Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

クローザー、アゲイン

シーズン当初、上原は、「またクローザーの座をとりかえすつもりで投げる」という意味のことをたしかに口にしていました。

けれども、シーズンが始まると、それどころではないくらいに、とにかく目の前の1試合1試合を切り抜けるので精一杯。昨年の倍以上のペースでHRを打たれ、防御率も屈辱の4点台。そんななかで、驚きのクローザー復帰とあいなりました。

ちょっと時系列をおさらいしておきます。

7月8日(金)ホームでのレイズ戦。8回表、レイズの攻撃を迎えたところで6-4とボストンリード。ここでマウンドにマット・バーンズがあがりました。

このときのわたしの第1リアクションは、「えっ、2点差の8回なのに上原じゃないんだ? 中3日あいてるのに。見切られた?!」というものでした(すみません)。だって、前回登板は7月4日のテキサス戦でオドールにソロHRを喫し、アンドルースにも二塁打を打たれて、1アウトしか取れないまま交代していたんですもの。しかも7月3日、4日とも5点リードしたなかでの連投。「そろそろ点差のあるところで投げさせて様子をみるようになっちゃったのかなあ……」と邪推してしまったのでした。(じつは、ブルペンを使い切っていて、投げさせる投手がいなかったみたいです。ソース:ボストンヘラルド)

でも首をかしげたのはわたしだけではありません。ツイッター上のボストン番記者のみなさんも一斉に、「え、なんでコウジじゃないの?」と、ツイート。さらに8回裏、ボストンの攻撃が始まるとこんどはブルペンでその上原がウォームアップを始めます。「ええっ、コウジ? キンブレルはどこ?」混乱は深まる一方です(^_^;;

Koji warming up instead of Kimbrel. Bullpen mystery this evening— Pete Abraham (@PeteAbe) 2016年7月9日

上原は、2アウトからロンゴリアにソロHRを打たれるものの(って軽く流しちゃいけないんだけど、とりあえず)、つづくモリソンを抑えて今季3セーブめ。

そして試合後、ファレル監督から、キンブレルが試合前の練習のさい膝を痛めて登板できなかったことが明かされました。ちょうど2012年にリベラが試合前、外野でフライを捕球しようとして前十字靱帯を断裂したのと同じように、キンブレルも心肺機能のトレーニングをかねて外野フライを追いかけていたところ膝に痛みを感じたようです。MRIの結果、左膝内側半月板の損傷が判明。今日、現地7月11日に内視鏡手術を受けました。全治3~6週間とのことですが、投手であること、段階を追ってリハビリし、何試合か実戦練習が必要なことを考えると、復帰は9月初めではないかと言われています。

その間のクローザーは、おもに上原がつとめることになりそうです。

「9日のレイズ戦のあと、ファレル監督は、キンブレル離脱中のクローザーは上原でいくと明言した。

『クローザーはコウジだ。コウジが投げられないときにはブラッド(ジーグラー)にやってもらう。ブラッドには、直接顔を合わせてくわしく説明するつもりだよ。試合終盤には安定感が必要だから、コウジにクローザーをつとめてほしい』

 上原は8日、9日と連続してセーブをあげた。ファレル監督は、上原は、クローザーのほうがやりやすいのではないかとのべたが、上原自身は、役割にはこだわらないと語る。

『中継ぎでも抑えでも関係ないです。何回に投げても結果を出さなくてはいけませんから』

 上原は2013年から2015年までレッドソックスのクローザーをつとめ、3年間で65セーブをあげたが、チームは今オフ、クレイグ・キンブレルを獲得していた。

 チームが9日にトレードで獲得したジーグラーは、クローザーとセットアッパーの両方を経験している。今季はダイヤモンドバックスで36試合に登板し、2勝3敗、防御率2.82、18 セーブ。上原が8日、9日と連投しているので10日のレイズ戦で登板が見込まれる」

(ソース:WEEI)

ちなみに上原は、現地メディアに対しては「どの役割でも変わらない」と言い続けていますが、「全力通信」では「セットアッパーはいつ投げるかわからないのでやりにくい」とぼやいてました(笑)。そういう意味では、クローザーのほうが思いきりよく投げられそうですね。

