Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

おめでとう、ワールドチャンピオン

10/30/2013 BOS 6 - STL 1 勝:ラッキー 負:ワカ BOX

ボストン・レッドソックス、4勝2敗でワールドチャンピオンに。

開幕からおよそ2週間後の4月14日、ボストン・ヘラルド紙は、上原のハイタッチにまつわる記事を掲載し、最後をこう結びました。

イチローダルビッシュとちがって、上原には日本人メディアが群がることはない。昨日の試合にも3人しかいなかった。インディアンズの3Aにいるダイスケ・マツザカのほうが取材が多いくらいで、親しい人物によれば、上原はそんな状況に憤慨しているともいう。

だがこのままいけば、上原が気にすることもなくなるだろう。

今われわれはまさに、『民衆のヒーロー』の誕生を目の当たりにしているかもしれないのだから」(当時のエントリ)

ふりかえれば、まさにそのとおり。今シーズンの上原の活躍を予言した一節だったといえるのではないでしょうか。当時3人しかいなかった日本人メディアも、最後には総動員になりました。

木曜日は仕事で見られなかったので(外仕事は週に1度だけなのに、なぜよりによってそこに重なるか(嘆))試合をフルに録画して、先ほどようやく9回の登場場面以降をじっくりと見ました。ハイライトでは味わえない興奮と、わくわくと、緊張感。自然に涙が出てきました。WSに入ってから、上原はさすがに疲労の色が濃く、またセントルイスもしぶといせいで、いい当たりをされる場面が目立っていたのですが、第6戦はすべての球がすばらしかった。まさに今季集大成の、魂の投球でした。いくつか動画にリンクをはっておきます。

9回の3つのアウト

優勝の瞬間 

外野から全速力で走ってくる選手たちがいいなあ。あと実況はFOXよりもWEEIのラジオ実況のほうが熱があります。

全球ハイライト

そして表彰セレモニーではふたたびのカズくん登場。インタビュアーのエリン・アンドリューとカズのやりとりだけ書きぬいておきましょう。

エリン:All right, Kaz, you were the rock star of the ALCS trophy presentation. You haven't been to school in quite a while. You said you were excited for your dad. How proud are you of your dad tonight?

(カズ、あなたALCSの表彰式では大スターだったわね。しばらく学校に行ってないでしょ。あのときパパのピッチングを見てわくわくするって言ってたけど、今日はパパのことどれくらい誇らしく思った?

カズ:Good!(すっごく)

スタンド大爆笑。

エリン:How hard are You gonna celebrate tonight, Kaz?

(あなたは、今晩どれくらいお祝いするの?)

カズ:Crazy!(めちゃくちゃお祝いする)

またも大爆笑。

いや~、かわいい。そしてりっぱ(*^-^*) 質問された瞬間にパシッと答えが飛び出す利発さよ。たった2語ですべての人の心をうばってしまいましたね。このあと報道陣と選手、家族でごったがえすグラウンドの中で、上原さんが「ミホ~!」と奥さんをハグしていたのもすばらしい光景でした。

2011年にはチームがWSに進出しながら、自分はロスターに入れず、さらにチーム自体もあと1ストライクから逆転されてワールドチャンピオンを逃すという二重の悔しさを味わいました。

あのとき、もうワールドチャンピオンを手にするチャンスなんてめぐってこないんじゃないかと思いました。

だから「まだ夢の中にいるみたい」という上原のせりふが、ずっしりと重みを持って感じられます。

ほんとうに、ほんとうによかった! 

あきらめないこと。こつこつやり続けること。三日坊主にしないこと。上原の姿から、ひとことじゃ言えないくらいたくさんのことを教わりました。試合後に超音波治療器で体のケアをする場面が今日も何度か流されましたが、それだけでなく、たとえばレギュラーシーズンとポストシーズンの全試合について、ブログを書き続けたのもほんとうにすごいことでした。

疲れているときにブログを更新するのはけっこうしんどいこと。

野球はプレー経験がないから想像でしか言えないけど、ブログのことなら体感としてわかります(笑)。

しかもこんなに好調な1年でも、たまにはふりかえりたくもないような悔しい試合だってありました(たとえばあと1アウトから同点にされたエンゼルス戦)。

そんなときでも淡々と対戦をふりかえり、反省点を記す。

超音波治療器が体のセルフケアだとしたら、ブログを書き続けることは心のセルフケアだったのかもしれません。マメでストイックな上原の真骨頂を見たように思います。

例によっていくつか記事をひろっておきます。

まずは、おまわりさん。タイガースとのALCSオルティーズのHRを捕ろうとしたハンターがブルペンにつっこみ、ハンターの脚とブルペンのおまわりさんのバンザイがシンクロした写真をおぼえているでしょうか。あのおまわりさん「ブルペンコップ」って呼ばれるようになっていたんですね(笑)。本名はスティーブ・ホーガンさん。第6戦ではドリューのHRでまたバンザイしていたようです。そして優勝の瞬間にはブルペンのとびらをあけて、またバンザイ。人間、何で有名になるかわかりませんw

それからウォールストリート・ジャーナル。これはご存じのようにNYに拠点を置く新聞社です。そのジャパン・セクションに上原の記事が出ていたのですが、見だしが面白かったのでご紹介。

Japan’s Uehara Clinches World Series! (Oh, and Red Sox Win)

日本の上原、ワールドシリーズで王座に!(ああ、それからレッドソックスも勝ったみたい)

わかるわかる(笑)。わたしもちょっとそんな心境だもの。

それからついさきほど出た、わたしのお気に入り、ジェフ・サリヴァン氏の新作。

Finding Koji Uehara’s Worst Pitch of the Playoffs

プレーオフにおける上原浩治最大の失投は?

プレーオフ、上原はトータルで169球を投げたそうですが、そのうち最大の失投をさがしあてることで、逆に彼のすごさと、常に紙一重のところにある野球の勝負の綾を実感しようという記事。ちょうど去年、スクータロの見逃し三振を分析する記事がありましたが、基本的なスタンスはそれと同じです。

ただ、これはちょろっとかんたんに紹介できる記事ではないので、先に出た同じサリヴァン氏の「上原のカーブ」の記事とあわせて、またあらためてご紹介したいと思います。

というわけで、今日はとりあえずここまで。

は~、ほんとうによかった。もうしばらくは、この幸せにひたっていたいです……(でも、上原をみならって仕事もきっちりしないとね。)

【追記】

もうひとつ小ネタがあったのを忘れていました。

ニュートンというボストン近くの町なのかな。 O'Hara's というバーの看板が向こう1週間限定で Ue'Hara's に掛け替えられているという写真(^-^) なんか、しゃれてますよね。こういうひとつひとつの小さなことから、地元の人たちの喜びとか愛が伝わってきて、うれしいです♡