハーディーは「臨場感があって、いい練習だった。でもポップフライであそこまで大歓声に包まれることはないと思う」って言ってました(笑)。ちなみにハーディーは、くだんのALDSのときヤングに打たれたホアキム・ソリアとオフシーズンに一緒にトレーニングをしているそうで、あの場面についてソリアは「あんなすさまじい声援は初めてだった。あんまりうるさくてピッチングができなかった」と言っていたそうです(MASN)。
ほかの動きをいくつか。
◎エバース・カブレラと2.4MILで1年契約。
エバース・カブレラはニカラグア出身。2004年にアマチュアFAとしてロッキーズと契約し、2008年のルール5ドラフトでパドレスへ。2009年に103試合に出場してメジャーに定着すると、昨年まで.248/.319/.333、盗塁136という数字を残しています。ところがバイオジェネシスのPEDスキャンダルに名を連ねて2013年に50試合出場停止。さらに昨年9月には、マリファナを吸って運転をしていた疑いで職質され、警官に抵抗して公務執行妨害(っていう用語でいいのかどうか調べていませんが)で告発。その後、パドレスから解雇されていました。
オリオールズは、ケミストリをたいへん重視するチームで、過去にハミルトンがTEXからFAになったときなどには、けっして手を出そうとしませんでした。けれども昨年のネルソン・クルーズや、アルフレド・アセベス(けっきょくオプトアウトしたけど)など、何かしら過去に問題があった選手でも、首脳陣(とくにバック)が面談なり電話会談なりをして大丈夫という感触が得られれば、恐れずに取りに行く傾向があります。カブレラの場合は、4月に裁判が予定されていたのを回避するために有罪答弁をし、執行猶予3年、奉仕活動80時間という量刑を得て、野球活動に戻ってきたというところ。86年生まれでまだ28歳。マイナーリーグオプションもあるので、DFAせずに3Aに置くこともできます。はたしてオリオールズに不足している俊足を生かし、メジャーで活躍できるでしょうか。
◎紅白戦でマニー・マチャド、マット・ウィーターズが実戦に復帰。
昨年6月にトミー・ジョン手術を受けたウィーターズと、8月に右膝の膝蓋大腿靱帯を手術したマチャド。今日の紅白戦で、それぞれ手術以来初めての実戦に復帰しました。マチャドは、一塁への全力疾走も見せたとのこと。あとは試合勘を取り戻していくのがテーマのようです。
ウィーターズは、投手への返球はできるものの、まだ二塁への送球は許可されていません。当面、エキシビションゲームにはDHとして出場しながら(一番打者で打数を稼ぐという案もある模様)3月17日に初めて捕手として先発するというのが、現時点での予定。
あー、それにしても今年度終了後にFAなんですよね。手術でほぼ1年間抜けると、ほんとに大きいよね~。ボラス物件なのはよくわかっているんだけど、なんとかエクステンションできないものでしょうか(>_<)
そしていよいよオープン戦(エキシビションゲーム)も始まります。懸案の外野は、40人ロスター中にウルティア、デルモン・ヤング、ジョーンズ、ピアス、デアザ、フラーティ(ユーティリティー)、スナイダー、ロウと人数だけはとにかくたくさんいるんで(40人外にダリエル・アルバレスもいるし)、オープン戦での生き残り競争になりそう。クリス・デイヴィスもこのキャンプ中にライトの練習を何度かしています。
また、ウィーターズが開幕に間に合わなかったときのために捕手もケイレブ・ジョセフとスティーブ・クレベンジャーが40人に、そしてアレンシビアとラバーンウェイが3Aにいます。昨年と同様、控えは飛び抜けた存在がいるわけではないけど、層はそれなりに厚いといえる状況。スプリングトレーニングの競争で、どんな戦力が浮上してくるか、楽しみです。