Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

Who are these guys?: エンゼルスをスイープ

Who are these guys?(だれなんだ、こいつら?) というのが、この3日間のオリオールズファンおよび関係者の合い言葉。

あれほど出なかったクラッチヒットが出るわ出るわ、先発投手がクオリティスタートをするわするわ。

ほんとに、これオリオールズ? エンゼルスユニフォーム交換したんじゃないの? ほら、イズトゥリス兄弟も入れかわってたりして――と思うほどなんだけど、大量リードして雨天中断したら、すっかり気がゆるんで追いつかれそうになったり(昨日)、ルーキー投手の久々の勝ち星を中継ぎの被弾で消しちゃったり(今日)と、ああ、やっぱり紛れもなくオリオールズなのだと思わせるところも諸処に顔をのぞかせる。

――それでも、最終的には勝ちをつかむ。これが大事。だって、これまで、こういうどっちにころんでもおかしくない試合の末に、ひたすら負けを積み重ねてきたのがこのチームなのだから。つまり「そんなに弱くないのに、決定的に勝ち方を知らないチーム」であり、そのために自信をなくしてさらなる負け犬根性が身につき、勝ちを目の前にするとますます緊張してエラーをし、HRを打たれ、とんでもない球に手を出してきたのだ。

それがたったの3日間で払拭されるはずなんてない。

実際、これまでも4連勝すればかならずつぎに4連敗してきたのがこのチーム。だから、次に負けたあとがとても大事だとわたしは思う。

それでも。

何かが確かに変わっているという手ごたえもある。

たとえば今日。好投のアリエッティ……じゃなくアリエッタがランナーを残して降りたあと、今季中継ぎで実績を残しているバーケンがハンターにスリーランを打たれて同点になり、アリエッタの勝ちを消してしまった。

これまでなら、ここでがくっとなってさらにランナーを出し、ぼろぼろとエラーが出たり長打を打たれたりして追加点を取られるところ。しかしバーケンは後続を断ち切り、さらに9回も3人で退けて、サヨナラ勝ちにつなげた。

このこと(3ランを打たれてもチームが意気消沈しなかったこと)について、ショウォルター監督は次のようにコメントしている。

「わたしはそれを求めていたんだ。メジャーで、そしてアメリカン・リーグで戦う上でどうしても必要な資質だからね。ここには体のでかい、いかつい、毛むくじゃらの男たちがいて、芝生の生えてないところまでぽんぽん打球を飛ばす。それがこの地区で野球をするということだ。わがチームにも、体の大きいやつが何人かいるだろう。さほど毛むくじゃらではないかもしれないが」(おもしろい!)

「バーケンがどんな反応を示すか見たかった。彼はよく立ち直ったよ。だれにでもああいうときはある。大切なのは、逆境にどう立ち向かうかだ。そういう意味で、選手たちはよくやった」

そして打たれたバーケンも、「外角低めに投げようとしたが中に入ってしまった。アリエッタの勝ちを消したのはもうしわけない気持ちだが、監督が9回も投げさせてくれたのはうれしかった」とコメントしている。

そうだよ。こういうやりとりが見たかったんだよ!

これまでのオリオールズって「みんながんばった。だが相手が上だった」とか、「調子はよかった。ぼくは自分の投球をしただけだ」とかそんなのばかり。そうじゃなくて、何を意図したのか、どこがだめだったのか、どう次につなげるのか、そういう意識が出てくるだけで話は変わってくるのだ。(いや、これは野球だけじゃないと思う、ほんとに。)

そういえば、9回のパターソンの送りバントもサインではなくて、監督が「やるべきことはわかってるだろう?」と声をかけただけらしい。ひゃっほうPartII(笑)

というわけで、今日は5-4のサヨナラ勝ち。

9-7で勝ったきのうの試合にも触れておこう。

6回までに9-1と大量リード。お祭り騒ぎのあと、ざーっと雨が降って20分少々中断。再開後、TVで見ていても明らかなほど雰囲気が変わっていた。だらーんとした、眠たそうな空気。はよ終わって帰ろうや、みたいなゆるい気配。そんな中登板した中継ぎ投手陣が打たれる打たれる。タイムリーやワイルドピッチであっという間に5点取られて3点差。しかも二死カウントノースリーというところで、ヘルナンデスが足首ねんざのため投げられなくなり、急遽上原の登板となった。その上原、このバッターには四球を出し、つぎの打者にもショート内野安打を打たれるものの、つぎの代打カラスポには4球めの外角フォークを打たせてセカンドゴロにしとめる。3者残塁

いや~、よく抑えたと思う。大差で「今日はないかも」と思ってもおかしくないところで、しかもノースリーからの登板。気持ちを切らさなかったのは、ひとえにこれまでの経験のたまものだろう。

そしてつぎの8回は圧巻の奪三振ショー!

9番ボジョーは直球で三球三振。

1番アイバーはファウルで追いこんで4球めのフォークで空振り三振。

2番イズトゥリス弟は追いこんでからフォークを見られてフルカウントにしたものの、6球めのストレートで空振り三振。

球速はMAX145キロぐらいだったようだが、DLからの復帰直後に比べて明らかに勢いがあり、コントロールも決まっていた。

そしてこぶしを握ってのガッツポーズ。メジャーではあまりしないほうがいいといわれるし、実際これまであまりオーバーアクションをしなかった上原だが、昨日は自分としてもチームとしても何が何でも結果を出したいという気持ちが派手なアクションを呼んだのだろう。観客も、この日一番ではというほどの盛りあがり。ベンチにも一体感が生まれた。

これまで「ただなんとなく野球をやっているみたい」な選手たちを歯がゆく思っていた上原だけに、この日のような試合こそ、まさに追い求めていたものだったはず。あえて、渡米後一番といってもいいくらいの快投だった。これからも、この日のような投球をもっともっと積み重ねていってほしい。

さて、この蜜月のようなすばらしい雰囲気がいつまで続くのだろう。

ひとつ負けたとたんに魔法がとけて、元のカボチャとネズミに戻ったのでは意味がない。でもこのあたりも監督は織りこみずみのようだ。

「見た目ほどひどいものも、逆に見た目ほどいいものもない。幸いこれまで監督としてシーズン百勝をあげたこともあるが、そんな年でさえも、もう二度と勝てないんじゃないかと思うような時期はあった。見た目だけで善し悪しを判断してはいけない」

「野球を1シーズン戦えば、弱みも強みもすべてが白日のもとにさらされる。『シンデレラチーム』などというものは通用しない。162試合も戦うのだから、真に力のある者だけが勝利を得るのだ」