Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

O's: ドッグデイズのドッグファイトをどう乗り切る【追記あり】

オールスターがあっという間に終わってしまいました。

今季、オリオールズからは、マチャド(ファン投票)、トランボ、ウィーターズ、ブラック、ブリトンと5人が出場。出場選手は、2012年からの5年間で20人となり、これはカージナルスの23人についでメジャー2位だとのこと。わたしが見はじめた2009年から11年までは1人ずつでしたからねえ……。2010年など、唯一選出のタイ・ウィギントンが、守備から試合に入って、その裏に打席がまわってくると思ったら代打を出されたなんていう悲しい思い出も(ジラルディ監督の年でした)。

今年は、マチャドはノーヒットで、ブラッド・ブラックは出場なし(パドレス出身だから、凱旋ではあったのですが)。でもトランボがホームラン競争でさすがのパワーを見せてくれたし(スタントンには遠く及ばなかったけど(笑))、試合の最後をブリトンとウィーターズのバッテリーでしめくくったし、オリオールズファンとしても楽しいオールスターでした。

.@Zbritton, a perfect 27-for-27 in the regular season and 1-for-1 in the #ASGhttps://t.co/Wbji5ZegpJ— Baltimore Orioles (@Orioles) 2016年7月13日

(動画はビデオ。音が出ます。)

さて、これから、ショウォルター監督が “dog days” と呼ぶ後半戦が始まります。 “dog days”を辞書でひくと「7月初めから8月中ごろまでの猛暑のころ」とあります。この時期には、Dog Star と呼ばれるおおいぬ座シリウスが日の出とともに現れ、日の入りとともに沈むからこう呼ばれるのだそう(それって要するに、シリウスは夜空に現れないってことですよね?)。→Wiki

でも同時に「ドックデイズ」という言葉には、「ドッグファイト: 犬のけんかのような激しい争い」という言葉と、イメージがひびきあうところもあります。今年はまさにそう。オリオールズは、首位にこそ立っていますが、わずか2ゲーム差でボストンとトロントが追ってきてます。きっと7月、8月のドッグデイズから9月にかけて、ドッグファイトがつづくでしょう。

前半のオリオールズのざっくりした現状をMASNの記事からピックアップしておきます。

オリオールズはホームラン137本でメジャー最多、チーム打率は.272でメジャー5位、出塁率は.333で、メジャー8位、長打率は.467でメジャー2位だ。442得点はメジャー7位である。

いっぽう、チーム防御率は4.35で、メジャー16位。なかでも先発防御率は、なんと5.15で、これはメジャー28位だ。「フロントと監督の懸案事項」というランキングなら堂々のトップを張るだろう。先発陣は計470イニングしか投げておらず、これはメジャー最下位。トップはブルージェイズの579回 1/3だ。

しかしリリーフ陣の防御率は 3.12、イニング数が 303回で、これはどちらもメジャー5位。ダレン・オデイがDL入りして6月1日以来投げていなくてもこれだけの数字をあげている。

わかりやすいなあ、もう。分析の必要もないくらいですが、とにかく先発投手につきるんですよね。それにしても先発防御率5.15って……(-_-;; 昨年は 4.53でいいかげんひどかったのに、さらに上回るひどさ。これで首位ってある意味驚きなんですが、このままでいいわけがありません。

ヒメネスをどうする?

5勝9敗、防御率 7.38のウバルド・ヒメネス。前半戦最後の試合も1回1/3、5失点と、期待を裏切りつづけた今季の象徴のような登板になってしまいました。ブルペンでもあまり使いどころがないのが悩みなんですよね。あと1年13.5MILの契約が残っていますが、泣く泣く切るしかないのでしょうか?(T_T) これまでDFAはないといいつづけてきた地元紙も、さすがに少し論調が変わってきたような気がします。

◎トレードはある?

