Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

ボルチモア、非常事態宣言【明日はメジャー初、無観客試合(-_-;;】

よくある「投壊で非常事態宣言」みたいな比喩ではなくて、ボルチモアで本物の非常事態宣言が発令されてしまいました。

――いや、じつは投手陣のほうも非常事態宣言に近い状態ではあるのですが(汗)。なにせチームERAが5.04でリーグ最下位。ブルペンも点をとられてるし、先発をひっぱれないし、もうちょいなんとかしようよね……。

でも、そんなことすらささいなことに思えるような、ボルチモアの非常事態です。

きっかけは4月12日にフレディ・グレイという25歳の黒人男性が、何かの件で逮捕された際、脊髄に損傷を負って、1週間後に死去したこと。

どうやって怪我を負ったのか、などくわしいことはわかっておらず、捜査が行われている段階で、とりあえず逮捕にかかわった警官6人は、職務停止の処分を受けているとのこと。

そして4月25日(土)のボストン戦、そう、9回表にマニー・マチャドが悪送球で同点にしてしまい、延長に入ってボガーツにHRを打たれて勝ち越され、万事休すかと思ったら上原を打ちくずしてサヨナラ(ロウのサヨナラHR。5-4)、という、わたし的にはどっちにころんでもうれしくないという悩ましい試合の日に、最初の抗議行動があり、試合中にも「知らせがあるまで球場に留まるように」というアナウンスが流れたりしていたのでした。

さらに1日おいたきのう4月27日(月)、フレディ・グレイさんの葬儀が行われることを受けて、また抗議行動が行われたのですが、これが暴徒化、車両を破壊し、建物に火を放ち、商店を略奪し……。カムデンヤーズでは当初、ホワイトソックスとの試合は開催する方向で進められていたのですが、けっきょく開始40分前に中止になりました。その時点でファンも数百人しか集まっていなかったようだし、無理もありません。

More photos outside Gate H of Camden Yards, where officers stand guard and fans are being allowed in park. #orioles pic.twitter.com/mjfoGUpUvj— Eduardo A. Encina (@EddieInTheYard) 2015, 4月 27

This is what the #BaltimoreRiots look like. Liveblog from @vicbekiempis, @ivadixit and I: http://t.co/8TO1E6SeLb pic.twitter.com/JLqHfPShk2— Polly Mosendz (@polly) 2015, 4月 27

Maryland State Police order additional 40 troopers to assist Baltimore police, officials say. http://t.co/5kZRyIg4PI pic.twitter.com/Y9MiWwJzf3— CNN Breaking News (@cnnbrk) 2015, 4月 27

#PrayingForBaltimore #Birdland pic.twitter.com/Ps0jYQuGWo— Steve Frew (@OsFAN4ever) 2015, 4月 27

(オリオールバードも泣いている……。)

これは今、全米で頻発している「警官(白人)対黒人」という図式でとらえることももちろんできますが、記者会見している警察幹部はアフリカン・アメリカンだったりもするので、そう単純なことでもなさそうです。また、地元のギャング団(これがまた「ブラックゲリラファミリー」とか「Bloods」とかいうすごい名前)が、この機に乗じて暴徒側に荷担し、警察への攻撃をしかけているなんていう話もあります(CNN)。

その後、州知事が非常事態宣言を発令。州兵の投入も検討され、さらにボルチモア市には1週間の夜間外出禁止令も発令されました。

ところで、このボルチモアの暴動に関して、オリオールズオーナー、ピーター・アンジェロス氏の息子で、やはり球団幹部であるジョン・アンジェロス氏が、ツイッターで実に率直で思慮深い、踏み込んだ発言をして話題になりました。

ガンジーキング牧師ネルソン・マンデラなどの名前をあげながら、非暴力の抵抗運動を理想としながらも、今回の暴動の根っこは、経済的な格差と貧困にある、ととらえたものです。

「わたしが心配し、憤り、また心を寄せるのは、過去40年間にアメリカの政治家たちが、中流階級、労働者階級の仕事をボルチモアを含むアメリカの諸都市から奪って、中国などの第三世界に委託した結果、何十万、何百万という働き者のアメリカ人が貧困に追いやられてしまったということなのです。しかも劣悪な生活水準の底辺で暮らす人々を監視するために、全米のいたるところで、人権の抑圧と警察力の強化が行われています」(大意)

((ソース)

さて、オリオールズは、ちょうど週末までホームでの試合が続く予定だったのに、夜間外出禁止令が出たことで、まずナイターができなくなってしまいました。夜10時以降外出禁止ということを考えると、ダブルヘッダーも厳しいものがあります。今日は、4時開始の試合も検討されたのですが、延長戦になったりすれば、選手やスタッフが球場を去るのは10時を越えてしまうかもしれません。

