Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

上原:トラウトと、100勝100セーブ と40歳での20セーブ。

いやな感じがするときは、なんとなくあたってしまうものです。

7月17日(金)の後半戦初戦、レッドソックスはウエイド・マイリーの(珍しい?)好投と、田澤のいつもながらの頼れるリリーフで、エンゼルスを8回まで0点に抑えこんでいました。しかし前半戦最後に勢いづいたかに見えた打線は沈黙。0-0のまま9回を迎えます。

レッドソックスにとってはアウェイのアナハイムだし、ここはオガンドあたりでつないで(実際、オガンドもブルペンでは投げていたようです)、表に勝ち越し点が入ればクローザー投入というのがセオリー。

ところが9回表にラミレス、パンダ、ナポリの3人があっさり凡退したあと、ファレル監督は上原を投入しました。

あれ、もう上原いっちゃうんだ? とわたしも思いましたし、リアルタイムで見ていたBOSファンの人もツイッターで同じようなことをつぶやいていました。本人も「少し驚いた」と、アメリカのメディアに答えています。( “a little bit surprised”)

それでも上原は、1番ジャボテラを2-2からアウトハイの速球でセカンドフライ、2番カルフーンを空振り三振に切って取ります。カルフーンには全球スプリット。ただ制球はばらついていて2球めと3球めはたたきつけてのボール。でも5球めは、左打者カルフーンの外にきれいに逃げていくスプリットで空振りを誘いました。

そして迎えたのがマイク・トラウト。トラウトは、球宴では先頭打者HRと好走塁で2年連続のMVPをもぎ取っています。しかしこの日は3打数無安打。しかも対上原ではここまで5打数無安打。ファレル監督がセオリーを曲げても上原を投入したのは、そのためだったようです。

初球はインローの速球で1ストライク。

そして2球め。アウトローの速球――しかしねらったところよりわずかに中に入り(本人もブログで「もうちょっと外に投げたかったぁ」と記しています)ガツン! (>_<) センターオーバーのサヨナラHRでした。いやはや。トラウトは今季27号。失投だったかもしれないけど、これは打ったトラウトに敬礼するしかありません。

さて、この試合も含めて今季ここまでの上原は、2勝4敗22セーブ、ERA2.67。四球が若干多めで(といっても6個)K/BBも6.33と、上原としては低い(ここまで通算が8.65)のですが、ふつうの人は3とか4とかあったらVery Good なんですから、上原の基準がおかしいんです(笑)。上原自身、四球を出さないことが目的ではなく、あくまでも試合に勝つことが目的、と、現実主義者らしく分析しています((ソース:東スポ)。

6月24日のオリオールズ戦から球宴前最後の登板だった7月11日のヤンキース戦までは10登板連続で無失点。この間打たれた安打は2本だけで、四球はゼロ。8セーブをあげています。しかも1点差が4試合、2点差が3試合。

5月10日のブルージェイズ戦では6-3の9回に登板して今季6セーブめをあげ、日米通算100勝100セーブ(この日まで129勝)を達成しました。これは日本のプロ野球で7人めの記録ですが、100勝を先発での勝ち星に限定すると、江夏豊佐々岡真司に次いで歴代3人め。

さらに7月7日のマーリンズ戦では4-3と1点差の9回に登板して2三振を含む三者凡退に抑え、20セーブに到達。40歳以上のシーズンで20セーブをあげたのは、デニス・エカーズリー、ホイト・ウィルヘルム、ダグ・ジョーンズトレバー・ホフマンマリアノ・リベラに次いでMLB史上6人め。MLBの長い歴史のなかで、史上6人めというのは大変なことですし、ほかの5人がもう綺羅星のごときビッグネームばかりなので、これはとても名誉ある記録だと思います。

6人のうちの1人で、よくレッドソックス戦の解説席にも登場するデニス・エカーズリーが、この40歳20セーブについてこんなコメントをしています。

「まず、しっかり管理してくれる監督が必要だ。これは大切なことなんだよ。レッドソックスは、コウジのことをとても気をつけて使っていると思う。きちんと使えばちゃんと戦力になるというところを上原も見せているからね。調子を維持するためにどんなトレーニングをしているかは知らないが、相当自分を追いこんでいると思う。

 わたし自身がそうだった。やらずにはいられなかったからだ。1イニング投げるためにどれだけトレーニングをしなきゃいけないのか。わたしは、何マイルも走ったし、ほかのトレーニングもたくさんやった。これだけやったから、アウトをとれるんだ、と思えるまで。年をとればとるほど、調子は不安定になる。ときには朝起きて、今日はだめだ、という日だってある。それでも監督にきちんと使ってもらえれば一定の成績を残したいと思うじゃないか」(ソース:ボストンヘラルド)

これは上原自身がいろいろなところで語っていることと、響き合う部分が大きいです。著書の『覚悟の決め方』(PHP新書)をぱらっとめくっても重なり合うフレーズがたくさん出てきます。

別に練習が好きなわけではない。しかし、やらないではいられないのだ。なぜか――。不安だからだ。(中略)

結局、自信というものは、自分自身でつくるしかない。そして、それは日々の入念な準備から生まれるものだと思う。「あれだけきちんとトレーニングして、準備したのだから、自分が打たれるわけがない」そう自分に言い聞かせ、「それでも打たれたら向こうが上、仕方がない。また準備をすればいいだけの話だ」と覚悟を決める――

試合後の練習については、同書に「登板した時はスクワットやダンベルなどを使った軽めのトレーニングをしてから帰路につく」と記していますが、同僚のクレイグ・ブレズロウも、さきほどのエカーズリーの記事のなかでこう証言しています。

「彼は、シーズンを通じて体力を維持するためにちょうどいいトレーニング量を心得ているようだ。そして自分の決めたプログラムは必ずやり通す。遠征先でも試合後のルーティンをきっちりこなすから、ホテルや空港へ向かうバスも上原待ちのことがよくあるほどだ。ものすごく規律正しい生活を送っているよ。グラウンドでのプレーはそれを反映していると思う」

レッドソックスは、球宴前に4連勝して一時借金4まで盛り返したのですが、前半戦最後の大事なヤンキース戦で1勝2敗。後半戦最初のカード、エンゼルス戦ではこのままでいくと4連敗しそう。(今、ダブルヘッダー第2試合を3ー7で負けています。)上原にはこのカードでやり返してほしかったのですが、セーブ機会はなさそうな状況。

そんな厳しいチーム状態ではありますが、いや、そんな時だからこそ、あくまでもこつこつと準備を重ね続けてその先を夢見る。

今年のトレードデッドラインが近づいてきて、また波乱の予感がしないでもないけど、健康でさえあれば結果はついてきます。

今年も見守りモードで応援します。がんばれ~!