O's, this and that: オリオールズあれこれ
キャンプインも間近。またオリオールズ関係の話題がたまってきたので、ちまちまと。
◎左腕リリーバー、マーク・ヘンドリクソンと再契約。
オリオールズはFAとなっていたマーク・ヘンドリクソン(35)と1年120万ドル、来季のチームオプションつきで再契約した。ヘンドリクソンは昨年swingman(先発、ロングリリーフ、終盤のセットアップなどなんでもこなす人)として働き、リリーフでは防御率3.44と、壊滅的だったオリオールズ中継ぎ陣のなかでは(そこそこ)安定した数字を残した。
性格的にも温厚篤実なヘンドリクソン。昨年は「コウジのまねをしてコントロールに気をつけたらいいピッチングができた」とコメントしたこともあった。年も近いし、コウジにとっては頼れる仲間だろう。
このヘンドリクソンとの契約で補強はほぼ終了だが、左腕リリーバーはもう少し厚みがほしいようで、日本の速報でも流れたように、高橋尚成と元ドジャースの左腕ウィル・オーマンにスプリングキャンプ招待つきのマイナー契約をオファーしたようだ。先発にこだわるとも伝えられていたヒサノリだが、ここまで契約が伸びるとさすがにそうも言っていられないだろうなと思う。ただ、目指すはもちろんメジャー契約だろうから、ほかにメジャーのオファーがあれば、当然そちらを取るでありましょう。
◎テハダは背番号9。
前回のオリオールズ時代も、その後のアストロズでも背番号10をつけていたテハダ。しかし現在オリオールズでは、昨年ブレークしたアダム・ジョーンズが10番をつけていて、どうなるのかとファンの関心を集めていた。ジョーンズの「ローレックスをくれたら10番を譲ってもいい」というおねだり(?)発言もあったが、テハダが「背番号にはこだわらない」と、若手をリスペクトする形で今季は9番をつけることに。
またテハダは、契約交渉のさなかにハイチ地震の救援のため直接現地入りして救援物資を届けるなどの活動を行っていたそうで、それらもろもろの言動が、ファンやマスコミの好感を呼んでいる。あとはベテランの実力と存在感をフルに発揮してもらいたいものです。
◎マトゥスがMLB.comのプロスペクト第5位に。
昨年9月にメジャーデビューし、5勝2敗、防御率4.63の成績を残したブライアン・マトゥスくん(どうしても「くん」をつけたくなるのはなぜ?)、全体2位のストラスバーグに続いて、投手としては2位にランクされた。球の出所の見えにくそうなフォームで、ちょっとソフトバンクの和田投手を思い出すけれど、実は身長198センチもある大型投手だ。
さっき「昨年メジャーデビュー」と書いたが、ドラフトが2008年で、その年の秋季リーグがプロ初登板、昨年は1Aからのスタートだったのだから、ほんとうに超速デビューといえよう。ただし、登板数が少なかったので、ぎりぎりで新人資格を保持している。昨年も何度か書いたように、とても聡明で吸収力の高そうな若者なので、ケガさえなければ今年も好成績をあげると思う。がんばってほしい。
◎上原、ことしはシュートとチェンジアップが鍵。
例によって、Last, but not leastで、上原の話題。
1月24日の深夜に放送されたTBS「S☆1JSpo」での槙原氏とのやりとりが興味深かったので、一部をご紹介。
メジャーの野球と日本との違いを語る中で――
上:ぼくはキャッチャーに内、外の投げ分けをしてほしいタイプだけど、なかなかそれが伝わらないんで。
槙:真ん中にぽっと構えてるんだ?
上:いや、ほとんど外なんですよ。
この話題については、これ以上深い分析はなかったのだけれど、そういうものなのでしょうか? 上原は昨季、グレッグ・“ジャーニーマン”・ゾーンと主に組み、最後の2、3回は新人のウィーターズと組んだわけなので、誰かひとりの傾向というわけではなく、やはり全体的な傾向なのか? 言葉がもっと堪能なら、好みを伝えることができるのか、それともやはりインコースを多く使うことは忌避されるのか?
昨年も何度か書いたように、捕手のリードはわたしにとって最も謎の多い部分なので、今年も注目して見ていきたいと思います。
さらに滑るボールについて、ふたりで実際にメジャー球でキャッチボールをしながら――
槙:うわ、ほんとに滑るねこのボール。
上:このくらいならぜんぜん。向こうでやってるともっと滑ります。「ツルツル」ぐらい。
槙:トークと同じで滑るのはだめだよね。
上:落ちないです、フォークが。
槙:トークも落とさないといけないのにね。
上:ちょっと苦しいです。槙さんのスライダーがほしい。
トークに引っかけて笑いを取ろうとする槙原、珍しく乗ってこない上原。
そんな上原について、スタジオの総括で「少しへこんでいる」というコメントもあったけれど、そうじゃなく、ものすごく現実的になっているのだと感じた。ボールについては、『サンデー毎日』(2010.1.24)の記事でも「抜け球にならないよう、余計に指先に力を入れます。だから、巨人時代よりも右ひじに負担がかかったのだと思います」と述べている。
ただ、何度も書いているように、上原の一番の才能は「修正能力」と「適応力」の高さなのだ。そもそもフォークだってプロに入ってから習得したものだし、クセがばれていると感じたときなども、調子をくずさずにすんなりフォームを修正することができる。
そして今、修正と適応のために考えているのは、「ヤンキース戦でジーターのバットを折った」シュート系の球と、チェンジアップをいかにうまく使うか、だという。
チェンジアップとフォークって、球の軌道にかなり違いがあるんでしょうか? 上原は何種類かフォークを持っているので、深く握ってすとんと落とすフォークの代わりにチェンジアップを使うような感じかな。
MLBのGameday だと、たぶんフォークもほとんどが「チェンジアップ」と表記されてると思うので(^_^;; 正直、どうやってその違いを見きわめればいいのかわからないけれど(たぶん、今年もTV中継はそんなにないだろうし……)、でも興味を持って見守りたいと思う。