Koji's Classroom II

ボルチモア・オリオールズと上原浩治投手の応援ブログ。スポナビ+から引っ越してきました。

オリオールズ、キム・ヒョンスと2年契約に合意など

12月7日にダレン・オデイとの合意が報じられてから、なかなか正式契約が来なかったので、まさか最後でひっくり返ったりしないよねと、わずかながらはらはらしていたのですが(なにせ一昨年のバルフォアの件がありましたから)、1週間後の14日にようやく正式発表がなされ、16日に記者会見も行われました。

Darren O'Day: "They wanted me back and I wanted to come back." More: https://t.co/j3KygizEx4 #Orioles pic.twitter.com/VpCB3h2ULV— Orioles on MASN (@masnOrioles) 2015, 12月 16

シーズン中はなかった口ひげを生やしてますね。ひょっとして来季はこれで行く?(オリオールズは基本的にひげダメなのですが、最近、多少緩和されていて、今季終盤もデイヴィスが口ひげを生やしたりしてました。)

それでほっとひと息ついていたら、きのうの岩隈投手のドジャースとの合意破談という驚きの展開。そして今日、急転直下、古巣マリナーズへ復帰。やっぱり契約書にサインして発表するまでなにが起こるかわからないものなんだと思い知らされました。

ただ、マリナーズの素早さを見ると、「クオリファイング・オファーを出した時点でマリナーズはメディカルチェックをすませていたはず」というMLBメディアの推測は正しかったのだろうと思われるし、おそらくは関節か靱帯の古傷系のもので、重篤な故障ではないのだろうと想像がつきます。決められたイニング数か試合数で来季のオプションが自動的に発動する、いわゆる「ヴェスティング・オプション」がついていて、フルに延長されれば3年契約になるみたいなので、なんとか長期離脱せずに投げ続けてほしいところ。そうすれば結果はおのずとついてくるはずです。

ちなみに「ヴェスティング・オプション」の vest は、チョッキのベストのこと。その動詞用法で「衣服を着せる→ 権限を付与する」という意味になる模様。衣服のなかでもとくに「聖職服」という意味があるので、そこから「権限」という意味合いが出てくるのかもしれません。

さて、前回のエントリでもちょっと書いたように、昨年に比べるとがぜん必死に見えるオリオールズのダン・デュケットさん。

オデイとの契約を詰めながら、得意のアジアに目を向けていました。韓国、斗山ベアーズからFAになっていた左打ちの外野手、キム・ヒョンス(金賢洙)と2年7milで合意したのです。今、フィジカルを受けている最中のようで、近々正式発表される見込み。

11月に行われたプレミア12では、韓国代表の3番バッターとして8試合で11安打、3割、13打点。決勝のアメリカ戦では3安打3打点と活躍し、大会MVPに輝きました。選球眼にすぐれ、四球を多く選んで三振が少ないのが特長。それでいて、パワーもそれなりにあり、今年は自己最多の28HRを打ちました。

とはいえ、それがそのままMLBで発揮できるかというと、なかなかそうはいかない。今季のHR動画がありますが、やはりど真ん中とか、外高めなどの失投を打ったものが多いような印象を受けます。もちろん、失投をのがさずに打つというのも選球眼の発露ですから、それをどうこういうつもりはないのですが、強力な左投手の多いAL東地区で、そうそう甘い球を打つチャンスはめぐってこないかもしれません。

ただし斗山のホーム球場はカムデンヤーズよりかなり大きいそうなので、その面では移籍がプラスにはたらくかも。パワーよりも、オリオールズに欠けている出塁を求めつつ、15本打ってくれたら大成功だと思います。

Fangraphsが、このキムに似ている選手としてまずあげたのが、青木。わたしもちょっと思いましたが、おそらくキムのほうがスピードにはちょっと欠けていて、パワーにはちょっとまさる感じなのかなと想像しています。そして、もうひとりがニック・マーケイキス。なるほどね。……って、マーケイキスぐらい打ってくれたらもう、泣きますよ(笑)。けっして長打は多くなかったけど、気がつくといつも塁に出てましたからね。やはりマーケイキスが抜けたのは、今年のオリオールズにとって大きな痛手だったわけです。

デュケットさんのアジアからの補強、じつは成功といえるのはチェンだけで(上原は、アンディ・マクフェイル時代)、和田とユン・ソクミンはメジャー登板すら実現しなかったわけですが、昨今のFAの恐ろしいまでの高騰ぶりからすると、それらの失敗も含めて、リーズナブルなリスクじゃないかなと。しかもポスティングではないので、その面でもオリオールズらしい補強だといえましょう。

その他の話題を。

◎デイヴィスへのオファーは、いったん取り下げ。しかし話し合いは継続。

オリオールズは、クリス・デイヴィスに7年150milと言われるオファーをしたものの、ボラスがうんと言わず、いったんこのオファーを取り下げました。しかし、今オフ、お金のあるチームは一塁手にこまっておらず、一塁手のほしいチームはそこまで補強費用がないということで、ウィンターミーティングでもデイヴィスの名前はほとんど挙がらなかったと言われています。この2、3日は、ボラスが自分から各チームに売り込みを始めたそう。最終的にもしオリオールズに復帰するとしたら、年20mil以上のサラリーはオリオールズ球団史上もちろん最高額になります。これからマチャドやブリトンなど、エクステンションしてほしい人たちがたくさんいることを考えると、リスクとしてちょっと大きすぎるような気がするので、さっくりとあきらめてそのお金をほかに回してもいいよと思ったりするのですが、まあHRが一気に47本減るのはもちろんきついです。

◎ルール5ドラフトで、レイズのジョーイ・リカード(24)を指名。

右打ちの外野手。今季は1A~3Aまで合わせて.321/.427/.447。こちらも出塁率の優秀なタイプのようですね。外野のユーティリティー(?)として1年間ロスターにいつづけることができるでしょうか。ルール5の選手を1年間キャリーするの、ほんとに大変なんですよね。オリオールズは、よく毎年根気よくやるよなあとほんとに感心してしまいます(^_^;)

というわけで、地道に補強を進めておりますが、まだ手つかずなのが先発投手部門。チェンが抜けるのは確実なので、できれば左腕投手がひとりはほしいところ。マタスの先発転向という話もなくはないけど、それができるなら苦労はないというか、そもそも先発で芽が出なかったからリリーフに回ったわけでして……。

ガヤードに興味という報道もたびたび出ていますが、クオリファイング・オファーつきの投手は、ドラフト1巡目を差し出さないとならないので、今年はないんじゃないかな(来年の指名順が14番目と比較的早いので)。地味なオプションにおちつきそうな気がしますが、また動きがあったらこちらに記そうと思います。【追記:すみません。まぎらわしい書き方をしてしまいましたが、ガヤードって右投手ですよね。まあデュケットさんは、何が何でも左が必要なわけではないと繰り返していますが、やっぱりオール右のローテってちょっとなあ……(^_^;)】

つぎのエントリでは、今日発売になった訳書『コア・フォー』についてお知らせするつもりです。