あってくれないとこまるんですが、同時にとてもむずかしいのも事実。なんといっても対価となる選手が、ほかの上位チームに比べて不足してますので……。たとえば、よくポメランツのところでオリオールズの名前が出てますが、みんながほしがる選手はそうそう取れないんじゃないかと。力はあるけど前半戦ちょっと不調、みたいな投手を、リーズナブルな対価でゲットできたらうれしいんだけど、まあ、そう簡単ではないでしょう。でも正直、6回投げられる選手だったら、誰でも今よりよくなるんで(笑)。クオリティスタートなんてぜいたくなことはいいません。6回4失点でいいです。

【7/15追記:さっそく来ましたねボストンのトレードが。ポメランツをゲットして、アンダーソン・エスピノーザを放出。エスピノーザは18歳。Baseball Americaのランキングで全体15位の右腕だそう。でもその同じ日にボストンはドラフト1巡めの高校生右腕ジェイソン・グルームと契約。いいですなあ。】

◎もっとできる子ゴーズマン。

前半戦15先発で、1勝6敗、防御率4.15のケビン・ゴーズマン。勝ち負けには運もあって、たとえば5月5日のヤンキース戦でマーくんと投げあって8回無失点の好投をしたときも白星がつかなかったりしたので、さほど心配していないのですが、平均して5.7回しか投げられていないのがなんとも物足りないです。球も速いし、制球だってけっして悪くありません。1試合あたりの四球率は、3.0→2.3→2.0と3年間低下し続けています。ぜったい、もっとできる子だと思うんですよ。ゴーズマンがコンスタントにQSできるようになったら、突っ走れるんだけどなあ……。

◎究極の奥の手、ディラン・バンディ。

2013年6月にトミー・ジョン手術を受け、翌年は全休。2015年に試合で投げはじめるも、脚をいためたり、肩をいためたりして、13~15年までのトータルで 63回1/3しか投げられなかったディラン・バンディ。今年はもうオプションが切れているので、開幕からずっとオリオールズブルペンの一員として投げ続けています。シーズン当初はファストボールが93、4マイルといったところでしたが、ここへきて96、97マイルの制球のいい球がびしびし決まるようになり、7月6日のドジャーズ戦では2回1/3を投げて三振7つ(アウトはぜんぶ三振)という快投を見せました。

じつは、アマ時代から、バンディの一番の武器はカッター/スライダーなのですが、今季はその球をまだ封印しています。

オリオールズでは、デュケットGMがカッターがきらいで若い投手に投げさせない、という有名な話がありますが、じつはそこまでがちがちなわけではないようです。バンディの場合、たしかにマイナー時代はデュケットさんの意向で封印していたようですが、今はバンディ自身の判断で使わずにいるのだそう。昨年、アリゾナ秋季リーグで腕に張りが出たのが理由のようです。ショウォルター監督も、どのタイミングでカッターを解禁するかは、よく状態を見極めて考えたいと話しています。

で、メジャーリーグには、「若手投手に前年を大幅に上回るイニング数をいきなり投げさせると故障の原因になる」という考え方があるので、今季のバンディの場合、目標とするイニング数は65から70イニング。前半戦では、先発投手のように中4日あけながら、2イニング程度を投げ、トータルで38イニングを重ねています。

ここで先発に回ったら、あっというまに上限を超えてしまうわけですが、力強い投球を見るにつけ、バンディ先発待望論は高まるばかり。デュケットさんも「投手というのはとてもデリケートなもので、どんなに気をつけてもケガをしてしまうことはある。その反面、どんどん使ったらよい成績を残したということもある」なんていいはじめているので、ひょっとするとシーズン最終盤には、バンディの先発が見られる……かもしれません。

【7/16追記:「かもしれません」どこじゃなかった。現地16日、日曜日のレイズ戦にバンディが先発することが発表されました。おいおい、そんなに早く奥の手を使っちゃっていいの?(^_^;;  でも、いま投げているガヤードも、毎回ランナーを出しながら、ちびちびと点をとられていて、ほんとうに頼りない投げっぷりなんですよね……。どうしてこうも先発投手がいないのか……。おそらくバンディの初先発はせいぜい70球ぐらいまでになるのではないかと思いますが、まずはとにかく無事に投げてほしいです。しかしオリオールズも、デッドヒートのど真ん中で若手先発投手育成に乗りだすとは、余裕だな(違)】

さあ、まもなく後半戦がはじまります。独走だった2014年、ずーっと不完全燃焼だった2015年を経て、今年は見る方にも気力体力が必要になりそうな予感。きっと最後までドッグファイトが続くでしょう。がんばるぞ。Go, O’s!