また、警備の手を球場周辺に割かなくてはならないことにもつながるので、けっきょく今日も中止ということに。

ご近所のナショナルズパークを借りるという案も検討されたようですが、スタッフをそちらへ連れていって、チケット販売からなにからすべてを手配するのが大変なので、できるだけ地元でやりたいという意向のよう。ホワイトソックスがカムデンヤーズに来るのは、今季はこの1度だけの予定だそうですが、どこかで埋め合わせをせざるを得ないような気がします。いっぽう金曜日からのレイズ戦は、ホームとアウエイを入れ替えて行うという案が現実的かと思われますが、まだ正式発表はされていません。

いずれにしても、暴動の収束と平和の回復を遠くから願うしかありません。

これ以上被害が広がりませんように。

そして、さいごにちょろっとオリオールズの現状などを。

オフにはもっぱらクルーズ、マーケイキスが抜けた打線が心配されていましたが、じつはチーム打率は.284でリーグ三位、得点は104で二位、HRも27本でNYYとならびリーグトップなのです。まだまだ残塁の山を築いたりして、つながりの悪い面もあるのですが、ジミー・パレデスが恐ろしいほど当たっていたりして、打線はそれなりに機能しています。

しかし、投手陣がとにかくあきまへん。ボストン三連戦でようやくチェンが8回2失点という本来のチェンらしい投球をしてくれましたが、BOS3戦めのノリスは、6回2/3、3失点ながら、毎回ピンチを背負う不安定な投球で、まだまだだなといったところ。

ただ、多少救いがあるのは、今季、3Aノーフォークの投手陣が非常に好調だということ。おそらくルール5のジェイソン・ガルシアを早晩あきらめて、まずはブルペンの強化に乗り出すのではないかと思われます。

あとはティルマンにせよ、ノリスにせよ、力のある人たちなので、5月に入ったらそろそろ自分をとりもどして、せめて6回までは投げていただきたいなと。そうすれば自然に投打はかみ合ってくることでしょう。ベタンセス、ミラーを擁するNYYが、あれだけ放逐しようとしていたAロッドのバットに乗っかって混戦を抜け出そうとしているようですが、そこはAL4球団で止めないといけません。夏場までどろどろの混戦にしたいところですね(笑)。

【4/28追記】

◎明日(現地4/28)の対ホワイトソックス第三戦は、午後2:05からのデーゲームに変更され、なんと無観客試合になりました。

MLB初の無観客試合だそうです。歴史の証人!(うれしくない)ちなみに、現時点で最も観客の少なかった試合は、1882年9月28日のトロイ対ウォーチェスターの6人だとか。6人て……ってか、トロイって誰? はっこれだわ。トロイ・トロージャンズ。Baseball Reference最強。さすがにBoxスコアはないようだけど。ちなみにオリオールズのチーム史上最も観客が少なかったのは1972年8月17日の、雨天中止の埋め合わせに行われた試合で655人。相手は今回と同じホワイトソックスだったそう。(ソース)

ともあれそういうことで、明日は無観客試合。観客の安全もですが、球場に手厚い警備の手を割いて市内の警備が薄くならないようにという配慮もあるようです。それでも強行するのは、2試合中止までならダブルヘッダーで対処できるけれど3試合だと消化に2日かかってしまうからでしょう。いっそ、スプリングトレーニングのときに外野の声かけの練習で導入した会場音を流してにぎやかにやったらどうでしょうかね。……すみません。でもほんと、やりにくいだろうと思います。

◎そして昨日、今日の中止分は、5/28日のオフの日をつぶしてダブルヘッダーで行われます。

◎さらに5/1(金)~5/3(日)のカムデンヤーズでの対レイズ3連戦は、場所をトロピカーナフィールドに移して、オリオールズの主催ゲームとして行われます。つまりオリオールズが裏の攻撃になり、入場料も経費をのぞいてオリオールズの収入になります。

てっきり、レイズの主催試合と入れ替えてやるのかと思っていましたが、すでにチケットを持っている人に不便が生じないよう、今回のカードだけ場所を変更するとのこと。つまりオリオールズはホームでの3連戦を1カード失うことになります。週末ということもあり、カムデンヤーズでできれば10万人以上の観衆は見込めるところだったので、今回の無観客試合とも合わせて、オリオールズ球団の損失も一通りのものではありません。

それでもショウォルター監督が常々口にするように、「いくら嘆いても、だれも哀れんではくれない」のです。それもこれもすべて引き受けてやるしかありません。監督がいうには、アンジェロスオーナーは、チームの不利益のことは一切口にせず、ボルティモアの町のことだけを考えていたとのこと。

Showalter said #Orioles owner Peter Angelos spoke only about Baltimore, not financial and competitive ramifications of losing home dates.— Ken Rosenthal (@Ken_Rosenthal) 2015, 4月 28

“強面(こわもて)ヨーダ”のピーター・アンジェロスも、息子のジョンも立派じゃないですか。今季はいろいろな意味で試練の年ですが、真正面から受け止めていけば、きっといいこともあります。Oriole Way を信じて、がんばってほしいです。