◎落ちないスプリット

思えば2013年も、ハンラハン、ベイリーとふたりのクローザーがケガして、上原にお鉢が回ってきたのでした。

しかし、あの年は開幕からずっと好調だった。今年は4月に7試合連続無失点があったのが最長で、そのあとは4試合とか3試合とか。失点はHRが多く、しかもそのほとんどがスプリット。8日のレイズ戦でロンゴリアに打たれたのは4シームでしたが、それ以外のほとんどが、落ちないスプリットを打たれたものです。

6月以降だと3日トロント戦のトラビス、22日ホワイトソックス戦のメルキー・カブレラ、同日のローリー、27日レイズ戦のフランクリン、7月4日テキサス戦のオドールと、5本のHRがスプリット。4シームはロンゴリアのHRだけ。だから、このスプリットさえなんとかなれば……。

じつは上原は今季、積極的にスライダー(本人は「カット系」と呼んでいる)を取り入れています。

NHKBSの「全力通信」(6月11日)では「カット系を投げようとしてヒジが下がっているために、スプリットが落ちないのではないか」という疑問を直接上原にぶつけていました。上原自身は否定も肯定もせず「打たれると必ずそう言われますよね。ぼくはあまりビデオを見ないほうなんで、なんともいえないけど」とかわしていましたが……。

4月はスライダーを11球投げてヒットを打たれなかったとのこと。その後、使う頻度はかなり減ってはいるのですが、それでも6月は4球、7月も3球ほど投げています。決め球とかではなく、目先を変える球として。ヒジが下がるというマイナス面も当然頭にはあるでしょうが、それを押しても投げ続けているというところからは、なんとか新しい武器を手に入れて、少しでも地平を広げたいという貪欲さを感じます。ぽちぽちとカット系のボールを交えつつ、スプリットを思いどおりに落とす。それができれば鬼に金棒なんだけど(というか、それができないと鬼になれない)……。

ジーグラーと上原

ちなみにダイヤモンドバックスから7月9日にトレードで獲得したブラッド・ジーグラーですが、たまたまキンブレルのケガとタイミングが重なっただけで、交渉そのものはずっと前から行われていたようです。先ほども書いたように今季は36試合に登板し、2勝3敗、防御率2.82、18 セーブと、防御率は4.30の上原よりずっといいのですが、WHIP(1イニングあたりに出すランナー)を見るとジーグラーが1.461、上原は1.099なんですよね。ジーグラーがHRを1本しか打たれていないのに対して、上原はすでに8被弾。このあたりが防御率の差になっているようです。

だからやっぱりスプリットなんですよね。これさえ思いどおりにできれば。オールスター休みで身も心も休めて、なんとかスプリットともう一度仲よくなってほしいです。がんばれ。

◎みごとなグラブトス

7月1日のエンジェルス戦。5-4と1点リードの8回に登板した上原。1アウトのあと、レフトにふらふらと上がった打球をレフトとショートが交錯して三塁打にしてしまいます。するとつぎの打者ペレスが初球をスクイズ! これを上原がみごとなグラブトスでホームタッチアウト。結局この回を無失点で終えることができました。

Koji’s flip saved the day. https://t.co/aqEWxfW9Zs #RedSox pic.twitter.com/hIm12HwZQs— Boston Red Sox (@RedSox) 2016年7月2日

上原は、巨人時代にゴールデングラブ賞もとったことがあるんですよね。でもスクイズのグラブトスはあまり見たことがなかった。かっこいいです。

レッドソックスのトレードデッドラインは……?

レッドソックスは、オフにデイビッド・プライスを獲得したのに、なぜか先発投手が絶望的に不足していると言われていて、わたしからすればなにぜいたく言ってるんだ、というところ(笑)。でもドンブロウスキーGMは(あれ、社長だっけ?)例年、派手なトレードで大向こうをあっと言わせる人なので、おそらく先発投手のひとりやふたりは(?)獲得するでしょう。でもオールスター後の上原&ジーグラーの投げっぷりや、田澤(肩の疲労で数試合投げていない)の回復ぶりによっては、リリーバーの獲得もあるかもしれません。さすがにアンドルー・ミラーの復帰はむりだろうけど(ヤンキースは、ミラーは出す方向らしいのですが、相手がレッドソックスとなるとねえ)……。

そんなわけで、いろいろ正念場の7月後半。書いていたらなんだかどきどきしてきたけど(笑)、今こそ雑草魂発動のときです!

たのしみに見守りたいと思います。